【今回のご相談者】
とある精密塗装業の品質担当者さま
【今月のお悩み】
購入したばかりの塗料を使ったところ、なにこの色ムラ！？ 艶もおかしい！？ 全然見本通りの色が出ないじゃないか！！
ということで、現場がザワザワしています。色見本は確かに発色もいいし、綺麗な艶がでているのですが、それがまったく再現できずに困っています。もしや、塗料自体が不良品？？ メーカーにクレームを言うべきですよね？
でも、納期も迫っているし・・・う〜ん、困った！ 助けて〜、3Cラボ！
塗装の手順は従来通り。なのに、製品の仕上がりを見ると、
色見本のような艶や発色が出てません。
納期は迫るし、現場からは「塗料が悪い」「不良品だ」との指摘があるわで、
品質管理の私は板バサミ・・・。う〜ん、困った。どうしよう〜・・・
その頃、3Ｃラボでは・・・
博士ぇ〜、色見本と違う仕上がりになっちゃって、困っている方がいるのだ！
現場からは塗料が不良品だと言われてるみたいだし、なんとかして欲シーファー！
（ラボボス）
なに？ 今どき塗料の不良品とな？
品質管理が厳しい今、それはなかろうて・・・
博士！ それはきっと「撹拌不足」による塗装不良です。
私に行かせてください！ 久しぶりなので腕がなります。鳴りまくってます！
（ラボボス）
おお、グリーン。行ってくれるか。
ここはお前の得意技だからのー。任せたぞ！
その頃、現場で繰り広げられていたのは・・・
ムーダー
あ〜あ、こんなに色ムラが出てしまって・・・
これじゃ商品になりませんね。塗り直ししてもムダムダムダ！
早速メーカーにクレームを入れましょう！
確かに、こんなに塗装不良が出てしまっては、商売上がったりですよ。
でも、納期も迫っているしなぁ〜。クレーム入れても塗料メーカーが
なんとかしてくれるとは限らないし・・・
ムーダー
弱気になってはいけません！ここは正しい主張をしなければ！
言いにくかったら、私が付き添いますから、さっそく担当者に
アポを取るのです。さぁ、さぁ！！
お待ちなさい！ 塗料のせいではありません！
それ、撹拌不足が原因です！！！
へ？ 撹拌不足？ 混ぜたりないということ？
って、その前に、あなたは・・・誰？
あ。失礼。久しぶりの登場なので、張り切りすぎました。
3Ｃラボから参りました、塗装グリーンです。
ダークムーダー、お前がしゃしゃり出ると、物事が面倒になる。
引っ込んでいてもらおう！
ムーダー
何をこしゃくな！ お客様、こやつの言うことに耳を貸してはなりません。
さぁ、メーカーに行きましょう！ 文句を言いに行きますよ！
そうはさせんぞ！ くらえっ！
撹拌維新！ 真剣・乱れ打ち乱流ビ〜ムッ！！
ほ、ほんとだ！ 嘘のように綺麗に混ざってる！
不良品じゃなかったんですね。
ありがとう、塗装グリーン。これで綺麗に塗れます！
納期にも間に合います！
ちょっと待って。それは【撹拌不足】が原因かも！
塗料を実際に使ってみたら艶が違う、色ムラがある、ブツが出た・・・・
色見本とは違った結果になってしまったら、【塗料の撹拌不足】が原因かもしれません。
撹拌（かくはん）には2種類あり、まずは調合時の撹拌。そして使う前に塗料を安定させるための撹拌です。
調合時の撹拌は、塗料メーカーが細心の注意を払ってしっかり撹拌しているので、問題はほとんど起きませんが、
注意が必要なのは後者。「使う前」の撹拌、もっと言うと、「使っている最中」の撹拌なのです！
塗料には、固形物である顔料をはじめ、溶剤、つや消し剤など、様々なものが液体の樹脂の中に分散した形で入っています。そして、それらの材料が、バランス良く、なおかつ均一に混ざっている状態ではじめて、「塗料」としての性能を発揮するように設計されています。
しかし、貯蔵などしばらく置いておくと、これらの原料は、沈殿したり、凝集したりします。
それを防ぐために、分散剤等を入れていますが、どうしても分離してしまいます。
そこで、設計通りのバランスに戻すために、私たちは「撹拌（かくはん）＊」という作業を行います。
これは塗料メーカー出荷時の状態、つまりバランスのよい状態に戻すために行います。
しかしながら、撹拌が不十分な状態で使用すると、缶の上の方と、下の方では成分のバランスが変わる為、色ムラやツヤ違いなどが発生してしまうのです。
これは、「ドレッシング」にたとえると、わかりやすいと思います。
いくらシェフが腕をふるって最高のドレッシングを作ったとしても、液体が分離したままサラダにかけてしまうと、残念な結果になってしまいます。ある人は「油っぽい」と感じ、ある人は「しょっぱい」と感じてしまうかもしれません。
ドレッシングを美味しくいただくコツは、ズバリ！ 「食べる直前によく混ぜる」こと。
塗料の場合もこれと同じで、設計通りの色と艶で美しく塗るためには、「塗る直前によく混ぜる」ことが大切なのです。
（＊一般的には撹拌（かくはん）と言われていますが、正式には「こうはん」と言います。3Ｃラボでは馴染みがあってわかりやすい「かくはん」という呼称を使います）
撹拌機の選択、間違っていませんか？
撹拌機はどんなものを使用していますか？
缶ごと撹拌するタイプでしょうか？ 缶の天板を開けて撹拌羽根を入れるタイプでしょうか？
それとも缶の口から差し込んで撹拌するタイプでしょうか？
どのタイプでも、それぞれの機械の特徴を理解し、時間と正しい方法で行えば、きちんと撹拌できます。
しかし、撹拌能力が低い撹拌機では、時間もかかるだけでなく、作業する人によって撹拌後の仕上がりが変わってしまいます。これでは塗装の仕上がりにムラが出ても仕方ありません。
さらに問題なのは、塗料は撹拌できているか分からないということなのです。
きちんとした撹拌とは、空気を巻き込まずに、塗料全体を上下左右に大きく動かす事です。
そのためには「乱流」をつくる必要があります。
しかしながら、私たちは「撹拌する」→「かき混ぜる」→「かき回す」というイメージを持つことが多く、液体をぐるぐるかき回すことが撹拌することだと思いがちです。でも、ドレッシングの容器をいくら回しても、油分と水分は混ざりませんよね。どうやって混ぜているかというと、シャカシャカと勢い良く容器を「シェイク」していると思います。塗料もこれと同じなのです。
とはいえ、大量の塗料をいっきにシェイクすることは、現実的ではありませんよね。そこで、今回の必殺技「撹拌維新！ 真剣・乱れ打ち乱流ビーム」をお見舞いしたのです。
細かい乱流をつくり、緻密に、かつ均一な撹拌を実現するのが、「ベルヌーイ流撹拌体 BEAG（ビーグ）」です。
今までの撹拌の常識を覆すこの商品に出会ったとき、私たちNCCは鳥肌が立ちました。そして「これからの撹拌に必要なのはこれだ！」と、瞬時に確信したのです。
その辺りの話はまた後日、ご披露したいと思いますが、この常識はずれの撹拌体を「撹拌維新！」と命名しました。
どこが従来の撹拌と違うのか？ どこが画期的なのか？
詳しくは【今月の必殺技】をお読みください。
これで撹拌不足は一気に解消！
撹拌不足による塗装不良を劇的に減らします！
