炭化水素系洗浄剤(たんかすいそけい せんじょうざい)
様々な種類の金属部品脱脂洗浄用途で使われる非水系洗浄剤。近年、塩素系溶剤の代替として使用されることが多くなってきています。
炭化水素系洗浄剤は原油を蒸留精製して合成された洗浄剤で、「パラフィン系(脂肪族系)」「ナフテン系(脂環系)」「アロマ系(芳香族系)の3つに分けられます。
洗浄装置を使用した脱脂洗浄には、主にパラフィン系の炭化水素系溶剤が使用され、さらに大別すると、「ノルマルパラフィン」と「イソパラフィン」の2種類あります。
どうちがうのかというと・・・?!
●ノルマルパラフィン
沸点範囲がないため、乾燥性や蒸留再生後の回収率に優れています。
●イソパラフィン
沸点範囲が広い(30℃前後)ため、乾燥性や蒸留再生効率は劣りますが、ノルマルパラフィンに比べ安価で購入することができます。
炭化水素系溶剤の特徴
炭化水素系溶剤の全体的な特徴として、金属への腐食性が少なく、毒性が低く、大半のものは有機溶剤中毒予防規則に該当しません。
また、真空技術を使用することで、蒸気洗浄もでき蒸留再生もできるため、継続的にリサイクルしながら使用することが可能です。
塩素系溶剤等は、環境問題の点から労働安全衛生法(有機溶剤中毒予防規則)やPRTR法などの法規則を遵守する必要がありますが、炭化水素系洗浄剤には、これらの法律で規制されている物質はありません。
取り扱いの注意
炭化水素系洗浄剤を含む非水系洗浄剤は、油脂等の汚れを落とすため有機溶剤が使われていますが、その引火性の有無で「可燃性」と「不可燃性」に分類されます。炭化水素系洗浄剤は引火点があるため、消防法乙種四類危険物(引火性液体)の第2・3石油類に該当します。
使用する場合は、管轄する消防署への確認が必要で、洗浄を目的とする設備の設置は、基本的に防爆構造にすることが望ましいです。
また、加熱等により液温が引火点以上になると、火種があれば引火する可能性があります。水に溶けないのため、万が一火災が起きてしまった場合の消火方法は、泡・ハロゲン化物二酸化炭素・粉末消火器などが有効です。
【参考文献:トコトンやさしい洗浄の本 第2版 日本工業新聞社】