塗料をスプレー塗装するためには、塗料を霧状にする必要があります。霧状にすることで複雑な構造のワークでも塗料が入り込み、均一な塗膜を形成することができます。
霧化方式の塗装機として大きく分けて「エアスプレー方式」と「エアレススプレー方式」の2種類があります。今回は一般的なスプレー塗装で使用される「エアスプレー方式」について説明します。
エアスプレーガンの仕組み
エアスプレー方式は、その名の通りエアーを使用し塗料などを霧化(微粒子化)させ塗装する方法です。
下記図のように、圧縮空気で気流を作り、ノズル周辺が陰圧となって吸い上げられた塗料を、空気と混ぜて霧化させています。
そのため圧縮空気は必須となります。
圧縮エアーの影響
エアスプレー方式では圧縮空気が必須であることは先程ご紹介しましたが、塗膜を形成する際にはこの圧縮空気が邪魔をしてしまう事があります。
下記の図のように、霧化されたスプレーの中には、大きさの異なる塗料粒子と圧縮空気が混在しています。
ノズルから噴出された空気の強さは一定ではなく、空気の流れによって塗料粒子の大きさにばらつきが生じます。
粗い粒子は塗ムラの原因になり、細かい粒子はザラツキなどを発生させ、塗装品質の低下を引き起します。
また圧縮空気は跳ね返ったり、横へ流れて行ったりしているため、ワークに付着できなかった塗料が飛び散ることで跳ね返りが起きます。
それらを解決するために考えられたのが、低圧霧化スプレーになります。
できるだけ弱い圧縮空気で塗料を霧化させ、空気ができるだけ塗膜形成の邪魔をしないように考えられたスプレーガンになっています。
汎用のスプレーガンで弱いエアー圧にすると塗装肌の悪化や液だれなどが起こりますが、塗料ノズルや空気キャップ等を精密に設計し製造しているためそういったデメリットが少ないのも特徴です。
低圧霧化スプレーは汎用のスプレーガンと同じように見えてそのような違いがあります。