【今月のご相談者】
自動車部品の製造メーカーさま
【今月のお悩み】
これが時代というものでしょうか? 弊社は長年、自動車部品メーカーとして様々な部品を作ってきましたが、年を追うごとに納入先から「クリーンであること」を求められるようになりました。ここ近年では国際規格のISO16232や、ドイツ自動車工業規格VDA19に準拠した異物粒子の計測・組成分析が必須となったため、「いかにキレイに洗うか」が我が社の生命線になってしまいました。
現在、超音波洗浄機を使用しておりますが、いちばんの課題は異物や汚れの「再付着」です。これが解消できれば、厳しい検査もクリアできると思っているのですが・・・。なんとかなりませんか? 助けてぇ〜、3Cラボ〜!!!
異物や汚れの「再付着」を解消するには、洗浄剤を変えればいいのか?
それとも洗浄方法から見直すべきか?
う〜ん・・・どこから改善していけば良いのだろう・・・???
その頃、3Cラボでは・・・
博士〜、今回は洗浄のお悩みなのだ!
洗浄後に汚れが再付着して困っているらシーファー。
助けてあげて欲しいのだ!
おお、なんとタイミングが良いお困りさんじゃ。
ちょうど3Cラボで、洗浄後の汚れの再付着に強い洗浄方法を
編み出したところなのじゃ。
行け、洗浄ブルー! お前の腕の見せどころじゃ!!
お任せください!! 洗浄魂のすべてをかけて、救ってまいります!
【その頃現場では・・・】
はぁ〜、困った。今回も大量の洗浄不良が出てしまった・・・
また洗浄のし直しだ。この調子だと、納期ギリギリだな。
大丈夫か?・・・(不安)
異物や汚れの「再付着」・・・これも多くの方を悩ます問題ですね。
大丈夫、お任せください。私はこの方法で、何社も救ってきたのですから。
ズバリ!! 最も効果的なのは、洗浄液を毎回交換すること!
これしか方法はありません!!
えっ? 毎回洗浄液を取り替える?! く〜、コスト、かかりそう〜。
でも、汚れの再付着を防ぐには、それしかないか?!
ええ、ございません(キッパリ!)
今までの信用を落としてしまっても良いのですか?!
コストと信用、どちらが大切か、よ〜く考えるのです!!
う〜む、言われると・・・。仕事は頑張ればなんとかなるけど、信用は
頑張るだけじゃどうにもならんし・・・。
よし、毎回、洗浄液を交換するか。
そうそう、よく決心されました。素晴らしいです!
では早速、ご契約を・・・
(ひ〜っひっひひ この調子でどんどんムダ遣いをするのだ〜)
待てぃ! ダークムーダー!!
お前の好きにはさせん!!
く、こしゃくな! 洗浄ブルー、また邪魔しに来おって!
洗浄液を毎回変えるなど、資源とコストの無駄遣い以外の何者でもない!
よくもまぁ、毎回そんなムダな方法を考えつくものだ。
お客様、騙されてはいけません。
もっと地球に優しく、お財布にも優しい方法を、3Cラボが作りました!
え? そうなの?
さぁ〜、よくご覧ください! ダークムーダー、覚悟!
秘技【本邦初公開】
コンタミ・バイバイ・ストリーム!!
わぁ〜、こんな洗浄方法があったんですね!
なんて画期的なんだ。ありがとう、洗浄ブルー!!
ますます厳しくなる自動車部品の品質管理
今、ものづくりの品質管理は、どんどん厳しくなっています。
安心・安全はもはや当然。加えて徹底したクリーン化が求められるようになり、
自動車部品の洗浄にもその波は押し寄せ、従来では問題とされてこなかった微細なコンタミの削減が求められています。
その背景には、自動車部品の電子化が進み、小型かつ高い精密さが必要不可欠になっていること。国内自動車メーカーであっても、国際規格であるISO16232や、ドイツ自動車工業規格VDA19の厳しい品質要求に応えようとする企業が増えていることなどが挙げられます。異物粒子の計測や組成分析が必須とする場合もあり、今まで通りの脱脂目的の洗浄工程では十分な品質を満たせないケースも増えてきました。
そうなんです。
問題は、“今まで問題にならなかったことが問題になっている”ことなんです!
そこで、NCCは考えました。
もっとキレイに洗うには?
汚れの再付着・異物の再付着を防ぐには?
世界的な高い要求品質を満たすためには?
そうして生まれたのが「低コンタミ炭化水素洗浄システム」なのです。
どんなシステムなのかは「今回の必殺技」コーナーで熱く語りました。
ぜひご一読を!
どんな時でも大切なのは原理原則
もちろん、渾身の技術開発で作った洗浄システムですから、一台でも多くの方に使っていただきたい!
そんな気持ちもあります。正直に言うと、たくさんあります(笑)。
でも、私たちは知っています。たとえ洗浄システムを入れ替えたとしても、「そもそも」が見えていなければ、同じ結果を繰り返してしまうことを!
ご存知の通り、洗浄の基本の基本は「何を洗うか」「どう洗うか」ですが、ここが決まった次に考えたいのが、洗浄目線での「クリーン化4原則」です。
前回、「クリーン化四原則」に焦点を当てましたが、この4原則はクリーンルームだけのものではありません。
洗浄分野においても、とっても役に立つ考え方であることを、3Cラボは声を大にして言いたい!のです。
今回のお悩みケースでいうと、
「何を洗う」→自動車部品(金属)
「どう洗う」→自動洗浄装置(炭化水素系洗浄)ということになります。
となると、問題となっている“汚れの再付着”を防ぐために真っ先にやるべきことは、「洗浄液中のコンタミをなんとかする!」という「そもそも」に行き着くのです。
クリーン化4原則を、改めて洗浄目線で解釈すると、こんな風になります。
◆『 持ち込まない 』 → 余分な汚れを洗浄槽の中に持ち込まない
◆『 発生させない 』 → 洗浄槽の中で余計な汚れ、新たな汚れを生まない
◆『 堆積させない 』 → 汚れや異物を洗浄槽の中に滞留・蓄積させない
◆『 除去(排除)する 』→ 洗浄液をフィルターでろ過し、液中のコンタミを除去する
最初の項目で「ん??」「どういうことだ?」と、首をかしげる方もいらっしゃるかと思います。
そもそも洗浄とは、汚れを洗うことであり、汚れたものを洗うための装置が洗浄槽です。それなのに汚れを持ち込まないというのも、矛盾しているように思うかもしれません。でも、ここで言っている汚れとは「余分な汚れ」のこと。洗浄槽に入れる前に一手間かけることで、洗浄効率をぐっと上げることができますよ、という意味です。
わかりやすいところでいうなら、食洗機に入れる前のカレーのお皿です。水やお湯で軽く洗ったり、キッチンペーパーなどで拭き取ってから食洗機に入れるとキレイに洗えますよね。これと同じで、洗浄槽の中に無駄な汚れを持ち込まない「水際作戦」は、想像以上に効果を発揮するのです。
4原則の中の他の3つの項目については、今回の必殺技「低コンタミ炭化水素洗浄システム」ではすべてカバーできますが、この「持ち込まない」だけは、お客様に取り組んでいただく必要があります。逆に言えば、そこさえクリアできれば鬼に金棒! どうすればムダな汚れを持ち込まずに済むか? まずはそこから私たちと一緒に考えていこうではありませんか。
条件を狭めれば、より具体的になる
今回は、自動車部品の自動洗浄についての4原則という前提でお届けしましたが、条件を変えて考えていくと、また違う解釈が生まれてくると思います。たとえば、(箱としての)洗浄槽内のクリーン化を徹底するにははどうすれば良いか。洗浄後、空気中のゴミやホコリを部品に付着させないところまで含めると、どんなクリーン化を実践していけば良いか・・・といった感じです。
適材適所のクリーン化目線。今後ますます大切になってくると思います。社内で大いに議論して、大事に育てていってください。
洗浄分野で求められている厳しい規格「VDA19」については、
「3Cラボ的用語解説」で詳しく説明しました。合わせてどうぞ!