減圧蒸留方式とは
減圧蒸留とは、蒸留器内を真空状態にして気圧を下げることで、沸点を下げ通常よりも低い温度で蒸留する方式のことです。
減圧すると沸点も下がるため、本来なら高い温度でしか沸騰しない物質でも低い温度で蒸留することができます。
水が100度で沸騰するというのは常識ですが、それは地上付近に限られたことで、気圧の低い場所では水は100度以下で沸騰します。
例えば、標高3776mの富士山頂では87~90度で沸騰し、標高8850mのエベレストでは水の沸点はさらに低くなり約70度でお湯が沸きます。
この理論を利用したのが減圧蒸留方式なのです。
蒸留とは
「蒸留」と聞いて「蒸留水」や「蒸留酒」を思い浮かべる方は多いと思います。
日常生活でも耳にする身近な言葉ですが、いざ説明しようとすると意外と難しいのではないでしょうか。
蒸留とは、液体を一度沸騰させ、出てきた水蒸気を冷却して、再び液体に戻す操作のことです。
なぜそのような手間のかかることを行うのでしょうか?
それは、液体の中にある物質を取り出したいときや水とそのほかに分離させたいというときに有効な方法だからです。
例えば、洗浄工程で使用した炭化水素系洗浄剤の中には、除去した加工油などが混ざり合っています。
これを真空状態で蒸留すると、それぞれの物質が持つ沸点の違いを利用して、炭化水素系洗浄剤と加工油を分離することができます。
通常の加工油は沸点が200度程度であるのに対し、炭化水素系洗浄剤は170〜190度程度と少し低めです。
そのため、液体を加熱すると沸点の低い炭化水素系洗浄剤だけが先に蒸発します。
この発生した蒸気を冷却し再び液体に戻すことで、炭化水素系洗浄剤だけを取り出し、再利用することが可能になります。
囲みに、真空状態にするのは炭化水素系洗浄剤が引火性液体であり、酸素に触れることで火災や爆発といった事故に繋がる恐れがあるため、それを防ぐ目的があります。
