「有機溶剤系洗浄剤が使用禁止だと思われる訳とは」でもお話ししたように、有機溶剤系洗浄剤は法規則を守って正しく使用することで価格を抑えながらも高い洗浄力を発揮する優れものです。
しかし、作業者を危険から守るためにも洗浄工程において何が重要で最適なのか知っておきたいポイントですよね。
今回の必殺技は中でも塩素系・臭素系洗浄剤を用いた洗浄方法についてご紹介します。
塩素系・臭素系洗浄剤による洗浄で重要なポイント
塩素系・臭素系洗浄剤は、比較的安価なうえ溶解力も高く、高い洗浄品質が得られることから金属加工の脱脂洗浄に使用されています。
しかしながら発がん性や生殖毒性があるため、洗浄作業を行う際は各洗浄剤の管理濃度基準を遵守し、曝露しない環境下で使用しなければなりません。
これらの洗浄剤は揮発性が高く乾燥性が良いのですが、その分曝露する可能性も高まるため、洗浄装置内の冷却ゾーンで気化した洗浄剤を液化させ回収できる仕組みを設けることが不可欠となります。
また、不燃性物質であるため、直接加熱でき蒸留再生しながら使用することができます。
塩素系・臭素系洗浄剤を用いた洗浄方法
両洗浄剤は様々な場面で用いられているため洗浄方法もそれぞれですが、今回はその中でも基本的な塩素系洗浄設備である「温浴 + 冷浴 + べーパー」の3槽式について解説します。
① 1槽目:粗洗浄(温浴)
油分やゴミの除去が目的です。
洗浄液は常温でも洗浄できますが、加温することで洗浄力が上がる効果が期待できます。
また、超音波と組み合わせることで浸漬洗浄では落としきれない製品に付着した強力な油分やゴミの除去に高い効果があります。
② 2槽目:リンス洗浄(冷浴)
被洗浄物を冷却し、すすぎ洗浄することが目的です。
被洗浄物を冷却しておくことで、次のべーパー洗浄を行う際に急激な温度差から被洗浄物表面に結露が生じ、被洗浄物に蒸気を付着させやすくし洗浄効果を高めることが狙いです。
③ 3槽目:べーパー洗浄
仕上げ洗浄として行うことが目的です。
蒸気によって洗い流された油分は液中に溶け込みますが、その油分は沸点が非常に高く、塩素系洗浄剤と比較しても100℃以上の沸点差があります。この沸点差を利用することで常にキレイな蒸気で洗浄することができ、製品に付着した溶剤は乾燥性が良いため自然乾燥が可能です。
昨今では、有機溶剤を使用する場合の密閉式洗浄システムも販売されており、曝露を最小限に抑え活用している現場や毒性が少ないフッ素系洗浄剤を密閉式の洗浄システムに投入し、ランニングコストを抑えて使用する場合もあります。
どんな洗浄剤・洗浄方法でもルールを守って安全に使用しましょう!
洗浄工程では両洗浄剤を曝露しない環境で作業することが
重要です。洗浄力は高いですがその分危険な物質ですので、
設備が整わない場合は他洗浄剤を使用しましょう。
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