”使える”塗料を乾燥方法から選ぶには?

「ズバリ解決!3Cラボ」にてお伝えしましたが、塗料にはいわゆる自然乾燥(揮発乾燥)以外にも様々な乾燥方法があります。

乾燥方式も踏まえて塗料を選ばないと、塗膜は役割を果たすことができません。

ここでは乾燥方式から塗料選定のポイントをまとめましたので、参考にしてください。

 

塗装グリーン

折角購入した塗料が、ワークの素材や乾燥炉の有無によって使えなかった事例もあります!

ぜひ塗料選定のポイントを確認して、しっかり硬化した塗膜に仕上げましょう!

 

塗料の乾燥方式から考えた塗料選定

塗料の選定にあたり、求められる要素は乾燥方法だけではありません。

塗膜の性能(耐候性、耐食性など)、意匠性(色、艶、模様など)、作業性、コストパフォーマンスなど様々な要素がありますが、今回は塗料の乾燥方法を考慮した塗料の選定ポイントを解説します。

 

ポイント①「ワークの素材」

ワークの素材により“熱を掛けられるか”がポイントになります。

塗料の種類にもよりますが、「熱重合乾燥タイプ」の塗料だと低温焼付塗料と呼ばれるものでも100℃前後の熱を加えるものが多いため、ワークに耐熱性が求められます。

ですので、プラスチックなどの樹脂素材は温度を掛けられないため、「熱重合乾燥タイプ」の塗料は選択肢から外れます。

 

ポイント②「製品のサイズ等」

被塗物が大きいと熱を掛ける乾燥炉に入れることができないため、「熱重合乾燥タイプ」の塗料は選択肢から外れます。

また鋳物などの比熱の大きい製品についても、「熱重合乾燥タイプ」はおすすめできません。

比熱は「物の温まりやすさ」を示す値で、1gのものを1℃上げるのに必要な熱量の事です。

あまりにも重量があり、温まりにくい(比熱が大きい)ものは、乾燥炉に入るサイズだとしても決められた時間では硬化できない可能性があります。

 

ポイント③「作業工程」

塗料の乾燥方法は作業性に大きく影響をします。

生産性を上げる必要があるならば、できるだけ短時間で乾燥が完了する方式を選ぶことが必要です。

熱を掛けられる素材であれば「熱重合反応タイプ」、熱を掛けられないようであれば「揮発乾燥タイプ」が向いています。

 

ポイント④「環境対応」

塗装作業の中で一番環境負荷が大きい乾燥工程では、環境対応が求められています。

なぜ乾燥工程の環境負荷が大きいのかというと、溶剤が揮発する際にVOC(ぶいおーしー:揮発性有機化合物)が、乾燥炉の熱を生成する際にガスや電気を多く用いるためCO2(しーおーつー:二酸化炭素)が排出されるからです。

CO2は地球温暖化物質としてよく知られていますが、VOCは人体への悪影響だけでなくオゾン層や酸性雨などの環境破壊原因物質として削減が求められています。

そのため環境対応と一口に言ってもどちらの側面からアプローチするのか検討する必要があります。

 

  • 「VOC」側面で見た場合 → 溶剤成分が多く、溶解力の強い溶剤を使用する「揮発乾燥タイプ」の塗料は向いていません。
  • 「CO2排出量」側面で見た場合 → 硬化時に乾燥炉を使用するため、エネルギー使用量が多くCO2の排出の多い「熱重合乾燥タイプ」は向いていません。

 

ただ、近年は焼付温度が低かったり焼付時間の短いタイプの塗料も開発されているので、他の条件も加味して検討すると良いでしょう。

 

 

シーファー

これらのポイントをふまえて塗料選びに活かしてほしいのだ~!

 

塗装グリーン

これまでも紹介してきましてが、塗膜の性能やコスト面など、

塗料の選定には様々な要素が関わってきますのでご注意下さい!

塗料選定に困った時は、信頼できるプロにお任せすることをお勧めいたします。

 

博士
(ラボボス)

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