CO2も光熱費も削減できる?!炭化水素洗浄後の乾燥方法

「脱炭素化に対応!炭化水素洗浄後の2つの乾燥方法とは?」炭化水素洗浄工程において近年注目される乾燥方法として、フッ素系洗浄剤や遠心乾燥槽を使用する方法をご紹介しました。

消費電力やCO2をどの程度抑えることができるのか、どんな点が注意すべきなのかなど取り上げましたが、必殺技ではその仕組みについて詳しく解説します。

 

フッ素系洗浄剤を使用した洗浄乾燥システム

油分との相溶性が高い炭化水素系洗浄剤を使用し脱脂洗浄した後、揮発性の高いフッ素系洗浄剤で乾燥させるシステムです。

フッ素系洗浄剤の使用は炭化水素系洗浄剤の使用と比較すると、ベーパー洗浄に使用する熱エネルギーを少なく抑えることができ、乾燥時間も早くなります。

一方で、フッ素系洗浄剤は高価であるだけでなく、今後のPFAS規制により使用に制限がかかることも予想されています。

 

フッ素系洗浄剤を使用した洗浄乾燥システムの仕組み

① 炭化水素洗浄剤を使用し浸漬超音波で粗洗浄

② 炭化水素洗浄剤を使用し浸漬超音波で仕上洗浄

③ フッ素系洗浄剤を使用し浸漬超音波で製品表面に付着した炭化水素洗浄剤を洗浄

④ フッ素系洗浄剤のベーパー(蒸気)を使用し仕上洗浄

⑤ 冷却ゾーンで製品表面に付着したフッ素系洗浄剤を自然乾燥

 

 

 

洗浄に使用する洗浄剤はそれぞれ蒸発速度が異なり、一般的に液体の蒸発速度の値が高いほど、蒸発・乾燥速度が速く、乾燥させるために必要な熱エネルギーが少ないといわれています。

 

洗浄剤

蒸発速度

(ジエチルエーテル=100)

フッ素系溶剤(HFO系) 120
フッ素系溶剤(HFE系) 83
塩化メチレン 71
トリクロールエチレン 28
アルコール(IPA) 9
0.2

 

遠心分離機構を用いた洗浄乾燥システム

炭化水素系洗浄剤を使用し脱脂洗浄した後、傘についた水滴を傘を回して払うのと同じように乾燥槽を回転させることで遠心力を利用し乾燥させるシステムです。

熱源を使用せず乾燥できるため、光熱費の削減や間接的なCO2排出量削減に貢献することができます。また、たくさんの部品を同時に乾燥させることも可能です。

ですが、製品同士が当たり傷つく恐れがあり、製品の外観に厳しい基準が設けられているような現場では使用が難しいかもしれません。

 

遠心分離を利用した洗浄乾燥システムの仕組み

① 炭化水素洗浄剤を使用し浸漬超音波で粗洗浄

② 炭化水素洗浄剤を使用し浸漬超音波で仕上洗浄

③ 製品を遠心乾燥槽へ投入し遠心力で乾燥

  遠心力を利用し、大量の空気を吸入し排気させることで乾燥速度を促進する

 

 

 

洗浄ブルー

これらの乾燥方法は脱炭素という観点から推奨できる方法ですが、生産性や導入コストなどを考えるとほかの方法が現場に適している場合もあります。

何を実現したいのか明確にし、乾燥方法を選定しましょう!

 

 

博士
(ラボボス)

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