減圧蒸留方式とは
減圧蒸留とは、蒸留器内を真空状態にして気圧を下げて(減圧して)、沸点を下げて蒸留する方式のこと。
減圧することで常圧では高い沸点をもつ物質を低い温度で蒸留することができます。
「水は100度で沸騰する」というのは常識ですが、それは水は地上付近に限られたこと。標高が高く気圧の低い場所では、水は100度以下で沸騰します。例えば富士山。標高3,776 mの富士山の山頂では、87〜90度くらいで沸騰します。世界最高峰のエベレストは、標高8,850m。水の沸点はぐっと低くなり、70度くらいでお湯が沸きます。この現地を使ったのが減圧蒸留方式なのです。
気圧の基本
私たちが暮らしている地上付近の大気圧は約1013hPa(ヘクトパスカル)で、これを「1気圧」といいます。
高い所に行くほど大気の層が薄くなる(空気が薄くなる)ので気圧が下がり、10メートル上ると1hPa下がります。
そもそも蒸留って?
「蒸留」と聞けばピンとくるのが「蒸留水」や「蒸留酒」だと思います。なんとなく生活に溶け込んでいる言葉ではありますが、「そういえば・・・蒸留って何?」と思う人も少なくはないはず。良い機会なので改めて「蒸留」にも目を向けてみましょう。
蒸留とは液体を一度沸騰させ、出てきた水蒸気を冷却して、再び液体に戻す操作のこと。
なんでこんな面倒臭いことをわざわざするのかというと、「液体の中のある物質を取り出したい!」という時や、「水とその他に分離させたい!」なんていうに便利な方法だからです。
たとえば、今回のテーマでもある「水溶性廃液」の中には、水と油、その他もろもろが含まれていますよね。
蒸留することで液体に含まれている「もろもろ」の沸点の違いを利用して、「水」と「その他の液体」に分けることができるんです。
なぜそんな魔法みたいなことができるのかというと、物質の沸点の違いを利用しているから。
たとえば水の中にAとBという成分が含まれていて、沸点の低いAだけを取り出したいなんて場合は、
【ガンガン加熱する】→【沸点の低い方が先に蒸発する】→【Aの水蒸気を冷やす】→【Aだけが入った液体になる】といった素敵なストーリーが成立するんです。
蒸留・・・賢いな・・・絶賛見直し中です。