粘着シートやシリコンウエハを使って、ゴミ・異物を採取後、「どうやって分析したらいいんだ?」と思いませんか?
その疑問に対するガイドとして、ゴミ・異物の分析手法についてご紹介します。
実際に分析を行う時の分析ツールの選定にご活用ください。
粗大粒子は形状と大きさが分かったら、何で出来ているのか「成分分析(無機物・有機物)」を行います。
その基本的な手法として2種類の分析方法をご紹介致します。
元素分析(SEM-EDX)
全ての物質は元素の組合せで出来ています。
皆さんもご存じの周期表、学生時代に覚えた経験がある方も多いのでは無いでしょうか?
SEM-EDX:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy
EDXは、電子線照射により発生する特性X線を検出し、エネルギーで分光することによって、元素分析や組成分析を行う手法です。EDS: Energy Dispersive X-ray Spectroscopyとも呼ばれます。
周期表の5番B(ホウ素)以上の元素分析が可能なので、検出された元素の種類から金属なのか、有機物系なのか、ある程度の分類ができます。
たとえば、Fe、Ni、Crなどが検出された場合はSUS(ステンレス)系の摩耗粉かさびなどが推測されます。
その他にもCu、ZnやAl、Oの組合せなど分かり易いものもあります。
人体からの発塵だと、C、N、Na、K etc などの元素が多く見つかります。
写真と分析結果をデータベース化して、顕微鏡判定ができるようにすると解析スピードが速くなります。
有機物分析(FT-IR)
有機系の異物について、発生源を調べるときに有効な分析手法がFT-IRです。
FT-IR:Fourier Transform Infrared Spectroscopy
FT-IRは、サンプルを透過あるいは反射した赤外光を検出し、フーリエ変換処理を行なって波長成分を得る装置で物質の同定や定量、化学構造の推定などを行なうことができます。
最近は小型の機種も多く開発されており、工場の分析装置としても普及して来ています。
異物をFT-IR分析したIR(赤外吸収)スペクトルを、データベースのIRスペクトルと比較して物質を同定して行きます。いろいろ調べて、データベース化することで発塵源対策をより効果的に行う事ができます。