オーバースプレー

オーバースプレー(overspray)

オーバースプレーとは、狙った塗装物に塗料が付着せずに、その周囲(前後左右)に塗料の噴霧が飛散し、付着してしまう状態をいいます。主に圧縮空気を利用して塗料を霧状にして被塗物に噴霧する「エアスプレー塗装」で多く見られる現象で、塗料の粒子は対象物の表面から跳ね返ったり、気流に乗って拡散していきます。

 

 

エアスプレー塗装は、設備費も比較的安価で、手軽に利用できる上に作業能率が高く、仕上がも綺麗だという長所を持ちますが、どうしてもオーバースプレーが発生してしまうため、塗料のロスが発生してしまいます。また、均一に噴霧するために他の塗装方法(ハケやロールで塗る、塗料に直接つけるなど)に比べると塗料粘度を低くする必要があり、一回当たりの塗装塗膜は薄くなるため、重ね塗り(重ねスプレー)も必要になります。

 

 

オーバースプレ-が発生する原因としては、

  • エアスプレーの圧力が高すぎる
  • 塗料の粘度が高い
  • 噴霧する塗料の量が多い
  • 塗料とスプレーガンの大きさ、形状などが合っていない
  • 作業現場に問題がある
    • スプレーする距離が近い
    • 風向き
    • 養生が不十分 

 

などが考えられます。

 

こうやって見てみると、オーバースプレーは、圧力、塗料の量などがいろいろオーバーしているのと、塗装物をオーバーして(飛び越えて)いる、ダブルでオーバーしていることが多いいんですね。

 

 

塗装グリーン

塗装にまつわるいろんなことが「オーバー」することによって起こる。

それがオーバースプレーさ!

 

 

たとえば、エアスプレーの圧力を高くすると、空気の量が増えるので、塗料の霧はきめ細かく、繊細な塗装が可能になります。しかし、高くしすぎると塗料の飛散が多くなり(オーバースプレー多発!)、塗料の損失が増えてしまいます。逆に圧力が低いと塗料の霧は荒くなり、「ゆず肌」「オレンジピール」や「ピンホール」などの塗装不良が発生しやすくなってしまいます。

 

 

 補足)

 ・ゆず肌・オレンジピール:ゆずやみかんの皮のように塗装面が凸凹で、ザラザラとした状態になること

 ・ピンホール:塗装面に針でついたほどの小さな穴がブツブツと開くこと

 

 

オーバースプレーを防ごうとするあまり、圧力低めにしても、また別の問題が発生してしまいます。エアスプレーの圧力だけでもこれだけ考えるべきことがあるのですから、塗装という作業はなかなかの「頭脳戦」と言えるでしょう。

 

塗装する物の材質、形状、仕上がり、また使用する塗料によっても、適切な圧力は変わってきますので、さらに考慮が必要になりますが、何はともあれ、大切な塗料をムダなく使い、美しく仕上げるためには、まずは道具と環境を見直すことが大切です。「塗装不良が減らない!」とお困りの皆さん。NCCと一緒に現場を見直すことから始めてみませんか?

 

記事一覧