【新提案】PDRで導き出す、最適なクリーン環境の指標

相談者さんの現場ではパーティクルカウンターで現場の清浄度を定期的に測定していましたが、パーティクルカウンターでは不良の原因となる粗大粒子が測定できないため管理方法の変更を検討していました。

しかし、今まで粗大粒子に着目した管理をしていなかったため、効果的な管理方法が分かりません。

現場の管理はどのように行えばよいのでしょうか?

 

 

相談者B

今まで測定できていなかった粗大粒子をこれから管理していくことになりましたが、正直どのように進めればよいのか分かりません・・・

 

 

博士
(ラボボス)

それは困ったのぅ・・・

よし、クリーン化オレンジ!お前に任せるぞ!

 

クリーン化
オレンジ

了解しました~!

早速だけど、「PDR」って聞いたことある~?

 

相談者B

PDR?初めて聞きました!

 

クリーン化
オレンジ

このPDRを活用することで、落下塵ベースの環境管理ができるんだよ~!

 

博士
(ラボボス)

粗大粒子は10~100μmと大きく空気中を浮遊しないから、最終的に沈降して落下塵になるんじゃ。

だから、落下塵ベースの管理方法なら粗大粒子の実施も把握できるんじゃよ。

 

相談者

なるほど!

ぜひ落下塵ベースの環境管理を実施したいのですが、PDRから詳しく教えてください!

 

クリーン化
オレンジ

もちろんだよ~おいらに任せなさい!

 

PDRとは

PDR(パーティクルでポジションレート)とは、ISO14644-17で制定された、1㎡あたりに1時間で5~500μmの異物がどの程度落下するか管理する指標です。

 

PDRは下記のような公式で求めることができます。

 

PDR = 個数 ÷ (面積×時間)

*単位はヶ/㎡・h

 

これを応用することで生産環境や製品に応じた最適な環境を計算で導き出すことができます。

 

PDRについて

 

PDRを活用した落下塵ベースの環境管理とは

PDRは測定する時間や広さが決まっていますが、「製品を保管している場所は1㎡以下だから想像がつかない」「作業時間は10分程度だから参考にしにくい」といったケースもあるかと思います。

 

そこで、PDRを活用しより細分化した落下塵ベースの環境管理について解説します。

 

 

相談者

ぜひお願いします!

 

クリーン化
オレンジ

合点承知!

2ステップで管理指標が導きだせるよ~!

 

ステップ① 1㎡を製品面積へ細分化

“1㎡”はあくまでもPDRを求めるための数字です。

実際に現場でゴミ・異物が付着する製品のサイズは様々ですので、その製品の面積にどの程度のゴミ・異物が落ちてくるのか計算しましょう。

 

例えば、生産環境がPDR(10μm)10000ヶ/㎡・h、おおむねクラス10000程度の清浄度で、100c㎡(10㎝×10㎝)の製品を製造していたとします。

1㎡は単位を変えると10000c㎡となりますので、製品面積100㎠は1㎡の1/100となります。

 

1㎡=10000㎠

10000㎠:100㎠=100:1

10000個×1/100=100ヶ

 

10000ヶの1/100は100ヶ、つまり100c㎡の製品に1時間で100ヶの異物が落ちてくるという計算になります。

 

面積を細分化

 

 

ステップ② 1時間を曝露時間へ細分化

面積を細分化したら、次は時間を細分化します。

面積と同様に、現場によって製品が曝露している時間は異なります。

例えば、曝露時間が1分と仮定すると、1時間は60分であるため曝露時間は1時間の1/60となります。

 

これを当てはめて考えると・・・

 

1時間・100㎠あたり100ヶを1/60すると、1分・100㎠あたり1.67ヶという数字になります。

 

1時間(60分)× 1/60=1分

100ヶ × 1/60=1.67ヶ

 

これは、曝露時間1分の場合、100㎠の製品にゴミ・異物が1.67ヶ落下してくるということが導き出せます。

 

もし10μmのゴミ・異物で不良になる製品であれば、例に挙げた環境では確実に不良へ繋がってしまいます。

ゴミ・異物不良を発生させない理想的な環境は、製品面積・曝露時間あたりの異物個数が1ヶ以下の環境です。

 

曝露時間を細分化

 

 

理想環境の導き出し方

理想的なクリーン環境がどのような環境なのか分かりましたが、いちいちPDRを細分化するのは手間が掛かりますよね。

ご紹介した細分化の計算方法は、逆算してPDRを求めることも可能です。

 

まず製品が曝露される時間を1時間へ変換する必要があります。

先ほど例に挙げた環境では1/60だったので、今回は60倍すると、曝露時間1時間・100c㎡あたりは60ヶとなります。

 

さらに製品サイズを1㎡(10000c㎡)へ変換するため、100倍すると、曝露時間1時間・1㎡あたりは6000ヶとなります。

 

もし製品サイズが100c㎡で曝露時間が1分だとすると、目指すべき理想的なクリーン環境は「曝露時間1時間・1㎡あたり10μmの落下塵が6000ヶ」以下であることが導き出されました。

 

これらはあくまで、ゴミ・異物不良の多くを占める10μm以上のゴミ・異物がどの程度であれば現場にとって理想的なのか、判断したり目指したりするひとつの数値です。

現場や製品によって求められる清浄度は異なりますが、PDRを活用し効果的な環境づくりや異物対策を進めましょう。

 

 

相談者

こんな方法で環境管理ができるんですね!

弊社では10μm未満のゴミ・異物は不良の対象外なので、ぜひ取り入れたいと思います。

 

博士
(ラボボス)

お役に立てて安心したのじゃ。

過去にもPDRについてご紹介しているのでこちらをぜひご覧ください!

 

相談者

ありがとうございます!

ですが、どのように落下してくるゴミ・異物を測定すればよいのでしょうか?

 

クリーン化
オレンジ

実は、落下塵を測定できる特殊計測器があるんだよ~!

れは必殺技でご紹介するね~!

 

博士
(ラボボス)

お問い合わせはこちらじゃ!

 

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