金属製品の脱脂洗浄工程において、炭化水素系洗浄剤を採用しているご相談者さん。
しかし、最近使い始めた水溶性切削油の脱脂洗浄で課題があるようです。

炭化水素系洗浄剤はうちの現場がもともと使用していた切削油と相性がよく、洗浄性や乾燥性はもちろんですが、環境に負荷がかかりにくいことも魅力で採用しました。
しかし、最近その切削油を水溶性のものへ切り替えようとテストを行っているのですが、汚れが落ちないんです。
なぜでしょうか?

(ラボボス)
それは炭化水素と水は混ざり合わない性質だからじゃよ!

博士の言う通り、水と炭化水素は相溶しないので、はじめに水溶性汚れを除去したり炭化水素となじませるための前処理が必要となります。
つまり、炭化水素系洗浄剤だけでは水溶性汚れの除去は難しいんです。

えぇ!そうだったんですね、知りませんでした・・・
今後、水溶性切削油も採用するかもしれないので、炭化水素系洗浄剤を用いてどのような方法で洗浄すればよいか教えてください!

お任せください!私がズバリご紹介します!
炭化水素系洗浄の現場が抱える“水溶性汚れ”の課題
炭化水素洗浄剤は、油汚れに対する洗浄力が優れており、環境負荷が低いことから金属製品の脱脂洗浄工程において、広く採用されています。
蒸留再生も可能なため、真空蒸留再生機を用いることで洗浄剤をリサイクルし、使用出来る点もメリットのひとつです。
これらの観点から塩素系洗浄剤などから切り替えたという現場も多い一方、現場の洗浄作業を担当されている方々からは、以下のようなお悩みを耳にします。
- 水溶性切削油の汚れを落とすための前処理や、その後の水置換が手間
- 油性と水溶性の汚れが製品に混在していて、洗浄工程が複雑
- 炭化水素系洗浄のメリットは活かしたいけれど、工程をどうにか短縮したい
優れた性能を持つ炭化水素系洗浄剤ですが、なぜ「水溶性」の汚れがあると工程が複雑化してしまうのでしょうか。

炭化水素洗浄剤は、金属製品の脱脂洗浄工程において広く採用されています。
炭化水素系洗浄で水溶性汚れの除去が難しい理由
炭化水素系洗浄では、なぜ水溶性汚れが厄介なのでしょうか?
それは、パラフィン系やナフテン系といった従来の炭化水素系洗浄剤は水と相溶しない(混ざり合わない)という根本的な性質を持っているためです。
そのため、水溶性汚れを炭化水素系洗浄で除去しようとする場合、一般的には以下のような5工程にも及ぶ複雑な洗浄プロセスが必要です。
- 前処理①(水系洗浄):水溶性洗浄槽を用意し、超音波浸漬などで水溶性汚れを除去します。
- 前処理②(水置換):ワークに付着した水を炭化水素と馴染ませるために水置換剤を用いて取り除きます。
- 本洗浄:油性の汚れや残った油分を炭化水素系洗浄剤と超音波などを併用し除去します。
- すすぎ洗浄:本洗浄で落としきれなかった繊細な汚れを洗浄します。
- ベーパー洗浄・乾燥:洗浄剤の蒸気(ベーパー)で仕上げ洗浄を行い、乾燥させます。

水溶性汚れを炭化水素系洗浄で除去する場合、5つの洗浄工程が必要です
このように水溶性と油性の汚れが混在していると、それぞれに対して異なる種類の洗浄剤を使い分けなければならず、設備が大型化するだけでなく、管理の手間やランニングコストの増大を引き起こします。
洗浄工程短縮のためのアプローチ
水溶性汚れを洗浄するための複雑な工程を少しでも短縮するために、以下のような方法があります。
- 加工油の統一:水溶性加工油をすべて油性のものへ切り替え、炭化水素1液だけで洗浄できるようにする。
- 準水系洗浄剤の導入:水と界面活性剤などを組み合わせた準水系洗浄剤を用いて、水溶性・油性どちらの汚れも一度に洗浄する。
しかし、加工油の統一は切削加工の精度や冷却性の観点から難しい場合が多く、準水系洗浄剤の導入は、炭化水素特有の高い乾燥性や蒸留再生によるコストメリットを失うトレードオフが起こります。
現場にとって最も重要視するのは洗浄品質や生産性、ランニングコストといったポイントによって選ぶ洗浄方法は異なります。

なるほど~!水溶性汚れは炭化水素系洗浄剤だけでは十分に洗浄できないので、工夫が必要なんですね!
でも、洗浄工程を増やすとなると手間だし生産性が下がる不安があります・・・


ご相談・お問い合わせはこちらなのだぁ~!
