
2025年1月22日(水)・23日(木)の2日間、さいたまスーパーアリーナにて「彩の国ビジネスアリーナ2025」が開催されました。
本展示会は中小企業の受注拡大・販路開拓を目的としたイベントで、GX、AI、加工技術、ロボット、ビジネスサポート、スポーツ産業など多彩な分野の企業や団体が集まります。
今回、NCCの出展はありませんでしたが、お客様の出展ブースやものづくり企業の高い技術や豊富な経験が詰まった製品および最新情報を見学してきました。

お客様のブースでは、出展技術・製品やこれから目指す先についてお話を伺ってきたので、その様子をインタビュー形式でレポートするよ~!
有限会社ヒグチ
Q)会社について、ご紹介をお願いします。
1人の従業員のうち半数の5人が塗装職人で、比較的若手が多い環境です。
塗装ブースは3台あり、塗装職人の人数に対し少ないように感じますが、社員が休んでも塗装作業を止める必要が無いため皆好きなタイミングで休みを取ることができます。また、弊社ではパテ付けなどの前処理も塗装職人が担当しており、以前は非効率なのではないかと思っていましたが、塗装経験のない社員が行うより効率がよくスピーディーに進んでいます。
このような働く環境づくりにより、若い人材も長く働き技術を積んでおり、昨年の埼玉塗装コンクールでは社員が1位をいただくことができました。
Q)現在注力していることはありますか。
新規のお客様獲得を目指しています。
新規の案件は難しいものもありますが、単に製品を塗装したり修正するだけでなく、効率を上げることを目指そうと社員には日頃から伝えています。「できる」だけで進めるのではなく、「この治具の方が早くできる」「こうすれば簡略化できる」といった効率的な進め方についての意見を求めています。実際に社員からは様々な提案があり、会社全体で新たな業務へ対応できる体制を構築することで、新しい案件獲得に力を入れています。
Q)今回出展されているものについて、教えてください。
どこにでも販売されているようなLの形をした鋼材(Lアングル)を使用し、工程や塗装技術ごとに展示しています。
近年、パテ付けを請け負う企業が減っていますが、弊社ではパテ付けを行うことで仕上がりにどのくらい差があるのか実際に見て感じていただければと考えました。パテあり・なしで比較できる展示方法を採用し、一般的なLアングルでも美しく仕上がることをアピールしています。類似製品を加工されている方であれば、Lアングルの仕上がりを見て完成品をイメージしやすいのではないでしょうか。
また、弊社では小物塗装から大物塗装まで幅広く対応しており、塗装したい製品をすべて弊社で完結できる点も強みです。 お客様にとって、複数の業者に依頼する手間が省けるため、負担軽減に繋がると考えています。
Q)最後に、これから目指していく先や今後の展望について教えてください。
将来的に塗装業を続けていけるのか、この業界に携わる方は感じている方も少なくないのではないでしょうか。そこで、弊社は農業に着目し、何かできることはないか考えています。
私が目指す農業は、種を100粒まけば100個の実が収穫できるような、不良率ゼロ・収穫率100%の「製造業的農業」です。天候不良で100個が0個になってしまってはお客様や消費者は困ってしまうので、そのような農業を展開できたら面白いのではないかと考えています。
現在、焼付塗装で使用している乾燥炉から出る熱を蓄熱し、農業分野で再利用できないか検討しており、塗装工程から発生する熱と農業を掛け合わせた確立した技術を目指しています。
当初は情報収集にも苦労していましたが、農業をやると声に出して発信し続けたところ、情報が徐々に集まってきました。ぜひ、廃熱利用について情報があれば教えてください!
株式会社ワイ・シイ・アイ
Q)会社について、ご紹介をお願いします。
昨年、代表取締役社長に私(横内孝紀氏)が就任し、会社として若返りしました。近年、廃業する中小企業が多いことに加え、そのような企業の従業員の平均年齢が高いことはお取引のある会社様にとって不安な点かと思いますので、その点ではご安心いただけるかと思います。
社員の雰囲気は「柔軟」という言葉がぴったりです。業務についてざっくばらんに共有でき、共有された内容に対して柔軟に対応できる環境があります。また、働く上での礼儀やマナーといった振る舞いができるよう、社員教育にも力を入れています。
Q)貴社のホームページを拝見した際、「塗装技術の見える化」という取り組みについて紹介がありましたが、どのような取り組みなのか教えてください。
弊社では少量多品種の製品を取り扱っているため、塗装の自動化が難しい状況であり、職人の技術が頼りです。
そこで、長年培われてきた職人の技術をデータ化する取り組みを行っています。塗料の粘度や吐出量といったポイントをデータとして記録することで、従来の塗装作業を見直し生産性向上に繋げています。
さらに、言葉では明確に伝えにくい技術もデータという形で見える化することで、次世代へ技術を継承しています。
今回出展している技術やサービスはどのようなものでしょうか。
弊社では脱脂、パテ、下塗り、研磨、上塗り、シルク印刷、梱包と受け入れから納品まで社内で一貫して対応しています。
対応可能な塗装技術で実際に塗装した製品を展示しており、つるっとした仕上がりからレザーのような模様まで幅広く対応しています。ご希望の仕上がりをぜひご相談ください。
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Q)最後に、これから目指していく先や展望について教えてください。
塗装だけではなく、ものづくりに一貫して対応できるような大きい会社を目指していきたいと考えています。
弊社は塗装会社なので塗装業がメインですが、それだけでは上限があるためさらなる発展には事業領域の拡大を検討しており、具体的には塗装の前後の工程である「金属の成形」や「組み立て」工程も一貫してできるような企業を描いています。
トップ工業株式会社
Q)会社について、ご紹介をお願いします。
和気あいあいとした雰囲気の中、会社側の柔軟な対応が魅力的です。
18~76歳と年齢層が広く、女性や派遣社員の方なども多い中で、長く働いてもらえるよう働く人に合わせたワークスタイルの実現を目指しています。例えば、子供を保育園に預けている時間内で可能な限り働きたいということであれば、相談の上10~14時までの4時間働くスタイルで勤務している方もいます。
長く働いてもらえるよう、社員に選んでもらえるような会社として、柔軟な対応を心がけています。
Q)現在注力していることはありますか。
営業です。
今回のような展示会に製造職のメンバーが営業として参加することで、現場の詳細をお伝えできるだけでなく、メンバー自身の知識を広げる機会になります。また、自分で獲得した仕事は思い入れが強くなりますよね。
メンバーは営業職の経験がほとんどありませんが、お客様の困っていることを探し提案することを大事に考えています。
私は社員の疑問点を解決するなどの面で支え、社員が主役になれればと思っています。
Q)今回、出展した目的を教えてください。
2年連続出展となった今回は、弊社のことを知ってもらうだけでなく社員ひとりひとりが営業として活躍できる機会を設けるために出展しました。
出展している技術は塗装だけでなく、より多くの人に興味を持ってもらえるよう治具剥離やリフレッシュ塗装も展示しています。特に剥離については、剥離業務を行う企業が減少している影響から納期が長くかかるとお困りのお客様も多く、剥離の早さや仕上がりの高さを紹介しています。
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Q)治具剥離についてお困りのお客様も多いのことですが、以前剥離についてインタビューさせていただいて以来、お客様から剥離についてどのような反応がありましたか。
「塗装後に修正する必要がない」「納品が早い」などといったお声をいただきます。
治具の剥離は塗装の仕上がりに関係がないように思えますが、剥離ができていないことでカスが飛んで不良になったり、治具が変形することで塗装ズレや膜厚のバラつきが起き、組み立て時に上手くいかなかったりします。私たち自身が塗装をしていることもあり、治具の重要性やお客様の気持ちがよく理解できますので、治具の剥離には早い納入、きれいな仕上がり、変形させないなど細かい点まで考慮しています。
剥離方法にもよりますが、例えば熱分解式剥離炉を使用すると最短で翌日には剥離ができており好評いただいています。
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Q)髙橋社長は日本工業塗装協同組合連合会会長でもありますが、塗装業界および貴社のこれから目指していく先や今後の展望について教えてください。
「いい業界だよね」と言われ人が集まるような業界を目指しています。塗装の楽しさやかっこよさを伝えられるよう、塗装技能コンクールを開催したり、メディアを呼んでその姿を発信したりとアピールしています。かっこいい姿に憧れ塗装業界に興味を持つきっかけになったり、コンクールで優勝して家族の自慢になったりと業界のよい部分を広く知っていただければ嬉しいですよね。いずれは全国大会を開催しより多くの方へ発信していきたいですが、まだまだ地道な活動が必要です。
弊社としましては、「社員の平均年収を1000万円に!」という大きな目標を掲げています。
お客様に喜んでもらえるような付加価値を塗装に限らず提供できるよう、剥離業務だけでなくバイク関係の業務にも力をいれていきたいと考えています。古いものを大事に乗りたい、カスタムしたい、という思いを持つユーザーに対しマーケットができていないことから着目しており、弊社でできるカスタムやレストアの技術を、イベントでユーザーにご紹介したり、メーカーへ提案したりと取り組みを進めています。
様々な分野に挑戦しながら、最終的には大きな目標を達成できればと思います。
今回のイベント視察を終えて・・・
塗装業界に携わる3社からお話を伺い、今後の展望として、塗装業界に留まらず他業界への進出も視野に入れていることが印象的でした。
塗装業界はこれまで、世界経済の発展とともに需要が拡大する安定的な業界とされてきました。しかし、近年は転写やフィルムといった新たな技術が登場し、今後は塗装だけで十分な需要を確保することが難しくなる可能性もあるかもしれません。
この状況は塗装業界に限ったことではなく、今回のイベントに参加されていた他業界の企業様からも、主力事業に加え、新たに始めた取り組みについてお話を伺うこともありました。これらの動きから、新たな分野へのチャレンジに加え、特定分野に依存しないリスク分散といった意図も感じました。
もちろん、塗装業界が今後衰退していくようなネガティブな状況だけではないと思います。塗装業界はこれからも、他業界との連携を強めてさらに魅力を発信できると期待しています。
私たちも塗装業界を盛り上げる一助となるように、情報収集を通じて皆様のお役に立てるよう努めてまいります。

この記事を見て、「塗装や剥離業務をお願いしたい!」という思いを持った方は、各企業様またはNCCまでご相談ください!