特殊健康診断

特殊健康診断とは、有害とされる業務や特定の物質を扱う業務に従事する労働者を対象として行う健康診断のことです。

労働者の健康を守るため、労働安全衛生法によって定期的な実施が義務付けられているので、企業は定期的に作業員に健康診断を受けさせ、その結果によっては作業現場の変更や労働時間の短縮といった措置を講じたり、労働環境の測定や設置設備の改善を求められる場合があります。

 

特殊健康診断を行う対象

一般健康診断ではなく特殊健康診断を受ける労働者はどのような業務に就いている人が対象なのでしょうか?

現在、下記7つの業務が対象となっています。

 

① 高気圧業務

② 放射線業務

③ 特定化学物質業務

④ 石綿業務

⑤ 鉛業務

⑥ 四アルキル鉛業務

⑦ 有機溶剤業務

 

7つの業務のうち、一定の特定化学物質や石綿業務などについては、現場の異動や退職などの理由によりそれらの業務に関わることがなくなった後でも健康診断は必須です。

また粉じん作業者は、じん肺法に基づくじん肺健康診断を1年、または3年ごとに受けましょう。

 

特殊健康診断を受けなかった際の罰則

特殊健康診断は法律で定められた法律であり、未実施は違反となります。

通常は実施が確認されないと労働基準監督署から指導が入りますが、それでもなお改善されない場合には50万円以下の罰金が課されます。

 

特殊健康診断実施後の対応

特殊健康診断の結果が良くない場合、企業は作業員の健康を守るために下記のような適切な措置を講じなければなりません。

 

  • 就業場所や業務内容の変更

現在と異なる現場で業務を行うことによって特定のリスクを低減させ、業務内容が健康状態に悪影響を及ぼしていると判明した際には担当する業務内容を転換することで作業員の健康を守ります。

 

  • 労働時間の短縮

作業員がある程度の残業なら負担ではないと感じていても、健康上問題があるなら残業時間の短縮など労働時間を短くすることを検討する必要があります。

 

  • 設備の設置や改善

例えば、塗装現場で塗料ミストの吸い込みの悪さが原因であるとき、局所排気装置のフィルター類を交換したり付着した塗料カスを取り去る大掛かりな清掃をしたりして本来のブース風速を確保する必要がありますし、もし使用・作業方法に問題がある場合は改善しましょう。

 

特殊健康診断は、 法律で義務付けられた大切な健康管理です。

有機溶剤による健康被害のリスクが高い塗装業では定期的な実施が必須ですので、作業員の健康を守るために徹底しましょう。

(厚生労働省HP参照)

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