以前「クリーンルーム清掃」についてご紹介しましたが、今回は中でもゴミ・異物を減少させる拭き取り清掃についてピックアップし、ゴミやホコリを逃さない清掃方法をクリーン化オレンジが徹底解説!
どのような清掃方法が最もゴミ・異物の除去率が高い方法なのか、現在行っている清掃手順は汚染行為になっていないか等を確認してみましょう。
クリーン化オレンジ、準備はいい?
もっちろんさ~!おいらに任せておくれ~!
現場にて・・・
弊社ではクリーンルーム清掃を定期的に行っているのですが
なぜかゴミが残っているんです・・・。
クリーンルーム以外の現場でも高頻度で清掃していますが、
異物付着による不良が無くなりません。
それはきっと清掃方法が間違えているよ~!
どんな清掃をしているの~?
掃除機でゴミなどを吸い取り、そのあとに
乾いたワイパーで拭き掃除をしています。
その拭き掃除、もっとレベルアップできるぞ~!
おいらのオススメ拭き掃除について伝授するぞ~!
もっと効果的な拭き掃除があるんですね!
今日から取り組みたいのでぜひ教えてください!
クリーン環境に清掃が必要な理由とは
例えばクリーンルームのような清浄度の高い環境は、「クリーン環境=ゴミ・異物のない清浄度の高い状況」と認識している方が多くいます。
実際には間違ってはいませんが、正確には「ゴミ・異物がなく、キレイにしなければならない環境」なのです。
ゴミ・異物を確実に除去するためには「清掃」が必要不可欠であり、一般環境の美観を考慮した「掃除」とは全く異なります。
では、実際にどのようなゴミ・異物が多く存在しているのでしょうか?
例えば、組立て現場などは組立て作業台を例にあげてみましょう。
組立て作業台は人が作業を実施する場所となり、最も袖口から出たゴミ・異物により汚染されているといわれています。
その汚染された環境化で製品の組み立て作業を実施した場合どうなるでしょうか。
もちろん、製品不良へと繋がる確率は高くなりますよね。
実はクリーンルームなどの清浄度の高いクリーン環境下に存在する最も多いゴミ・異物は、皮膚や髪の毛といった人由来のもので、全体の50%近くを占めていると言われています。
ですので人が作業するような場所は、ゴミ・異物が溜まり、汚染されやすい場所といえます。
クリーンルーム清掃のおさらい
汚染原因である「人」が毎日出入りするクリーンルームは清掃をしてもすぐにゴミ・異物が蓄積するため、クリーンルームのクリーンレベルを保つためには清掃が重要な役割を果たします。
しかし、清掃行為が汚染行為へと変わってしまう可能性もあるため注意が必要です。
「いつ」「だれが」「どんな」方法で清掃するのか定め、この3点をもとに、日常清掃、定期清掃、特別清掃をマニュアル化し状況に応じて行うことで効果的に清掃を行うことができます。
また、クリーンルームで使用する清掃用具はどんなものでも良いわけではなく、ホコリを舞い上がらせない工夫や余計な発塵を防ぐ設計が施されている「クリーンルーム仕様」のものをクリーンレベル、コスト、効果など多くのポイントを考慮しながら選定しましょう。
クリーンルーム内のおすすめ清掃方法とは
清掃しなければいけないこと、清掃するにあたって注意することをおさらいしましたが、具体的にどんな方法で清掃すればよいのでしょうか?
おいらのおすすめはズバリ!
濡れた状態のワイパーで拭き取り清掃!
清掃方法別ゴミの除去率
「掃除機でも十分ゴミを吸い取っていると思っていた」「ワイパーが乾いていても濡れていても効果は変わらなさそう」といった声が聞こえてきそうですが、実は下記のように清掃方法によってゴミ・異物の除去率はこんなにも差があります!
清掃方法 |
異物除去率(床上のデータ) |
掃除機 | 70%台 |
乾き拭き | 80%台 |
濡れ拭き | 98% |
濡れ拭き往復 | 80%台 |
粘着ローラー |
70%台 |
※参考文献:「クリーンルームだけに頼らない本当のクリーン化技術」園田信夫著
上の表を見ての通り濡れ拭き清掃が飛び抜けてゴミ・異物の除去率が高いため、私たちはクリーン環境の清掃に濡れ拭き清掃を推奨しています。
乾き拭き清掃ではなく濡れ拭き清掃をお勧めする理由は、付着したゴミ・異物である付着塵の除去率が大きく違う上に、乾き拭き清掃ではワイパー自体の発塵があるため、清掃行為が汚染行為となる可能性があります。
ですので、普段使用しているワイピングクロスでも濡らして使用することで驚くほどゴミ・異物の除去率が上げましょう!
また、掃除機でゴミや異物を吸い取った後に濡れ拭き清掃をすることでさらなる効果を見込めます。
ワイパーを濡らす際の注意点とは?
濡れ拭き清掃が効果的なんですね!乾き拭きをしていたので今日から変更します!
そこで質問なんですが、ワイパーは水道水で濡らせばいいのでしょうか?
それはだめだよ~!
クリーン環境の拭き清掃をする際は必ず純水を使用しよう!
ワイパーが濡れた状態であれば濡らす水は関係なし・・・ということはありません!
水道水といわれる市水にはミネラル分などの不純物が大量に含有されているため市水で濡れ拭き清掃を実施すると、ミネラル分が析出し白く液シミが残ってしまいます。
これがどんどん蓄積すると粉末化し、異物不良の原因に繋がる可能性があるので、市水の使用はおすすめできません。
濡れ拭き清掃で使用可能な液体は下記の2点です。
- 純水
化学的に不安定な状態で汚れを吸着させやすい状態であり、付着汚れなども溶解しやすいので、純水の使用を推奨しています。 - 揮発性溶剤(アルコール)
揮発性溶剤拭きは殺菌などの効果を発揮し、液体が揮発するので液シミが残らないことがメリットです。
しかし、アルコールが高価なため、清掃での費用対効果を考慮すると除菌以外での使用はおすすめしません。
また、被清掃物が対溶剤性がないと溶解する可能性がありますが、拭き取り清掃する直前に対溶剤性有無の判断はできないので、純水拭きが最も安心であるといえます。
おすすめの拭き方
純水を用いた濡れ拭き清掃がおすすめだと紹介しましたが、使用するワイパーの種類や拭き取り方向によってもゴミ・異物の除去率が変わるため、高い除去率で清掃する方法や道具を考えることも重要事項です。
まずはワイパーについて考えてみましょう。
ワイパーは不織布ワイパーのように使い捨てのものもあれば、マイクロファイバーの厚手で起毛しているような様々な種類があります。
不織布は脱落繊維が多いため使用を避ける方もいますが、純水やアルコールを含ませて濡れている状態にすることで脱落繊維を抑えられます。
一方で脱落繊維が少ない長繊維のワイパーは比較的高価であるため、費用対効果を踏まえた上で自社に使適したものを選定しましょう。
道具を選んだら拭き方にも意識を向けましょう。
下図のように上部から下部へ、奥から手前へ、狭所から広所へ寄せるように拭き取り清掃を行い、最後に寄せた異物をまとめて拭き取ることでゴミ・異物を逃がしません。
「一方向に1ストローク」が拭き作業による再汚染を防ぐために重要なキーワードです。
一方向に進まず、右へ左へと往復するスタイルで拭き取りをすると、ゴミ・異物除去率の表でもあったように98%もあった濡れ拭き清掃の除去率が80%まで低下してしまいます。
拭き方ひとつでゴミ・異物の取り残しが生まれるので要注意!
こちらでもクリーンルーム清掃についてご紹介しているので見てみてね~!
さらに、1度その空間の清掃をしても50~70%程度の異物は除去できても、残りの30~50%が再飛散し気流の失速する箇所に落下・蓄積されると言われています。
拭き取り清掃を含めたクリーン環境の清掃を下記のようにエリア分けし、繰り返し清掃を行って高いクリーンレベルを維持しましょう。
頻度 | 清掃エリア |
毎日 | 作業台、1次ストッカー、床、治工具、出入り口付近 |
毎週 | 装置裏、共有スペース |
毎月 | 部品棚、保管棚、エアーシャワー |
毎年 | 壁面、天井面、照明類、機械下(業者清掃を推奨) |
なるほど~!日々の清掃だけでは足りない部分もあるのですね!
清掃後にゴミ・異物が除去できたか確認したいのですが、
何かいい方法はありませんか?
承知しました!おいらに任せておくれ~!
必殺技で紹介するよ~!
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