第1回の「クリーンルームの清掃と静電気の基礎」に引き続き、2回目となる今回のテーマは「粗大粒子対策と静電気対策」です。前回同様、クリーン化ラボのあるNCC諏訪支店にて、前半は講義、後半はクリーンルームでの実技です。今回はクリーンウエアをご持参いただきました。
前半の講義:粗大粒子対策と静電気対策(アース)
クリーン化オレンジぃ~!今回のテーマは「粗大粒子」だけど、なあに?粗大粒子って。
粗大粒子とは、10μm~100μmの大きさの異物を言うんだ。粗大と言っても、実際には目に見えないほどの小さなものなんだよ。
清浄度は高いはずなのに、異物不良が発生する・・・なんてことはありませんか?実は、製造工程で異物不良に起因するものは「粗大粒子」と呼ばれる10μm~100μmの大きさの異物が製造環境のあちらこちらに存在しているからです。NCCではこれら粗大粒子に特化した現場の対策を推進しています。
室内清浄度が高い=異物・不良がない とは限らないのだ!
粗大粒子対策をしていくにあたり、まずすべきことは、粗大粒子が製造環境のどこに存在しているのか・どこからやってくるのかを見える化する必要があるのです。
粗大粒子は気流に乗って移動し拡散します。気流滞留域では、空気の影響を受けながらゆーっくりと落下、最終到着地は床・作業台・ワークなどに沈着します。
目に見えないものが、見える化をすることであんなに見えると驚きなのだ!他の人にも見てほしいなあ~
続いて「静電気対策 アース編」
前回までは、なぜクリーン化で静電気対策をするのか、静電気の発生原理などを学びました。
静電気の測定には、必ず測定方法があり、測定する機器のことをよく知った上で使用する必要があります。静電気の再現性は難しいものの、その日の気温・湿度は必ず把握しておきましょう。
正しい静電気を測定するためにも、測定器の取扱説明書をよく読んでほしいのだ。
静電気の基本対策としては、アース設置(接地)が基本となります。接地は重要な対策ですが、その設置が正しくなされていなければ、効果は半減します。
また人間から発生する静電気対策として、リストストラップの着用による人体接地があります。有線リストストラップ、放電型リストストラップと様々。お使いのリストストラップ、人体に接地されていますか?手袋の上では機能を果たしません。
また、放電型は除電能力が低いため、電子デバイス系には効果がなく、たとえ両手にそれぞれ着けたとしても効果はありません。
台車のタイヤに導電シート、作業台などの棚に導電シートやアースなども静電気対策の手法です。
後半の体験コーナー:クリーンウエアに付着しているものは何?どのように発塵する?
「講義で聞いているだけだと中々分からない・・・ けれど実技で実際に見ると理解ができる!」と大好評のコーナーです。
まずは持参いただいたクリーンウエアを着用し、いざクリーンルームへ。
NCCのクリーン化ラボにあるクリーンルームは、「一方向流方式」と「非一方向流方式」です。まずはそれらの仕組みについて、どのように空気の流れが変わるか感じていただきました。
クリーンルームの方式の違いで、クリーン度も大きく違うのだ。
次に、クリーンウエアのスタンプテスト。新品のクリーンウエアは本当に綺麗なのか!?
実は封を開けたばかりの新品のウエア、クリーニングしたてのウエアに関わらず、何もゴミが付いていない!なんてことは無いのです。そもそも無塵衣というのは存在しないのですね。
シリコンウエハでスタンプテストを行い、落下塵カウンターでの測定(どのくらいのサイズの異物が付着しているの?)とウエハを顕微鏡で見てみました。(何が付着しているの?)
ここからは皆さんの現場では出来ない体験、クリーンルームの中でゴミをばら撒いてみよう!のコーナー。
・クリーンウエアから発生するホコリ
・普通紙と防塵紙ってどう違う?
・ダンボールを破ったらどのくらいのゴミが出る?
実際に発生するゴミの量を見て驚かれたことでしょう。今後の作業動作に注意が必要ですね。
以上で2回目は終了です。最終となる3回目のテーマは「気流の重要性と静電気対策 イオナイザー編」です。
お楽しみにぃ~