VDA19(ぶいでぃえー19)
ドイツ自動車工業会(VDA)が発行した自動車部品の清浄度管理についての規格、それが「VDA19」です。
VDAはドイツの自動車メーカー及びサプライヤーから構成されている協会で、正式名称は「Verband der Automobilindustrie e.V.」と言います。
3Cラボ調査によると、VDA19は何巻にも及ぶ長編大作で(作品ではなく規格ですが)、全部やるのは至難の技。それぞれに専門家を配置して取り組まなければならないほど難しいものだそうです。
なので、3Cラボ的に押さえておきたいツボは、この2つ。
●VDA19.1
技術的洗浄度の検査について書いてあります。
要するに、部品を洗浄した後「どれだけ表面がキレイか」を測る規格です。
●VDA19.2
洗浄が不可能な部品の組み立て工程に関することが書いてあります。
主に気中のコンタミをどう扱うか、たとえば組み立てはゾーン分けする・・・みたいなことが書いてあるそうです。
このドイツ車用の自動車部品を対象にした管理規格であるVDA19を元に国際規格の「ISO16232」が策定・発行され、グローバルスタンダートとなりました。そのため「ISO16232/VDA19 」というように、今では併記されることが一般的なっています。
ちなみに、VDA19あくまでもドイツ産の自動車を作るための規格。日本の国産車にはまた別の規格が用いられます。
厳しいコンタミチェック
「ISO16232/VDA19 」が発行されたことにより、異物粒子の計測・組成分析が必須となりました。
なぜなら、それまでの自動車システムのトラブルは異物混入、すなわち「コンタミ」に起因するものがほとんどだったからです。
時代の変化を受け、従来のエンジンやトランスミッションなど、いわゆる「自動車部品らしい」パーツの他に、リチウムイオンバッテリや電子部品などが非常に多く使われるようになりました。いわば精密機器の塊となった自動車を安全に動かすためには、すべての部品に徹底した「クリーン化」が求められるのも、当然の流れだといえるでしょう。
そんな時代の流れを受けて、2017年にISO16232が改定され、その規格はさらに厳しいものとなりました。
規格が厳しくなるということは、検査方法もまた厳しくなるということです。今までは「重量法」という計測法が一般的でしたが、それでは不十分ということで、最近では微細な異物も見逃さない「粒子係数法」が推奨されるようになってきました。
この厳しい検査をクリアするには、「いかにキレイに洗うか?!」という基本が、とても重要になります。
時代や技術が進めば進むほど、基本が大切になる、ということなのかもしれません。
改めて「コンタミ」って何だ!?
基本に立ち戻るということで、改めて「コンタミ」についても考えてみたいと思います。
コンタミとは「コンタミネーション(contamination)」の略。本来は科学実験の場における「汚染」という意味ですが、産業界では「異物が混入すること」または「異物そのもの」を指す言葉として、実に幅広く使われています。
たとえば、金属部品を掘削する時に出る切り粉や切り屑も「コンタミ」、その時に使う油脂も「コンタミ」、繊維くずや埃塵、人体から出る頭髪や皮膚なども「コンタミ」です。また、粒子の大きさも様々で、目に見えるものから、目視できないごく微小なものも「コンタミ」という言葉で表現されています。
大きく分けて「気中コンタミ」と「液中コンタミ」に分類されますが、いつのまにか製品に付着し、“ゴミ不良の原因”になりうるものすべてが「コンタミ」なのです。
製造業は常にコンタミとの戦いだと言っても過言ではありません。ほんのちょっとのコンタミの混入が、大きな損失を招くことも、実際にはあり得ます。たかがコンタミ、されどコンタミ。
だからこそコンタミを 『 持ち込まない 』『 発生させない 』『 堆積させない 』『 除去(排除)する 』というクリーン化四原則が大切なのです。