人とくるまのテクノロジー展2024 in横浜 視察レポート

2024年5月22日(水)~24日(金)の3日間、パシフィコ横浜にて「人とくるまのテクノロジー展2024」が開催されました。

NCCとしての出展はありませんでしたが、お客様の出展ブースの見学と初めての来場のため自動車業界及び塗装業に役立つ情報収集を兼ねて視察しましたので、その様子をレポートいたします。

 

シーファー

初めて行く展示会だからとってもワクワクしたのだ~!

でも待っていたのは衝撃の事実だったのだ・・・

 

人とくるまのテクノロジー展2024 in横浜 の概要

いつもNCCが出展している高機能素材Weekの中の「塗料・塗装設備展(コーティングジャパン)」は幕張メッセで行われるので、敷地面積を比較しても「高機能素材Weekの方が賑わっているに違いない」と思いながら到着した会場は、なんと・・・

 

シーファー

歩く隙間が無いくらい、大混雑だったのだー!!

3日間の来場者数を比較してもこの通り・・・

 

  人とくるまのテクノロジー展2024 高機能素材Week 2023東京

一日目

21,203名 12,056名
二日目 24,561名 15,126名
三日目 30,208名 16,481名
合計 75,972名 43,663名

※高機能素材Weekの来場者数・・・実際には高機能素材Week・ファインテックジャパン・Photonixの合同開催3展の合計

 

なんと高機能素材Weekの約1.7倍もの人が訪れている展示会だったのです。

展示している物やテーマの違いがあるため単純な比較にはなりませんが、でもそれだけ注目度が高いということ。

 

そんな本展示会のテーマは・・・

「Co-Create!未来をともに創りだそう」

 

新たな技術で協力しながら自動車産業の未来を創っていこう、そんなメッセージが感じ取れます。

さらに、HPには「英知を集結しよう!カーボンニュートラル、その先の循環型社会へ」という言葉があり、環境対応だけでなくその先の持続可能な社会を目指した技術をメインに出展しているということがわかります。

 

実際に省工程化、省電力化といったカーボンニュートラルに繋がる技術や、脱石油を掲げ加飾性にも優れる新しいサステナブル材料、環境×品質を実現するための計測器、VRやAIなど先端技術を取り入れたシステムなど他展示会ではあまり見ることのない情報を得ることができる貴重な機会でした。

 

 

塗装に替わる新たな技術!恐るべきフィルム&転写技術

展示の中で面白い!と思った技術をいくつか紹介します。

 

シーファー

どうしても塗装・加飾関係が気になっちゃうから、

紹介する内容に偏りがあるけど許してほしいファ~

 

ホットスタンプ箔加飾×サステナブル材料(森六テクノロジー株式会社・森六ケミカルズ株式会社)

まずは下の写真をご覧ください。

 

レザー生地に赤色のステッチが入っているようなデザインですよね。

ですが、なんとこの生地やステッチは全て樹脂。そして黒い部分と赤い部分は一度に「ホットスタンプ箔加飾」によって塗り分けられているのです。

 

シーファー

部分着色が一度にできるってこと?!

すごいのだ~、省工程かつ見た目もキレイなのだ~!

さらに、こちらの樹脂は植物由来のサステナブル樹脂で、石油由来材料を減らしても車内用パーツとして超耐久の物性を誇り、「環境×品質」を叶える素材なのだそう。

 

その他にも、「光透過ホットスタンプ」により、ライトが光ると色が透けて見えるような技術も展示されていました。

 

 

 

三次元加飾ハードコートフィルム「ルミアート」(アイカ工業株式会社)

“塗装は「貼る」時代へ”というひときわ目立つキャッチコピーに惹かれ、ブースを訪れてみるとブラウンカラーのメッキ調の車が。

こちらはなんと自動車外装にも適用可能な、塗装に替わるフィルムだそう。

 

シーファー

豊富なカラーラインナップに加え、塗装では難しかった

曇りのないメッキ調に脱帽なのだ~・・・

 

塗料のように溶剤を必要としないため環境に優しく、局所排気装置や特殊健康診断のコスト削減も期待できます。

また、周囲の来場者からも「乾燥時間が無いのも良いなぁ」という声が聞こえてきました。

 

シーファー

環境、コスト、省工程・・・塗装では実現が難しい部分を難なくクリアしているのだ💦

悔しいけど、凄いのだ~!

 

フィルムに傷が付いても、塗装同様に市販のコンパウンドで補修が可能とのこと。

えくぼ傷や大きな凹み、フィルムの剥がれについてはわからないので今後に期待です。

 

今回の展示会視察を終えて・・・

本展示会の中で、「塗装」から「転写」「フィルム」へ自動車内外装加飾のスタンダードが移り始めているということを強く感じました。

それと同時に、将来的にこれらの技術が他業界にも転用されると、塗装の出番はなくなってしまうのではないか・・・という危機感も強まりました。

 

ただ、塗装が完全に淘汰されることはない、とも感じました。

加飾性はフィルムに置き換わっても、重防食塗装や屋外での補修塗装など「素材の保護」用途や、少量多品種の小物塗装、スプレーならではの柔らかいタッチの絵画や個人のプラモデル・模型製作など塗装の方が”都合がいい”ものは残るのではと思います。

 

また、「液体として管理・流通ができ、製品時には固形になる」という塗料・塗装の大きな特徴から、従来固形だったものを液体のスプレーに転用するアイディアも生まれています。

例えば、アネスト岩田株式会社から発売されている「パレタイズグルー塗布システムCSU」は、従来の運輸業のネックである荷崩れ防止用ストレッチフィルムの代替となる塗装機で、フィルムの廃棄を無くすことができる画期的なシステムだそう。

 

このように「塗装は悪いから無くそう」ではなく「塗装の良い面を活かそう」という発想ができれば、今後も塗装の活躍の場はあると信じています。

私たちも新しい発想を生み出し、そして情報発信を通して塗装業界をより良いものへ革新する一助になりたいと思います。

 

 

記事一覧