工場によってはクリーンルームと呼ばれる空間がありますが、このクリーンルームは製品へホコリやゴミの付着の恐れが少ない、つまり不良を防ぐことができる環境です。
しかしクリーンルームは「キレイな環境」ではなく、「キレイにしなければいけない環境」です。その事実を知らないため、クリーンルーム内でのホコリ発生に悩んでいる方がいらっしゃるようです。
クリーンルームはキレイな空間のはずなのになぜかホコリがあって
製品が不良に・・・どうすればいいんだろう?
おやおや、お困りですか?
クリーンルームは何もしなくてもキレイな環境ですので、
時間が経てばホコリもなくなりますよ~
でもホコリによる不良が増えてきていて
クリーンルームの意味がない状態です・・・
ではわたくしにお任せくださいっ!
クリーンルームのメンテナンスをいたしましょう!
もしかしたら故障個所があるかもしれないです!
(“ 清掃”のことを伝えなければ、不良は増えつづけるぞぉ~ヒヒッ)
いいんですか!?ぜひお願いします!
ちょっと待ったぁ~!
クリーンルームは何もしなくてもキレイな環境ではありませんよ~!
清掃することによってキレイな環境を保っているんです!
そうなんですか!?初耳です!
クリーンルームの清掃について何も知らないので1から教えてください!
任せなさい!
正しい清掃方法をご紹介するぞぉ~!
ぐぬぬ、覚えておれ~!
次は負けないからな~!
みなさんは「掃除」という単語から何を連想しますか?
気分がすっきりする、運気が上がる、めんどくさいなど人それぞれですが、ものづくりの現場では工場の美化活動や現場改善を行う上で掃除は重要であり、5S と呼ばれる活動を導入している現場もあります。
「5S」とは整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)の頭文字をとったものです。
不要物を撤去してあるべき姿にし(整理)、置き場所や数量を決め(整頓)、日々清掃を行うことで維持管理や工程の異常を発見することができます。
5Sで清潔・安全・効率的な職場を作りましょう!
クリーンルームと清掃の関係
「掃除」「清掃」といってもどこをキレイにするかによって求められるレベルが変わります。
中でもクリーンルームがあるものづくりの現場では最もキレイにしなければいけない空間はクリーンルームとなります。
クリーンルームとは『空気中における浮遊微小粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、その空間に供給される材料、薬品、水やその他についても不純物、ゴミを取り除いてゴミを持ち込まないようにしようとする空間』(コンタミネーションコントロール用語 JIS Z8122 4001より引用)のことで、「キレイな部屋」ではなく「キレイにしなければならない部屋」なのです。
クリーンルームはなぜ汚れるのか?
クリーンルームはホコリなどが室内にとどまらないよう給気還気が設計されているためキレイな空間に見えますが、ホコリやゴミは発生します。
ではなぜクリーンルームは汚れるのでしょうか?
多くのクリーンルームは非一方向流式が用いられており、下記の図のように天井の吹き出し口から空気を取り入れ、床、壁の一角に設けられた吸込み口から還気をとるスタイルです。
新しい空気が常に取り込まれ排出されている状態で、空気中に漂っている1μmより小さい微粒子は時間とともに、クリーンルーム内を移動する空気で薄まって(希釈されて)少なくなっていきます。
しかし、1μmより大きい10μm以上のホコリ(粗大粒子)は重力の影響で薄まる前に落下し床に溜まったり、静電気などで壁や天井に付着するため清掃しなければ取り除けません。
10μm以上のホコリはクリーンウエアが汚れていたり、着用の仕方が悪かったりすると動くたびに人から発塵します。
さらにクリーンルーム内に持ち込みする資材などにも付着しているため、清掃が不十分な環境下ではホコリがどんどん溜まりクリーンルームが汚れてしまうのです。
クリーンルームにはホコリがない、というわけではないので
清掃作業が必要なんですね!
クリーンルームの清掃と他の掃除の違いは?
10μm以上のホコリは掃除しなければ取り除けませんが、10μmという目に見えないような小さなホコリも完全に除去するには家の中を掃除するのと全く同じ方法でよいのか疑問に感じますよね。
クリーンルームの場合も他の掃除の場合も基本的な考え方は同じですが、NCCではクリーンルームの掃除を清掃と呼びます。
掃除とは「拭いたり掃いたりして建物や敷地内のゴミやホコリ、汚れなどを取り去ること」という意味で、「掃」の字は「ゴミやホコリなどを除去する」を意味します。
「清掃」とは、「きれいに掃除すること」という意味の言葉で、「清」の字は、「にごりや汚れがない」を意味します。
家の中を掃除するのとは違い、小さなホコリまで取り除く必要があるクリーンルームの清掃は、ホコリやミストのべたつき・粉塵などを取り除き、にごりや汚れのない状態にする必要があるのです。
たかが清掃、されど清掃。
クリーンルーム清掃は、ちょっとした意識の違いで不良を減らすことができる重要な技術なのです。
クリーンルーム清掃の種類
「にごりや汚れがないようキレイに清掃する」と言葉で表すのは簡単ですが、具体的にどのように清掃するのかイメージできませんよね。
ここから清掃の種類や方法について説明していくよ!
まず知っておかなければいけないことは「清掃作業そのものが汚染行為になる可能性がある」ということです。方法、用具、手順などどれかひとつでも間違っていると汚染の原因となってしまうことを認識しましょう。
また、清掃は直接付加価値を生むものではないので長い時間を掛けるわけにはいきません。
ですので、いつ、だれが、どんな方法で清掃するのか決めておくことが大切で、この3点をもとに清掃は3種類に分けて考えられます。
- 日常清掃
日々、作業者レベルで行う清掃 - 定期清掃
日常清掃で除去できずに溜まったホコリの除去と通常では手の届かない場所の清掃 - 特別清掃
レイアウトや間仕切り変更、機械装置の搬入・搬出、事故などで汚染が起きた場合の清掃
3種類の中で日常清掃はどのような環境下でも必要不可欠です。
新設のクリーンルームはキレイだと思っていませんか?
完成したばかりのクリーンルームは工事中に出たゴミ・ホコリが残っているため、純水またはアルコールで拭き上げてから使い始めなければ意味がありません。
定期清掃、特別清掃は専門的な知識、道具を必要とする場合がある他、高所での作業もあるため専門業者に依頼し、高い技術で確実に清掃してもらいましょう。
それぞれの清掃の違いを明確化し、清掃方法をマニュアル化することでより効果的な清掃を行うことができます。
クリーンルーム清掃の中でも重要な床清掃
清掃方法や清掃用具について確認し、日々の清掃が欠かせないと上記でお伝えしましたが、その清掃作業の中で最も重要で重点的にすべき箇所は床です。
床清掃がなぜ重要なのか、どんな目的があるのか確認し明確にしていきましょう。
① ゴミ、異物不良の原因となるホコリの除去
床に溜まったホコリは作業者の歩行で起きる数m/secの風やロボットの動き・空調・排気など様々な気流で舞い上がり、靴底に付着して様々な場所へ広がっていきます。
飛散したホコリは生産設備やワークなどに付着し不良の原因となることから作業者の頭を悩ませる大きな種ですが、床清掃によってその影響は抑えることができます。
② 発塵源調査と対策
床清掃を行うことでただちに汚れてくる場所はどこか把握することができ、吹き溜まりになっている場所や作業者がよく通る場所、装置の周辺などのような発塵源を推定できるヒントが見つかります。
またホコリの量が増えていないか、ホコリが空調設備のフィルターに詰まり性能が落ちることでいつもより暑く感じないかなど、一人ひとりが清掃に集中して取り組むことで床清掃は日々行う重要なクリーンルーム点検となります。
クリーンルームの清掃はホコリがない環境づくりのために
重要だったんですね!
また、床清掃はホコリを除去するだけではなく
クリーンルームの点検も兼ねているなんて驚きです!
クリーンルーム清掃は不良防止や点検作業に繋がります。
ぜひ清掃をルーティーン化してください。
クリーンルーム清掃の重要性について勉強したので、
清掃方法や清掃用具についてももっと知りたいです!
かしこまりました!
必殺技でご紹介します!
ご相談・お問い合わせはこちらなのだ!