2023年4月に一部改正された労働安全衛生法。
昨年までは努力義務で良かった管理も、2024年4月からは一部化学物質については義務化となります。
しかし、義務化と言っても一体どんな対応が必要なの・・・?どの物質が対象なの・・・?
これからも安心して溶剤を使っていきたいけれど、一体何をしたらいいのかわからず頭を抱えている困ったさんがここに1人。
洗浄ブルー、助けてあげて~!!
この私にお任せください!
難しい法規制もしっかり解説いたします。
現場にて・・・
どうしよう・・・
4月から法規制で化学物質の管理が義務化になるって聞いたけど、何をしたらいいのか・・・
どうしたのだ?
とても困っているようだね~。
はい、労働安全衛生法の一部改正についてなんですが・・・
何をすればいいのか、そもそもうちが使用している溶剤が該当するかさえ分からないんです。
詳しい方に教えてほしいのですが・・・
そういうことなら私にお任せください!
法規制への正しい対応は企業のイメージに直結します。
これを機にしっかり学んで安全に化学物質を使用しましょう。
教えていただけるんですか?!
誰に聞けばいいかも分からなかったので、ぜひお願いします!
もちろんです!
労働安全衛生法の一部改正、通称「新たな化学物質規制」についてポイントを解説いたします!
(キィィ~!先を越されてしまった!が・・・むむ?
「新たな化学規制物質」だと?初めて聞いたな・・・
コッソリ盗み聞きしよう)
労働安全衛生法の一部改正!新たな化学物質規制って?
2023年4月から施行された労働安全衛生法の一部改正。
通称、「新たな化学物質規制」と呼ばれています。
何が変わったのか端的に説明すると、
「2024年4月から、法律で決められた物質について事業者ごとに適切な対策が義務化されます。その物質の数はこれまでの約4倍」です。
よ・・・4倍?!と驚く人も多いのではないでしょうか?
具体的には約670物質から約2900物質まで対策が義務化される物質が増えます。
ただ、一気にこの4月から4倍に増えるわけでは無く、今後数年かけて順次追加されていきます。
まずこの点を含めて、今回の規制を理解するために重要な4つのポイントを解説します。
- 規制物質は単純に4倍ではない?
- 結果重視の「自律的管理」を!
- 作業者のばく露濃度を低減させよう
- 皮膚へ接触させないよう保護具を付けよう
1.規制物質は単純に4倍ではない?
今回の法規制で対応が義務化となる物質は、単純に4倍ではなく「危険性・有害性が確認されたすべての物質」に拡大されることになっています。
これは現在危険性・有害性が確認されている物質だけではなく、今後も危険性・有害性が認定される物質が増える可能性があるということ。
つまり、現在の規制リストの中に自社で使用している化学物質が入っていないからといって安心していいというわけではなく、随時追加されるかどうか情報を確認する必要があるということです。
また、今回規制範囲に含まれる物質の数2900種というのは、政府によって分類されている「GHS分類(危険・有害性判定)」の中で既に危険性・有害性が認められている物質の数です。
このGHS分類に基づいた義務化対象物質リストは「独立行政法人労働健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 HP」からエクセルファイルをダウンロードすることができるので、まず「自社で使用している化学物質が規制に該当するのかわからない!」という方はここから確認してみてください。
>独立行政法人労働健康安全機構 労働安全衛生総合研究所「化学物質の管理が変わります!」
※エクセルファイルはページ中程の「労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付の義務化対象物質リスト」からダウンロード可能です。
2.結果重視の「自律的管理」を!
これまでは一部の危険物質に対して特化則や有機則などで「Aという物質は人体に有害なので、このような管理をしなさい」といった個別具体的な対策が決められていましたが、これが現場では「法律だけ守っていればいい」と結果を軽視して形骸化したルールとなっていた問題点がありました。
そもそもこれまで規制物質以外での化学物質で労働災害が多発していたことから、今回の規制範囲拡大に繋がったとされています。
このような背景から、今回の規制では規制される物質について決められた対策方法がありません。
そのため、事業者は「自社で使用する化学物質のばく露量を最低限にする」ために「自社で考えて対策を行う」という自律的な管理が必要になります。
そのために、自社で化学物質管理者を選任したり、リスクアセスメントを進めることも併せて必要になってきます。
3.作業者のばく露濃度を低減させよう
もし現在使用している化学物質が規制に該当する場合、事業者はまず最初に物質の代替を検討するのが良いとされています。
しかし、すぐに代替品を見つけるのは難しいこと。
妥協すると品質や生産性に大きな影響を与える恐れがあります。
今回の規制までに代替品への切り替えが間に合わない場合、リスクアセスメントを行った上で作業者が対象物質にばく露される程度を「最小限にする」義務があります。
これには順序があり、
- 発生源を密封する装置、または局所排気・全体換気装置の設置及び稼働
- 作業方法の改善
- 有効な呼吸用保護具の使用
の順で対応することが推奨されています。
2.結果重視の「自律的管理」を!でも説明した通り、ばく露濃度の最小限化という「結果」が求められるため、上記の対応に加えて現場の状況を常に把握することが重要です。
4.皮膚へ接触させないよう保護具を付けよう
規制対象になる全ての物質の中でも、皮膚や目への障害を起こしうる物質を扱う事業者は、その有害性に合わせて作業者が物質に直接触れないよう適切な保護具を着用させる必要があります。
健康障害を起こすことがわかっている物質を扱う現場では、物質ごとに最適な保護手袋や保護眼鏡、ウェアなどを適切に着用することが義務になりますが、健康障害が明確に判明していない物質についても適切な保護具着用が努力義務となっています。
つまり、現段階では健康障害があるかどうかわかっていない物質でも、将来的な健康被害を防止するために保護具が必要ということです。
物質の有害性別に行う対応一覧
上記で、主に現場で重要になる対応を説明しました。
もちろん、これに加えて対象物質を扱う場合は
- ラベル表示・SDS交付による危険性・有害性情報の伝達義務
- SDSの情報等に基づくリスクアセスメント実施義務
が事業者ごとに課せられます。
具体的に、物質の有害性別に行う対応は下記の通りです。
①労働災害が多発している等、自律的管理が困難な物質や作業
→製造・使用等の禁止、許可制の導入
②国のGHS分類により危険性・有害性が確認されたすべての物質(約2,900種)のうち、
1.国が管理基準を設定している物質
→・ラベル表示・SDS交付による危険性・有害性情報の伝達義務
・SDSの情報等に基づくリスクアセスメント実施義務
・ばく露濃度を「管理基準」以下とする義務
・皮膚への刺激性・腐食性・皮膚吸収による健康影響のおそれが無い事が明らかな物質以外の全ての物質について、保護眼鏡・保護手袋・保護衣等の使用義務
2.国が管理基準未設定の物質
→・ラベル表示・SDS交付による危険性・有害性情報の伝達義務
・SDSの情報等に基づくリスクアセスメント実施義務
・ばく露濃度をなるべく低くする措置を講じる義務
・皮膚への刺激性・腐食性・皮膚吸収による健康影響のおそれが無い事が明らかな物質以外の全ての物質について、保護眼鏡・保護手袋・保護衣等の使用義務
③国によるGHS未分類物質
→・ラベル表示・SDS交付努力義務
・リスクアセスメント努力義務
・ばく露濃度をなるべく低くする措置を講じる努力義務
・皮膚への刺激性・腐食性・皮膚吸収による健康影響のおそれが無い事が明らかな物質以外の全ての物質について、保護眼鏡・保護手袋・保護衣等の使用義務
NCCでも、お客様ごとに適切な対応方法をアドバイスすることが可能です。お気軽にお問い合わせ下さい。
もしも・・・対応しないとどうなる?
改正された労働安全衛生法に則った対応ができていないと、定められた罰則に従って処罰が課せられる可能性があります。
現状では現場はブラックボックス化しやすく、労働災害が発生してから現場管理のずさんさが明らかになるケースが多くありました。
そのため、今回の法改正は「労働災害を起こさないための結果重視の対策」へと転換しているのです。
また、法規制に対応していないと企業イメージの悪化に直結します。
正しく化学物質を扱うことで安全な職場環境を確立しましょう!
ひえ~っ、ここでしっかり知ることができて良かったです。
まずは自社の化学物質が該当しているかどうか、すぐに調べてみます!
ただ、自社に最適な保護具ってどうやって探せばいいんでしょうか?
お分かりいただけたようで何よりです。
保護具の選定について、実は最適なサービスがありますので、必殺技でご紹介いたします。
お問い合わせがこちらから!