ズバリ解決!3Cラボでもお話したように、物体の帯電を防止するにはアースを取ることが重要です。
そのアースに電気が流れるためには抵抗は小さくしないといけません。
今回の必殺技では、抵抗の管理規格と人の帯電についての管理方法を紹介します。
静電気対策の効果を維持するためには抵抗の管理が重要だよ!
すぐ見直せることもあるから、ぜひ確認してみてね!
抵抗の管理規格
物(導電体)が帯電した場合は、アース線を地面に繋ぎ電気を逃がしていました。
では、アース線を繋げない人体はどうすればいいのでしょうか?
それは床と靴の導電性を保つことが重要になります。
例えば、人が靴を履いてカーペットの上を歩行すると、靴底とカーペットの摩擦で静電気が発生します。
この時、靴底とカーペットが電気を通さない絶縁体だと、本来靴底から床に逃げるはずの電気が導電体である人体に帯電してしまうのです。
また床のみが導電体の場合でも同様です。
これを誘導帯電と言います。
靴底のみが導電体の場合でも人体は直接帯電してしまうので、床と靴両方の導電性を保つことが大切なのです。
このような静電気を管理するために必要となってくるのが、抵抗規格です。
こちらは国際規格であるIEC 61340-5-1:2016に含まれ、国際電気標準化会議(IEC)によって制定されています。
日本でもこの管理基準をもとに国内規格RCJS-5-1(第3版):2016 やJISが制定されているので、これに沿って管理する必要があります。
実際にどれくらいの抵抗値で床と靴を管理しないといけないのか、下記にまとめました。
床の抵抗規格
可燃性危険物を取り扱う塗料工場などでは、床の漏洩抵抗値は1.0×108Ω以下に保つ必要があります。
漏洩抵抗とは、物体と大地間の電気抵抗のことで、物体から床への電気の流れにくさの事です。
塗床の場合はこの値が1.0×108Ω以下であればいいのですが、こぼれた塗料やホコリなどがこびりついたまま放置すると、直ぐに1.0×1010Ω以上となり床が絶縁状態となってしまいます。
そのため、毎日の清掃や経年劣化した床の補修は欠かさず行いましょう。
靴の抵抗規格
履物の試験方法は国際規格IEC 61340-4-3及び JIS T8103で定められています。
その中で、静電靴の電気抵抗値は1.0×105~1.0×108Ωと規定されています。
静電靴を購入すると試験結果が検査票などに記載されているので確認して見ると良いでしょう。
人体電位の管理
床と靴の導電性を確保しても、静電気を管理するには床と靴を含めた人体の帯電量を見える化する必要があります。
そんな時に、人体電位測定器が活躍します。
実際の作業環境で人がどの程度帯電しているのか知ることで、何を対策すればよいのか見通しが立ちます。
導電床、静電マット、静電靴、リストストラップ等の静電気対策がどの程度人体電位を低下させるか知ることができ、使っている手袋の性能や静電靴の汚れなどでの劣化を調べたり、作業者の動作で帯電がどう変化するのか調べることも可能です。
もしも、測定した時に電位が大きい場合は、靴や床が電気を通していないという事なので、靴底・床の汚れや、中敷き・ソックスの影響等に注意してください。
毎日の管理ツールとしては、現場の入口で静電靴やリストストラップを同時に確認できるチェッカーが有効です。
最新機種では点検データのログ管理や外部出力機能でドアロックなどと連動もできます。
但し、あくまでも靴やリストストラップのチェックなので定期的な人体電位測定も行う事をお勧めします。
衣類の組合せと静電気
服の素材によっても、静電気の起きやすさは異なります。
クリーンルームだけでなく、日常生活でも静電気に悩まずに過ごしたいですよね。
また、更衣室でクリーンウエアに着替える際も、普段着から静電気によってホコリが付着するのを防ぐことは重要です。
下記のイラストは帯電列と呼ばれるもので、衣類の材質によってプラス帯電し易いもの、マイナス帯電し易いものがあります。
帯電列で、離れているもの同士を着合わせると、大きな帯電をします。
クリーンウエアに着る衣類の組み合わせも考えることが重要です。
もちろん、身の回りの導電性を維持していくことが一番の静電気対策だよ!
床の汚れ、靴の劣化、アース線の接続など今すぐ見直せるものは確認してみてね!
なるほど!
これで対策が立てられそうです!
助かりました、ありがとう!
ご相談・お問い合わせはこちらからなのだ~!