ものづくり現場で使用される「製品に付着した汚れを落とす工業用洗浄装置」には様々なものがあり、小型から大型のものや、手動または自動のもの、使用する洗浄剤の種類によっても仕様は異なります。
もちろん使用されている部品や構造もそれぞれ違いますが、「一度購入したら長く使い続けたい」という考えは共通ですよね。
そんな洗浄機の性能を維持し長持ちさせるには、一体何が必要なんでしょうか?
使用していた洗浄装置が故障し、修理も難しいとのことだったので新たに洗浄装置を導入しました。
今回は長く使用したいのですが、気を付けるポイントはあるのでしょうか?
何かお困りであれば、わたくしにお任せください!
毎日洗浄装置の清掃をすると故障する可能性が減って長く使用できますよ~!
(作業を停止し生産量が減るぞ~ヒヒッ)
ええっ!毎日ですか!?
清掃に割ける時間はほとんどありませんし、安全かつ正しくできる自信がありません。
その通りです!毎日洗浄装置を清掃することは理想的かもしれませんが、
作業員の負担が大きく、作業を停止する時間も発生することから生産性の低下を招きます。
げげっ、いきなりでてきたな、洗浄ブルー!
毎日の清掃以外に、他に手があるのか!?
もちろんです!
専門家によるメンテナンスや、どんなトラブルの可能性があるのか、
次の更新はどんなタイミングになるのか、考えておくことが大切です。
専門家によるメンテナンスなら安心です!
今後起こるリスクなどぜひ教えてください!
くぅ~完敗だ・・・
次こそは・・・!キーーーー!
洗浄装置の役割
加工や研磨によって発生・付着する加工油や粉塵は外観を損なうだけではなく、部品がもつ機能にも悪影響を及ぼす可能性があるため、ものづくり現場において洗浄工程は欠かすことのできない重要な工程の1つです。
しかし、その洗浄装置がトラブルで停止すると、洗浄より先の工程に製品が進めなくなり、最悪の場合には生産が止まってしまいます。
洗浄装置の長寿命化のために
洗浄装置は製品から洗い落とされた油分や研削カスなどが蓄積するためそのまま放置していると、洗浄能力の低下や騒音の増加など設備の動作に悪影響を与える恐れがあるうえ、長時間の連続運転は摩擦による部品の劣化を招き故障の原因となります。
またそれだけにとどまらず、洗浄槽に汚れが滞留したり、洗浄剤に汚れが溶け込んでしまうと洗浄中の製品へコンタミが再付着し、品質も低下します。
上記のことから稼働が停止し生産計画に大きな影響を及ぼすだけではなく、品質低下といった大きな問題を引き起こす可能性があることから、これを防ぐために以下のメンテナンスが必要となります。
- 自社でのメンテナンス
- プロによるオーバーホール
具体的なメンテナンス内容と頻度
自社でのメンテナンス方法とは?
自社の定期的な点検では、洗浄装置のポンプやセンサーなどが問題なく動いているか確認することで大きなトラブルを小さく抑えることができたり、修理に掛かる時間が短くなったりと通常業務への影響を回避し生産性や品質の低下を防ぎますので、点検ポイントを明確化させ定めておきましょう。
点検ポイントについては装置の仕様書に明記されている場合もありますが、見当たらない場合については洗浄装置メーカーに確認することが一番です。
しかし、点検ポイントも明確化させても社内で確認するのには限界があります。
ですので、定期的にプロにオーバーホールを実施してもらうことで目に見える部分以外までバラし清掃、確認を行うため長持ちする大きなポイントとなります!
プロに依頼するため費用は掛かりますが、生産停止や装置の更新を考えると実施するほうが良いと言えるでしょう。
メンテナンス頻度はどのくらいが最適?
メンテナンスの最適な頻度は「定期的に」が答えです。
「定期的」とは、使用する洗浄剤や洗浄装置内へ持ち込まれる汚れの量にもよりますが一般的には塩素・臭素系などは3ヶ月~6ヶ月に1回、水・炭化水素系であれば年1回程度です。
メンテナンス頻度が使用する洗浄剤によって異なるのは、「汚れ」が理由です。
塩素系や臭素系は不燃性物質であるため、蒸留再生やベーパー洗浄の際に洗浄剤を直接加熱するとそれによりヒーター表面に汚れが蓄積します。
ヒーター表面が汚れていると、固着した汚れが炭化することで熱分解を起こしやすくなり、有毒なガスの発生や洗浄装置内の腐食に繋がります。
また、フロートスイッチなどにも汚れが付着するこで制御ができなくなったり、洗浄剤によっては水分の持込により洗浄品質が低下するため、推奨されるメンテナンス頻度は多く設定されています。
一方で、炭化水素洗浄剤は可燃物のため直接加熱ができないため、熱媒油を使用し間接加熱することで蒸留再生やベーパー洗浄をおこないます。
熱媒油と汚れは直接触れることがないためヒーター等の汚れは塩素系・臭素系ほど蓄積しませんが、長く使用すると酸化劣化が起こりやすいです。
水系に関しては持ち込む汚れの頻度にもよりますが、微生物などの発生により配管内部を詰まらせる可能性があります。
以上のような理由から水・炭化水素系は1年に1回度程度のメンテナンスが最適といえます。
汚れの蓄積は洗浄品質だけでなく、洗浄装置の寿命にも影響があるなんて初耳でした!
新たな洗浄装置へ更新するタイミング
メンテナンスやオーバーホールを定期的実施することで長く使用はできますが、経年劣化による故障や洗浄品質の低下は防ぐことは出来ません。
経年劣化による主な故障は以下のようなものがあります。
- メンテナンスが難しい配管内部の詰まり
- 錆が原因の水漏れ
- 搬送部品の消耗による停止(自動洗浄装置)
以上のような症状が出てくると早急な修理が必要となります。
ですが、製造年月日が非常に古いことで洗浄装置に搭載している専用部品の生産終了や、洗浄装置メーカーの廃業など修理が難しい場合も稀にあります。
動かなくなってしまってから新たな洗浄装置に更新しようとしても、以下の手順を踏む必要があるため新規装置の本稼働には長くて半年以上かかる場合も。
- 問い合わせ
- 洗浄テスト
- 注文
- 装置製作
- 納品
- 稼働テスト
- 本稼働
そこで、洗浄工程が完全に停止してしまう前に設備を更新することをおすすめします。
実際にNCCのお客様は下記のようなタイミングで新しい洗浄設備を導入しています。
- 塩素系・臭素系洗浄剤(有害物質)で洗浄してきたが、洗浄設備も劣化していたため、環境負荷が少ない洗浄剤へ切り替える際に併せて設備も切り替えた。
- 現在使用している洗浄装置のメンテナンス頻度が多くなり、多額の費用をかけてメンテナンスをするより新しく設備を更新した方が良いと判断した。
- 新しい製品の生産を請け負ったが、現在の洗浄設備では洗浄品質を満たすことができないため、新しい洗浄設備を導入した。
これらのお客様はプロによる定期的なオーバーホールの実施とアドバイスをもらっていたため、停止する前に十分な時間をかけ検討し更新しています。
ですので、プロによるオーバーホールは装置を長持ちさせるだけではなく、更新のタイミングを見極める点においても重要と言えるでしょう。
これからの洗浄トレンド
洗浄品質の要求は年々高まっており、自動車部品や半導体装置部品などを洗浄する場合、部品加工後の脱脂洗浄のみならずコンタミ(異物)の残留も管理される時代となってきたため、洗浄品質が向上する洗浄装置へ更新するお客様が増加しています。
洗浄装置が故障し動かなくなる前に新しい設備へ切り替えることで生産停止を引き起こさないポイントですが、いざ新たな装置を導入するとなるとどんなものが良いか分からない場合もあると思います。
そこで、参考になるよう今後の洗浄トレンドについてご紹介します。
①自動化
従来の洗浄工程では作業者の手作業に大きく依存していましたが、自動運転タイプの洗浄装置の開発が下記の理由から進んでいます。
- 人手不足:少子化による作業者の募集はどの現場でもネックであり、洗浄工程でも例外的ではない慢性的な人手不足が課題となっています。
- 生産性の向上:自動化することにより、一定の洗浄品質が確保され安定的に生産することができます。
- 労働安全性の向上:人体に有害な溶剤や重労働を伴うこともある洗浄作業を自動化することで、労働災害のリスクを低減し、安全な現場環境を実現することができます。
上記のようなポイントから従来から自動化の需要は高まっていましたが、今後はよりその需要が加速すると予想されます。
②環境
かつて多くの現場で使用されていた脱脂性の高い塩素系溶剤や臭素系溶剤は、作業者の安全確保や地球環境への配慮から仕様を見直す動きが強まり、炭化水素系溶剤等への代替えが進んでいます。
塩素系や臭素系洗浄剤はルールを守れば環境への影響を抑えた洗浄剤となりますが、「納品先から環境に優しい洗浄剤を使用して製造してほしいと依頼を受けた」など、環境に配慮した炭化水素系と比較するとマイナスなイメージが残ります。
詳しくは以前有機溶剤系洗浄剤についてご紹介した「有機溶剤系洗浄剤が使用禁止だと思われる訳とは」をご覧ください。
常に最新の洗浄トレンドを把握しておくことは洗浄装置を切り替える最善のタイミングを掴むことにも繋がるため、しっかりと抑えておきましょう。
早速導入した洗浄装置の点検について考えたいと思います!
洗浄装置が持つ性能を遺憾なく発揮し長く使用するためにも日々の点検も定期的なメンテナンスも大切です。
NCCでは、他メーカーの洗浄装置で発生したトラブルに対応した実績もあるので、対応可能かどうか見極めるためにも
ぜひご相談ください!
NCCでもメンテナンス対応しているんですね!
洗浄に関わる悩みが他にもあるのですが、対応可能ですか?
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必殺技でNCCの洗浄についてご紹介します!
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