破過時間 / 破過曲線

破過・破過時間とは

破過とは、防毒マスクの吸収缶のフィルター許容量を超えて使用したときに、吸収缶で吸着しきれなかった化学物質が漏れ出ること。

 

そして破過時間とは、吸収缶の使用開始から破過するまでの時間で、簡単に言うと「吸収缶の使用可能時間」のことです。

 

破過時間と破過曲線について

注意しないといけないのが、破過時間は吸収缶の製品ごとに一定に決められているものではなく、化学物質の種類や、化学物質が発生している現場のガス濃度よって左右されるということです。

 

例えば、Aという有毒物質を含む溶剤を使用する作業のある現場において、1日に5分だけチェックする管理者と、1日に2時間作業をする作業員では1日にばく露する物質Aの量が異なり、より多く吸う可能性の高い作業員の方が同じ吸収缶でも使用可能時間が短くなってしまうということです。

 

このような化学物質のばく露量によって破過時間が異なることをグラフにしたのが、「破過曲線」です。

 

 

▲3M 防毒マスク吸収缶 3311J-55-S1の裏面に記載されている破過曲線。

 シクロヘキサンでの試験結果を掲載しています。

 

3M社の防毒マスク吸収缶 3311J-55-S1の破過曲線によると、シクロヘキサンを使用する現場でのガス濃度が200ppmの場合、約200分使用することができるということになります。

シクロヘキサン以外の物質の場合は、シクロヘキサンに対する相対的な破過比率(RBT)を調べることで破過時間を求める事ができます。

 

化学物質Aの破過時間=化学物質Aの相対破過比(RBT)× シクロヘキサンの破過時間

 

そのため、「臭いがしてきたら交換しよう」「吸収缶は1日1個!」などあいまいなルールで使用するのではなく、現場や作業工程ごとに作業環境測定によってガス濃度を測定し、適切な保護具の使用・適切な破過時間での吸収缶交換を行うことが重要です。

 

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