
「静電塗装でよくあるお悩みを解決!アースと抵抗値の重要性とは?」では、静電塗装で起きるトラブルとその対策についてご紹介しました。
今回は、トラブル対策方法のひとつとして挙げられていた「静電用シンナー」に焦点を当てて解説します!
静電用シンナーってどんなシンナー?
塗料の粒子を帯電させ、静電気の力で製品に付着させる静電塗装では、「静電用シンナー」と呼ばれる特殊なシンナーを使用します。
「シンナーなんてどれも同じでしょ?」と思いがちですが、静電塗装の現場ではシンナーの選び方ひとつで仕上がりが大きく変化します。
一般的なシンナーは塗料を薄めるのが主な役割ですが、静電用シンナーはそれだけではありません。
塗料の電気抵抗値を適切な範囲に調整するという重要な役割を担っています。
なぜ電気抵抗値が重要なのか?
静電塗装における塗料の電気抵抗値は、塗料がどれだけ電気を通しやすいか、または通しにくいかを示す指標です。
- 電気抵抗値が低すぎる場合:塗料が電極に流れやすくなり、均一な塗膜を作ることが難しくなります。いわば、塗料が「電気のショートパス」を通ってしまうような状態です。
- 電気抵抗値が高すぎる場合:希釈した塗料が静電気の力をうまく受けられず、被塗物への塗着効率が低下してしまいます。これでは、塗料が無駄になり、塗装効率も落ちてしまいますよね。

電気抵抗値が高すぎても低すぎてもだめなんですね!

そうなんです!
適切ではない電気抵抗値だと、以下のような影響が懸念されるので要注意です!
電気抵抗値が高い | 電気抵抗値が低い | |
導電性 | 低い | 高い |
電流の流れやすさ | 難しい | 容易 |
塗料の絶縁性 | 高い | 低い |
塗着効率 | 低下する可能性あり | 影響なし |
均一な塗膜形成 | 難しい | 形成しやすい |
静電塗装効果 | 効果が制限される可能性あり | 効果が最大限発揮される |
塗膜の外観品質 | 影響を及ぼす可能性あり | 影響なし |
塗膜の耐久性 | 高い | 低い |
上記のような影響があるため、塗料の電気抵抗値をシンナーで調整し、最適な範囲に保つ必要があります。
適切な電気抵抗値にすることで、塗料の微粒化が促進され、塗着効率が向上し、結果として最高の仕上がりが実現できるのです。
最適な電気抵抗値とは?
一般的に、静電塗装における最適な塗料の電気抵抗値は20MΩ~100MΩ程度と言われています。
しかし、導電性の高いカーボン材料を使った黒色塗料などは、10MΩを下回ることもあります。
重要なのは、「静電用シンナーなら何でも良い」わけではないということです。
静電用シンナーも種類によって電気抵抗値が異なります。
最高の外観品質と塗着効率を目指すなら、使用する塗料、製品、そして塗装機にマッチした静電用シンナーを選ぶことが重要です。

シンナー選びは、静電塗装の成否を分ける重要なポイントです。
NCCでは静電塗装の条件出しを実施する際、電気抵抗値を計測しながらお客様の塗装環境にマッチしたシンナーを選定しています。

(ラボボス)
静電用シンナーについてお悩みの方、ご興味のある方はお問い合わせからご相談お待ちしているのじゃ!