【今月のお悩み】
金属加工の部品を洗浄機と水系洗浄剤を使用し洗浄しているのですが、油が残りシミが発生してしまいます。
そのため、洗浄品質が安定せず洗浄不良が多発しています。
今までと変わらない「方法」で行っているのに、なぜなのか・・・。
洗浄品質を良くするための方法を教えてくださ~い(泣)
博士ぇ~!洗浄不良が多発しているお客様からの
SOSがきているのだぁ~!
それは大変じゃ!不良が多発すると様々な問題が起こるのじゃ!
早速洗浄ブルーに・・・と思ったが、どうやらもうお困りの方の元へ
行っているようじゃ!
その頃現場では・・・
従来と変わらずに同じ洗浄剤を使用しているのですが、ここ最近になって
洗浄不良が多発し、業務も全然捗りません・・・。
おやおや、洗浄不良にお悩みのようですね。
私がご一緒に解決いたしましょう!ひーっひっひっひ
いいんですか?!では、一緒に現場に来てください!
もちろんですとも!お客様のためですから!
どうやら、水系洗浄剤の量が「圧倒的」に足りないようですね。
希釈して使用するので、大量に使わないと綺麗にならないですよ!
えぇ・・・ですが、今までと変わらずに使用しているのに
使用量が問題なんですか?
使用量の問題ではありませんので、ダークムーダーに騙されないでください!
また邪魔をしおって!ラボレンジャーども!
お客様、こやつらの言葉を信じてはいけませんよ!
どの洗浄液でも同じですが、問題が発生したときは
使用している物の基本を改めて把握し現場の状況を調査すれば
改善策は必ず見つかります!1日でも早く解決するために
一緒に1つ1つ確認していきましょう。
変だとは思っていましたが、ダークムーダーに騙されるところでした!
心強い味方と一緒に確認できることが心強いです♪
またしてもラボレンジャーどもに!
ぐぬぬ~、覚えておれー!!
水系洗浄剤の基本工程と種類
水系洗浄剤は、酸性・中性・アルカリ性の3種類となり以下のように使い分けます。
これらを用いて洗浄を行う場合の洗浄工程は一般的な洗浄工程を軸としたときに以下のようになります。
一般的な洗浄工程 | 水系洗浄剤を用いた場合 | |
1 | 洗浄 | 洗浄 ⇒ 水系洗浄剤(工業用洗剤) |
2 | すすぎ | すすぎ ⇒ 市水・地下水・純水など |
3 | 乾燥 | 乾燥 ⇒ エアブロー・熱風乾燥・水置換・遠心分離など |
水系洗浄剤は、原液を水で0.5%~5%程度希釈したものを浸漬超音波洗浄装置やシャワー洗浄装置などを活用して、物理的な力を加え洗浄を行います。
主に、油汚れや無機系汚れ、タンパク質汚れに適していて、金属加工後の脱脂や切粉除去、表面処理工程(塗装、メッキ、アルマイト)などの現場で多く使用されています。
しかし、金属加工後の脱脂目的で使用しても油汚れが落ちず、乾燥後には油シミが出来てしまい洗浄不良となってしまうことも・・・。
そうならないためにも、油の持ち込量や使用している洗浄剤(水系洗浄剤)にあわせた濃度管理が重要となります。
水系洗浄剤の成分と役割
油汚れ、無機系汚れ、タンパク質汚れなどに適している水系洗浄剤ですが、どんな成分が含まれているのでしょうか?
「水系」と呼ばれている通り、ベースは水となっており、その他の成分は以下のものになります。
- 界面活性剤
- 溶剤
- アルカリ
- キレート剤
洗浄剤に含まれている成分の役割を知ることで「この汚れにはこの成分が良い」と分かり、選定のポイントにも影響いたしますので併せて把握していきましょう!
界面活性剤
汚れに対し、洗浄剤の浸透性を上げ、汚れの分散性向上、再付着防止ができ、油汚れを水に溶かし込みます。
溶剤
汚れに対し洗浄剤の浸透性を上げ、油汚れを溶かし込みます。(水・油の双方に混じる溶剤を使用します)
アルカリ
有機物・高分子などを分解し、脂肪酸を中和し石鹸化します。
キレート剤
界面活性剤の働きを弱める金属イオンと、その他のイオン成分を捕捉します。
洗浄剤を選定するうえでのポイント
成分の役割を把握したところで、洗浄物に付着している汚れの種類とその密着度を考慮することで、適切な洗浄剤を選ぶことが出来ます。
上の図のように、界面活性剤を豊富に含有しているタイプの洗浄剤は油汚れや粉じんなどの多様な汚れに適しています。
アルカリ・キレート剤を豊富に含有しているタイプの洗浄剤は製品と強く密着した汚れに適していることがわかります。
洗浄剤を選定する際は、製品に付着している汚れと密着度を把握し、製品材質に適した洗浄剤を選定することが不可欠です。
物理的力を使用し洗浄効果を上げる方法
洗浄剤の選定ができたら、洗浄方法を見ていきましょう!
水系洗浄剤は物理的な力を加えることで洗浄効果を増大させ、さらには超音波洗浄やシャワー洗浄を組み合わせることで、短時間で高品質な洗浄をすることができます。
物理的効果を使用する際は、洗浄後の品質・リンス性・泡立ちなどを考慮し選択します。
水系洗浄剤のメリット・デメリット
上記でご紹介したように、水系洗浄剤は0.5%~5%程度希釈するためコストは比較的安くなり、水系洗浄剤には引火点がないため、炭化水素系洗浄剤のような引火・爆発といった危険性はありません。
また、有害性が低いもしくは無いことから環境及び作業者にも優しいものとなるため、働きやすい職場作りやSDGs目標達成に貢献できる洗浄剤の1つです。
ですので、中国のVOC(ぶいおーしー)規制といった各環境規制も適用外となります。
水系洗浄剤はこんなにもいいことが詰まっているんですね!
これだけを見ると環境などに課題を感じている方には魅力的に
映るかもしれませんが、デメリットもあるんです。
え、そうなんですか?
いい部分があってもデメリットがあると
使用するのは気が引けるな・・・
問題ございません!
デメリットを解決する必殺技をご紹介いたします。