脱脂とは、表面に付着した油脂類や汚れなどを除去する作業です。
金属を加工する切削、プレス、成形といった様々な工程において、摩耗を減らしたり熱の発生を抑制したりする目的から潤滑油や切削油、防錆油といった油分が使用されています。
これらは加工後の製品表面に残留し、適切な脱脂を行わないまま次の工程へ進むと、品質に悪影響を及ぼします。
例えば、塗装工程では、油分が表面に残っていると、塗料が表面にしっかりと密着せず、剥がれてしまう恐れがあります。
塗膜ができたとしても、色ムラが生じたり不均一な層ができたりと、高品質な塗装からはかけ離れてしまいます。
また、他の工程でも、メッキであれば膜厚が不均一になり耐食性や見た目がよくなかったり、接着工程では接合部に油があると強度が低下してしまいます。
脱脂で油分や汚れを確実に除去できれば、次の工程へスムーズに進み、不良率の低下にも大きく寄与します。
逆を言えば、洗浄が不十分なだけで製造工程全体に支障をきたしかねないため、この工程の重要性は高く位置付けられます。
一見すると脱脂は単なる下準備のように捉えられがちですが、実際には製品の品質を左右する欠かせない要素であり、品質の安定を陰で支える重要なプロセスです。
脱脂作業時の注意点
脱脂作業は金属製品だけでなく、樹脂製品も行っており、製品の素材によって適した脱脂方法は異なります。
誤った脱脂作業は製品の品質を低下させる原因となりますので、注意しましょう。
①樹脂製品に金属の洗浄用シンナーは使用不可
一般的に金属用の洗浄用シンナーは、比較的洗浄性が高く、経済性にも優れていますが、溶解性が高い複数の溶剤が含まれています。
そのため、樹脂の表面を傷つけてしまう恐れがあります。
②作業者の安全への配慮
脱脂作業に使用される洗浄剤の中には、身体や健康への影響の恐れがあるものもあります。
事故や健康被害を未然に防ぐため、仕様書やSDSを事前に確認し、メーカーが推奨する作業環境の構築、保護具の着用、換気設備の設置などを周知しましょう。
③正しい廃液処理で環境汚染を防止
脱脂作業で使用後の洗浄剤は、産業廃棄物の廃液として専門業者へ処理依頼をするか、中和処理などの前処理を行った上で排出する必要があります。
pHが偏った状態や油分を含んでいる状態の廃液もあるため、中和処理や油分を分離させる前処理などが必要となります。
