迷ったときこそ!忘れてはいけないゴミ・異物を減らす2つの視点

【今月のお悩み】

クリーンルームを定期的にパーティクルカウンターで測定し管理していますが、製品不良になるゴミ・異物はもっと大きいもので、パーティクルカウンターでは測定できないと聞きました。

現状の管理方法で本当に合っているんでしょうか。正しいクリーンルーム管理が何なのか判断できません・・・

助けて~、3Cラボ〜!!

 

シーファー

クリーン化オレンジ〜!

またまたクリーンルーム管理のSOSをキャツチしたのだ!

何やらパーティクルカウンターについて誤解してるみたいなのだ〜

 

クリーン化
オレンジ

それは大変だ!!正しい道に戻してあげなければ。

おいらに任せて!

さっそく現場に行ってきま~す。

 

その頃、現場では・・・

相談者A

パーティクルカウンターの測定値は規格内で問題無し、管理は完ぺき!

と思ってたけど、パーティクルカウンターでは製品に影響しない粒子しか測定できないんですよね?

これってぶっちゃけ意味ありますか?

クリーン化
オレンジ

お〜っと!それは完全に思い込みだ!

パーティクルカウンターで測定することはちゃんと意味があるよ。

相談者A

えっ、そうなの?

製品には影響しない大きさしか測定していないのに?

クリーン化
オレンジ

クリーンルームやクリーン環境の性能を評価しているんだよ。
微小粒子や粗大粒子って聞いたことありますか?

相談者A

微小粒子は小さい粒子で、粗大粒子は大きな粒子…とかですか?

 
 

 

 

 

 

 

 

クリーン化
オレンジ

その通り!

でも大きさだけではなく、微小粒子と粗大粒子の挙動(動き方)の違いを知ることで

クリーンルームの管理方法が分かってくるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

相談者

そうなんですね。

ぜひ、微小粒子と粗大粒子の挙動の違いを教えて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

微小粒子と粗大粒子の挙動 ~大きさ~

「微小粒子」と「粗大粒子」の違いは?と聞かれたらみなさんはどう説明しますか?

 

JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語では、

  • 微小粒子:気体中または液体中に浮遊しほとんど沈降しない粒径が1μm程度以下の粒子
  • 粗大粒子:粒径が10μm~100μm程度の粒子と定義されています。

この定義を挙動に着目してわかりやすく説明すると、

  • 微小粒子は「浮遊し、沈降しない粒子」
  • 粗大粒子は「浮遊せず、沈降する粒子」

 

と表すことができます。

つまり粒径の小さい微小粒子は『漂っている』粒子で、粒径の大きい粗大粒子は『地上に落ちる』粒子となります。

これが大きさによる挙動の違いのポイントになります。

 

相談者B

粒子の大きさによる挙動の違いは、よくわかりました!

ということは、金属のように重い粒子でも小さければ

地上に落ちずに浮遊しているってことですか?

 

クリーン化
オレンジ

おお~!!素晴らしい着眼点です。

粒子の挙動を理解するには、「大きさ」だけでなく粒子の「材質」に

注目することが大切なんです。

 

微小粒子と粗大粒子の挙動 ~材質~

粒子の挙動は大きさだけでなく「材質」によって違いが生じます。

 

例えば、金属などの質量が重いものは、面積が小さくても浮遊せず落下します。

逆に繊維や紙粉のような軽いものは、面積が大きければ浮遊し続けるか、ゆっくりと落下します。

 

このように、「重く、表面積が小さいもの」は速く落下し、「軽く、表面積の大きいもの」は気流の影響を受けゆっくり漂ったり落下したりを繰り返すため、『重さ』形状』も粒子の挙動に違いが発生するポイントになります。

 

挙動に注意が必要なゴミ・異物

 

クリーン環境を維持するうえで、挙動に注意が必要なゴミ・異物は繊維ゴミと微小粒子です。

繊維ゴミは非常に軽い材質のため、100μm以上の大きなゴミでも、落下後に作業者の動きなどで発生した気流で再び舞い上がり、気流に乗って広範囲に飛散します。

微小粒子は目に見えないため、気づかぬうちに静電気などに引き寄せられ、壁や天井に付着します。
さらに静電気で引き寄せられた微小粒子同士がくっつくことで巨大化し、浮遊せずに落下し、製品に付着するのです。

 

 

クリーンルーム管理で大切な2つの視点

微小粒子と粗大粒子の違いから分かる様に、クリーンルーム管理においてもつべき大切な視点は、「漂っているゴミ」「落ちてくるゴミ」です。

 

「漂っているゴミ」は気流を作ることでフィルターで捕集したり部屋から排出することができます。

発塵した場合も気流の下流側(風下)でパーティクルカウンターを使用し測定することで粒子数をモニタリングできます。

その際の測定値が規格内であれば、空気がキレイと判断できます。

ちなみに、空気のキレイ度は、ISO14644-1で規定されています。(ISOクラス

 

また、パーティクルカウンターで常時監視することで濃度変化がわかり、クリーンルーム設備の異常や気流の変化、フィルターが詰まったりなどのトラブルを即座に検知することが可能になります。

 

モニタリングに関してはISO14644-2(2015)やJIS B 9920-2 (2019)でも規定されています。

 

 

シーファー

漂っているゴミには、パーティクルカウンターが大活躍なのだ〜♪

 

 

もう一つの視点である「落ちてくるゴミ」は落下塵といわれます。落下塵は気流の速さで舞ったり落ちたりしますが、材質の違いや形状で舞上る高さや方向にも違いがでます。

 

気流で舞っている状態を浮遊塵、落ちて付着した状態を付着塵と言いますが、浮遊塵や付着塵も含めて落下塵と表現されています。

 

この落下塵が多いと、持ち込まれているゴミ、発塵しているゴミが多いと判断され、製品の不良につながるゴミ・異物を管理する上では落下塵を管理することがとても重要です。

 

まとめ

 

①クリーン環境の機能を管理するためには微小粒子の管理

②製品不良に直結するゴミ・異物を管理するためには粗大粒子の管理

 

この2つの視点でクリーンルームの清浄度管理を行うことがゴミ・異物を減らし、安定した品質を作る近道だと考えます。

 

 

クリーン化
オレンジ

様々な情報が簡単に手に入るいま、その情報が正しいかどうか判断することは

非常に難しいです。もし、判断に迷ったときにはクリーン化のプロがいるNCCへお気軽にお問合せ下さい!

 

 

シーファー

ねえねえクリーン化オレンジ~

漂っている小さなゴミの挙動を監視するのにパーティクルカウンターが有効なのはわかったのだ~

でも、製品不良に直結するゴミ・異物は何を使って調べればいいのだ~??

 

クリーン化
オレンジ

おお~シーファーもいい気付きだぞ!

製品不良に直結する「粗大粒子」の変化をキャッチする方法は

必殺技で詳しく解説します!!

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