塗膜の性能を左右する!不思議な「固まる」メカニズム

【今月のお悩み】

塗装現場で樹脂製品に塗装をしたのに数日経っても乾きません・・・。

洗濯物などは干していれば自然と乾くし、床塗りをしたときだって時間が経てば乾いたのに、なぜこれは数日経っても乾かないのでしょうか。

樹脂製品に塗布している塗料が間違っていたり、そもそも乾燥するために置いている場所が間違っているのでしょうか?

教えて~、3Cラボ~!

 

博士
(ラボボス)

おや、塗装についてのお悩みをレーダーがキャッチしておるぞ。

塗装グリーンよ、悩んでいるお客様のに行きお悩みを解決してくるのじゃ!

 

塗装グリーン

自分にお任せ下さい!行ってきます。

 

シーファー

待つのだ~!シーファーも一緒にいくのだ~!

 

その頃現場では・・・

 

 

相談者A

う~ん・・・?

樹脂製品に塗料を塗ってから丸二日経つのに、塗料がまだ乾いていないみたいですね。

 

塗装グリーン

お待たせしました!どうやらお困りのようですね。

自分がその悩みを解決致しますが、樹脂製品に塗った塗料はどんな塗料ですか?

 

相談者A

おお~、頼もしいです!

実は、金属塗装の塗料が少しだけ余ったんでプラスチック製品に塗ってみたんです。

そうしたらこの通り。いつまで経っても乾きません・・・

 

シーファー

あっ!触ったら跡が付いちゃったのだ!

 

相談者A

ご覧の通り、時間が経っても乾かず触れると跡が付いてしまうんです。

乾燥させている場所は風がくる場所ではないので、風を起こすために

扇風機の風でも当てれば乾きますかね~?

 

塗装グリーン

それは間違えです!

根本的な塗料選定を間違えているので、風を発生させても乾くことはありません。

塗料は耐久性などのスペック以外にも、乾燥の仕組みを理解して選ぶ必要があります。

 

シーファー

うんうん~!

シーファーたちと一緒に、塗料が持つ乾燥の仕組みを知れば解決するのだ~。

 

相談者

そうだったんですね!

だから、時間が経過しても乾かなったんですね。

乾燥の仕組み知り、次は失敗しないように詳しく教えてください!

 

塗装グリーン

(なんだか、シーファーと今回の相談者さんは雰囲気が似ていますね・・・)

 

 

塗料の乾燥(硬化)方式

液状の塗料が塗膜として効果を発揮するには、必ず乾燥し完全に硬化する必要があります。

 

塗料を“乾かす”という表現をすると、待てば乾く自然乾燥”のイメージを持つ方もいると思いますが、塗料は様々な仕組みで硬化反応が起き、塗膜となっています。

その仕組みの違いで硬化した塗膜の性能も異なりますので、ワークの素材・大きさと併せて塗料の選定に活かして下さい。

まずは塗料の乾燥方式についてご説明します。

 

主な乾燥方法は大きく以下の2つに分けられ、重合乾燥は更に3つに分けられます。

  1. 揮発乾燥
  2. 重合乾燥・・・・・・酸化重合反応、二液重合乾燥、熱重合乾燥

 

一つずつご説明します。

 

 

 1.「揮発乾燥」とは

「揮発乾燥」とは、塗料に含まれるシンナーなどを含む液体の溶媒が揮発することで、残った固形分の樹脂と顔料が硬化することで、いわゆる自然乾燥になります。

この乾燥方法は乾燥性が早く作業性に優れるので、手軽に塗装できるスプレー缶タイプの塗料によく使用されており、簡単に塗装できるため補修や簡易塗装、DIYなどに最適ですが溶媒が再度塗膜に触れると塗料が溶けてしまう為、耐溶剤性や耐薬品性などが求められるワークには向きません。

 

 

 

「揮発乾燥」タイプの主な塗料(乾燥時間目安:1~2時間)

  • ニトロセルロースラッカー
  • アクリルラッカー
  • 塩化ビニル樹脂塗料
  • セラックニス

 

 

 2.「重合乾燥」とは

「重合乾燥」とは、溶媒が揮発することに加え、熱や酸素、触媒、硬化剤、紫外線などと反応し、化学的な重合反応を行うことです。

重合乾燥は塗膜が強固に硬化することが特徴です。

 

今回はその中でも代表的な3つの乾燥方法をご紹介します。

 

 2-1.「酸化重合乾燥」とは

溶媒が揮発したあとに、空気中の酸素と樹脂が結合し重合反応が起きて塗膜が硬化します。

そのため酸素が供給されない状態では硬化せず、また熱をかけて強制乾燥させても硬化時間は縮まりません。

重合乾燥の中ではあまり強い塗膜ではありませんが、溶解力の弱い溶媒で希釈することができるので鉄部の塗り替えなどに使用されます。

 

 

 

「酸化重合乾燥」タイプの主な塗料(乾燥時間目安:16~24時間)

  • ボイル油
  • 油性ワニス
  • 油性エナメル
  • 合成樹脂調合ペイント
  • フタル酸樹脂塗料

 

 

 2-2.「二液重合乾燥」とは

主剤となる塗料に触媒・硬化剤を既定の割合で混合することで、樹脂同士が硬化し塗膜を形成します。

熱をかけなくても強い塗膜になるので、熱に弱いプラスチック製品や熱乾燥炉に入らない大型製品などに塗装されます。

このタイプの塗料で注意しないといけない点は、強制乾燥等で初期の塗膜は硬化しているように見えるのですが、実際にはまだ反応途中である(指触乾燥状態)という点です。

徐々に硬化反応が進み約一週間程度で最高硬度に達するため、一見乾いたように見えた段階で梱包してしまうと跡がついてしまうことがあるので注意しましょう。

 

 

 

「二液重合乾燥」タイプの主な塗料(乾燥時間目安:5~24時間)

  • ウレタン樹脂塗料
  • エポキシ樹脂塗料
  • 不飽和ポリエステル樹脂塗料
  • 酸硬化型メラミン樹脂塗料

 

乾燥時間の目安

 5~24時間

 

 

 2-3.「熱重合乾燥」とは

塗料ごとに最適な温度の熱を決められた時間加えると重合反応が完了し、塗料中の樹脂が硬化し塗膜を形成します。

塗装されたワークや物が冷えた後は硬化反応が止まるので、乾燥後すぐに加工や組み立てに入ることができ作業効率が良いのが特徴です。

高温で変形や破損の心配のない工業用の金属塗装などでよく使用されます。

 

 

 

「熱重合乾燥」タイプの主な塗料(乾燥時間目安:120~140℃で20~30分)

  • 熱硬化型アミノアルキッド樹脂塗料
  • 熱硬化型アクリル樹脂塗料
  • 熱硬化型エポキシ樹脂塗料
  • 熱硬化型ポリエステル樹脂塗料
  • 熱硬化型ウレタン樹脂塗料

 

 

塗装グリーン

ひとえに「乾燥」と言っても、これだけの種類があることをわかってもらえたでしょうか。

ワークや作業環境にあわせた乾燥方法を考慮して塗料を選ぶことも大切です!

 

シーファー

シーファーも改めて分かったのだ~!

乾燥方式がわかったところで、被塗物と相性のいい塗料をうまく選ぶコツを

教えてほしいのだ~!

 

塗装グリーン

それについては、必殺技で詳しくお伝えします!

 

博士
(ラボボス)

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