モノづくり現場の工場内に設置されているクリーンルームでも例外なくその暑さの影響からエアコンを稼働させ、適温を保っているのではないでしょうか。
ですが、お悩みさんが後付けで設置した比較的清浄度が高くない簡易クリーンルームでは、エアコンを稼働し始めたら異物付着が増え問題となっているようです。
エアコンにはフィルターが付いているのに一体どうしてー?!
暑くなりエアコンを点けているのですが、なぜか異物付着が増えてきています。
エアコンにはフィルターが組み込まれているから問題ないはずなのに・・・
フィルターが組み込まれているのなら問題ありませんよ~!
きっと運転初期なのでゴミが出ているだけですよ、ヒヒッ
う~ん…異物付着による不良が増えるのは製品品質に影響するので、
この状況を放置するわけには・・・何かいい方法はありませんか?
もちろんございますとも!
スーパーエアコンを導入しましょう!
エアコンからゴミやホコリが全く排出されないのでおすすめです!ヒヒッ!
コラーッ!適当なこと言っちゃダメだよ!
今のエアコンでも対策次第では異物付着による不良を解決できるかもしれないよ~!
ええっ?!エアコンを変えずに不良問題が解消されるんですか?!
ぜひその対策について教えてください!
うまく付き合う方法を知れば、大きな投資せずに解決することもあるから
一緒にみていこう!
キーーーーッ!ラボレンジャーめ!
次こそは必ず・・・!
パッケージエアコンがゴミ・異物不良を増やす原因とは
夏の現場で快適に作業を行うために欠かせないエアコン。
近年では地球温暖化の影響もあり命を守るための必需品であるため、多くの現場で使用されています。
クリーンルームでも同様ですが、全てのクリーンルームが「クリーンルーム用エアコン」を導入している訳ではありません。
特に清浄度の低いクリーンルームでは、パッケージエアコン(Package Air Conditioner=PAC)や壁付けのエアコンを使用しているとこも多く見受けられます。
ところで、皆さんはエアコンの掃除をしたことがありますか?
家のエアコンでも職場のパッケージエアコン(以下、PAC)でも良いのですが、「結構フィルターが汚れてるな」と思ったことはありませんか?
PACや通常のエアコンにもフィルターはついていますが、その性能はクリーンルームで使用するには不十分で、クリーンルーム用ではないエアコンのフィルターにはパーティクルを除去する機能はありません。
ですので、「フィルターはあってもパーティクルの除去はできない」ということを覚えておいてください。
PACのフィルターで補足できるゴミ・異物とは?
PACに組み込まれているフィルターは「粗フィルター」と呼ばれ、繊維異物など比較的大きなゴミ・異物をキャッチするものであり、クリーンルーム専用エアコンに組み込まれている微小なゴミ・異物まで捕集することができるようなフィルターではありません。
そのため、クリーンルームで管理するような微小粒子は除去することができないのです。
クリーンルームの管理にはパーティクルカウンターを用い、1μm以下で気中に浮遊する微小粒子数を測定しますので、PACを動かしてもパーティクル数が減少することはありません。
しかし、PACでも微小なゴミ・異物を捕集可能にする状況があります。
それは大きなゴミ・異物が捕集された粗フィルターが徐々に目詰まりすることで、本来捉えることのできない微小粒子を捕集するようになりますが、PAC稼働時の微振動により絶えずゴミ・異物を気流に乗せて環境を汚染し続けてしまうため、早急に解決する必要があります。
PACが引き起こす環境汚染の度合い
異物がエアコンから排出される気流に乗って空間を汚染し続けますが、具体的にどのくらい汚染されるかの汚染度合を計測した実験があり。
その実験では、エアコン運転時に汚れている粗フィルターのホコリやゴミなどを強制的に除去するを条件とし、下記のような結果が得られました。
【結果①】
瞬間的な様子 | その後の様子 | |
0.5μmのパーティクル | 500万個/cf(※1・2)を超えるパーティクル量 | 100万個/cf(※3)を下回るまで概ね40分程度 |
5μmのパーティクル | 50万個/cfを超えるパーティクル量 | 1万個/cfを下回るまで概ね20分程度 |
※1:/cf(きゅーびっくふぃーと)とは1立法フィートを表す。1辺が1フィートの立方体の体積で、約28.3L相当。
※2:500万個/cfとは一般工場環境程度
※3:100万個/cfとは一般事務所環境程度
【結果②】
さらに、この実験では吹き出し口から1m地点と10m地点にて同時に測定を行っており、パーティクル濃度はほとんど同じであったことから、空間全体が汚染されたことが明確となりました。
この結果より、
- PACにはパーティクルを除去する機能は備わっていない。
- PACで捕集できなかったホコリや異物が排出される気流に乗って空間全体を汚染する。
また、収束するのに約40分掛かる。
ということがわかります。
ひょえ~~!何も知らずエアコンを使っていたけど、まさかこんなにホコリが拡散していたなんて!
でもこんなに暑い夏にエアコンを使わないなんてできないよ~
どうすれば清浄度を保ちながらエアコンを使えるの?
おいらがとっておきの管理方法を伝授するよ~!
PACとうまく付き合う方法
真夏の必需品であるためPACを含めたエアコンの使用を制限することは現実的ではありません。
しかし、上記の実験では拡散されたゴミ・異物が収束するまでに1時間程度掛かることがわかっています。
ですので、PACを使用しながらなるべく発塵を抑え、製品への異物付着を防ぐ4つの方法をご紹介します。
発塵を抑える4つのポイント!
- 粗フィルターに大きなホコリや異物が堆積しないように定期的な清掃が必要
掃除機で捕集されたホコリを吸い込み、水洗いすることでこびりついたホコリも確実に除去します。
フィルターの汚れ具合は環境によって異なりますので、自社環境に合わせて清掃頻度を決めましょう。 - PACの気流動線上に製品を放置しない
気流が当たる場所へ製品を置いてしまうと、気流に乗ったホコリが付着したり堆積したりします。
数分なら置いておいても大丈夫、と思いますが、異物が付着するリスクを少しでも減らすためには気流の導線を確認し、直接風が当たらない場所へ製品を移動しましょう。
どうしても気流が当たる場所へ製品を置く場合は、カバーをかけるなどホコリや異物を付着させない対策が不可欠です。 - エアコンのリターン側へ発塵源を近づけない
エアコンが室内の空気などを取り込むリターン側(吸気側)に段ボールや備品などといった発塵源があると、部屋中にホコリを拡散させるリスクが高いため、クリーンルーム内の作業レイアウトを見直しましょう。 - 作業レイアウトを変更する
PACからの気流による異物不良の影響を受けないように、作業レイアウトを変更しましょう。
参考文献:「クリーンルーム作業員教育と維持・日常管理」技術情報協会 園田信夫著
なるほど!!PACはクリーンルーム専用エアコンではないため、管理するには注意が必要なんですね!
でも、空気の流れは目に見えないのでよくわからず、効果のある対策ができるか不安です。
おいらがそのお悩みを解決する必殺技を紹介するよ~
ヒントは「気流の〇〇化」だよ~!
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