ゲル化(げる-か)Gelation
「ゲル化」とは何か?を語る前に、「ゲル(Gel)」について少し説明します。
ゲル(Gel)。ドイツ語読みだと「ゲル」、英語だと「ジェル」になりますが、3Cラボでは「ゲル」と呼んでいます。
私たちの身近に「ゲル」はたくさん存在します。まず思い浮かぶのが、ゼリー、プリン、こんにゃく、寒天などの食品ですね。他にもスポーツシューズの底や振動防止シートに用いられたり、湿布、かゆみ止め、化粧品、消臭・芳香剤、さらには紙おむつやソフトコンタクトレンズも「ゲル」は使われているんです。
いずれも触感は水分多目で、ふるふる、ぷるぷる、ふにふに・・・と形容されるのも、ゲルの特徴のひとつでしょう。
では、「ゲル化」とは何か?
カンタンにいうと、液体が固まってゼリーや寒天のような状態になることです。
塗料もゲル化すると流動性が損なわれ、液状から固状、または半固状に変化します。要するに「ドロドロ」のゼリー状になるわけです。
なぜ塗料のゲル化は起こるのか?
では、なぜ「ゲル化」してしまうのでしょう?
- 高温、または低温下での放置。
- 直射日光に当ててしまう。
- 容器の密閉不備における貯蔵。開缶したままの保管。
- 塗料の貯蔵期間が長い。
- 適当でないシンナーの添加。不良シンナーの混入。
- 異種塗料の混入。
などなど。考えればもっとたくさんでて来そうなので、ぜひご自身の環境でも考えてみてください。
こうやって整理すると、ゲル化の原因は「貯蔵条件の悪さ」から来ていることがよくわかりますね。
つまり、ここであげた原因の「逆」を行えば、ゲル化は未然に防げる、ということです。
現実にはゲル化を100%食い止めるのは難しいかもしれませんが、ゲル化しにくい状況を作り出すことはできるでしょう。
- 高温、または低温下での放置。➡️ 20℃以下で保管する。
- 直射日光に当ててしまう。➡️ 冷暗所での貯蔵。
- 容器の密閉不備における貯蔵。開缶したままの保管。➡️ きちんと密閉できる容器を使う。
- 塗料の貯蔵期間が長い。➡️ 古いロットから使用。貯蔵期間を決める。
- 適当でないシンナーの添加。不良シンナーの混入。➡️ 適切なシンナーの使用。
- 異種塗料の混入。➡️ 違う種類の塗料の混入は避ける。
もしもゲル化が起こったら・・・
貯蔵方法を工夫することで、ある程度ゲル化を抑えることはできますが、それでもゲル化してしまった場合は、どう対処すれば良いのでしょう?
それを解消するのが、今月のテーマである「撹拌(かくはん)」です。
溶剤揮発型の塗料であれば、ある程度の初期のゲル化なら適量のシンナーで希釈し、適度に撹拌を加えることで、通常通り使用することができます。ただし、撹拌のし過ぎにはくれぐれもご注意くださいね。
それはなぜ?と思ったら、今月の「ズバリ解決!3Cラボ」を読もう!
ただし、反応硬化型塗料(熱硬化、2液硬化、酸化重合)はゲル化してしまうと塗料性能が発揮できません、ゲル化が始まっている塗料は、残念ですが速やかに破棄することをオススメいたします<(_ _)>
ゲル化とは、塗料がダメになる予兆です。見かけ上の撹拌で均一になったように思えても、その塗料を使用して塗装した塗膜は、塗料設計の段階で想定した性能が出せません。トラブルを防ぐためにも塗料はフレッシュなうちに使用し、保管に関しても十分に注意してください。