【塗装初心者でもOK】小型自動塗装機で期待できるポイントとは

前回の「導入前に知りたい!自動塗装機のメリット・デメリット」で塗装工程を自動化するにあたり、塗装機ごとのメリット・デメリットや搬送方法について学んだお悩みさん。

そのスペックの高さに感心しつつもいざ現場への導入を考えると、様々な要因から導入へ踏み切れずいました。

塗装工程の自動化、諦めるのしかないのでしょうか?

 

 

相談者B

3Cラボの皆さんのおかげで塗装機は多軸塗装ロボットとレシプロ塗装機の2種類があると分かりましたが、小物塗装をしている弊社の現場では、大型設備ですとコストやスペースの関係から導入が難しく検討が進みません。

 

 

博士
(ラボボス)

たしかに、自動塗装機というと人によっては大型のものを想像するものじゃ。

 

塗装グリーン

お悩みのように、大型の設備となるとコストや設置するスペースにより導入が難しい場合があります。

ですが、ご安心ください!必要な機能や条件を明確にしそれを満たすことができるものであれば、必ずしも大型の設備を導入する必要は無く、小型でも十分ですよ。

 

 

博士
(ラボボス)

小型の塗装設備でも、条件がマッチすれば生産性や品質を向上させることができるのじゃ!

 

相談者

小型の設備もあるんですね!

機能や条件を満たす場合であれば小型でも十分であるということですが、どんな機能や条件が小型の設備にはあるのでしょうか?

弊社の塗装条件にマッチにする塗装設備について知りたいので、ぜひ教えてください!

 

 

塗装グリーン

お任せください!

小型自動塗装機について、詳しく解説します!

 

前回までのおさらい

前回、自動塗装機の動作に着目して多軸型塗装ロボットとレシプロ塗装機の2種類について紹介しました。

また、塗装機本体だけでなく、ワークを搬送するハンガー式、フロアコンベア式、網吹式などの搬送システムについて取り上げました。

 

多軸型塗装ロボットのような自動塗装機は汎用性も高く様々な塗装用途に使用できるため、塗装工程の自動化を検討する際には高い確率で挙げられます。

しかし、以下のような観点により、“塗装工程の自動化を諦めた”という方も少なくありません。

 

  • 動作をティーチングするのが難しい
  • 最適な条件を出すための経験や知識が必要
  • 大型で広い設置場所が求められる
  • コストが高い

 

相談者B

私も同じような理由から諦めモードでした・・・

 

小型自動塗装機のメリット

大型の塗装設備とは異なり、機能や条件などが限定的であるものの求めている条件がマッチするのであれば、“小型の自動塗装設備”でも十分に自動化を実現することは可能です。

実際に“小型”と呼ばれる自動塗装機にはどのような特徴が存在するのか、そしてどのように限定的であるかをご紹介いたします。

 

①操作性

大型の自動塗装機を導入すると、ティーチングと呼ばれる作業が必要となります。

ロボットにワークの形状や塗装条件を覚えさせるこの作業は、ひとつのワークに対し何度も繰り返し行い、さらに新しいワークを塗装する際には再度行うため、ワークの種類が多い場合、ティーチングに時間がかかり効率が落ちる可能性があります。

 

その一方で、小型自動塗装機は調整できるポイントが少ないので、誰でも簡単に操作できることが魅力です。

塗装機の仕様によっても異なりますが、ボタンひとつで塗装や洗浄をスタートできたり、シンプルなパネル操作で塗装条件を設定できたりと、ティーチングの専門的な知識や経験がなくとも塗装を自動化できます。

 

簡単なパネル操作のみで塗装をスタートできるものもある

 

②設置場所

大型設備は設備本体が置けるスペースだけでなく、置いても他の作業に干渉したり作業員に危険が及ばない十分なスペースの確保が求められます。

ですが、小型自動塗装機なら広い場所を取らずにすむので、限られた場所でも塗装できます。

使用しないときは別の場所へ移動させたり収納したりすることも可能ですので、工場のレイアウトに併せて自由に設置場所を変えられるということです。

 

大型自動塗装機には十分なスペースが必要

 

③コスト

多軸塗装ロボットやレシプロ塗装機は高性能が魅力である一方、商品本体の価格はもちろん、光熱費やティ-チングにかかる人件費などの高いコストが発生します。

特に、防爆モーターを用いた特別仕様の塗装ロボットとなると、通常のロボットの3倍は費用がかかるため、複数台導入するのは難しいのが現実です。

 

その大型自動塗装機と比較し、小型自動塗装機はシンプルな機能とコンパクトなサイズ感によって導入にかかる費用がぐっと抑えられます

低価格でも火災対策として電気接点部などにエアタージをしているので、安全面でも安心です。

また、塗装条件を変更する際も簡単に変更できるので、そこへかける人件費も時間もカットできます。

つまり、初期費用だけでなく、長い目で見たときに経済的であると言えます。

 

大型自動塗装機と比較すると導入コストが低い

 

小型自動塗装機のデメリット

メリットがある一方で、小型自動塗装機にもデメリットはあります。

導入前にデメリットを把握しておくことで、現実と期待値のギャップを小さくし客観的に判断することができますので、抑えておきましょう。

 

①ラインに組み込めない

小型自動塗装機はできることが限られているため、塗料を塗る工程のみの塗装機が比較的多く、ワークのセット、回収、乾燥、搬送などは人間の手で行う必要があります。

塗装作業者の人手不足解消にはなりますが、100%作業者の代わりとして稼働することは難しいです。

 

②大型ワークが塗装できない

小型自動塗装機は塗装可能範囲が小さく、大型といわれるサイズのワークは塗装できないことがほとんどです。

塗装可能なサイズは塗装機ごと異なるだけでなくカスタマイズ次第で変わってくるので、メーカーや専門家に必ず確認しましょう。

 

③機能が限定されている

小型塗装機は操作が簡単である分、できることも限られています

例えば、平らな製品を塗ることに特化した塗装機の場合、立体的な製品の塗装には向きません。

塗装機の機能が限られていることを認識・確認し、現場に合ったものを選ぶことが大切です。

 

代表的な小型自動塗装機

小型自動塗装機には上記のような共通の特徴がありますが、実は「小型自動塗装機」と一言で言ってもその種類は様々です。

今回はその中でも代表的な3種類の塗装機をご紹介します。

 

①平面自動塗装機

塗装網に並べたワークに、横軸と縦軸の2軸を組み合わせジグザグにスプレーガンを動かすことで塗装網全体を均一に塗装します。

多軸ロボットでは、製品の形状に合わせてスプレーガンを動かしますが、本塗装機は面(塗装網)に対して均一に噴霧するように塗装するため、表面が平らな板のような製品であれば、プロのような仕上がりが期待できます。

スプレーガンは縦方向、横方向へしか動かないため、側面や複雑形状の製品には適しません。

試験プレート作成や潤滑塗装の現場で使用されており、NCCではNEO Easy Coater フラットが該当します。

 

NEO Easy Coater フラット

 

②スピンドル塗装機

立体的な小物の塗装に特化した塗装機です。

ワークが回転しているところをスプレーガンが動きながら塗装することで、塗料が隅々まで入り込み、それほど複雑な形状でなければ立体物でも均一な膜厚で塗れるようにした塗装方法です。

ワークを回転させるために専用の回転治具を準備する必要があるため塗装機本体以外にコストが発生するほか、ワークの形状によっては塗料の使用量は比較的多くなってしまいます。

カメラ鏡筒や補聴器の塗装に導入されており、NEO Easy Coater スピンや「スピンドル塗装機」と検索すると様々な塗装機が確認できますので、自社にあったものを選びましょう。

 

NEO Easy Coater スピン

 

③バレル塗装機

バレルと呼ばれる容器の中にワークを入れ回転しているところへ塗料を吹くことで、1度に大量のワークを塗装することができます。

回転させることでワーク全体に塗料が均一に付着し、ムラなく仕上げられ、網吹塗装のように小物をひとつずつ手でひっくり返したり回収したりする手間が省けます。

その反面、バレルのサイズに制限があるため大型ワークには対応できなかったり、複雑形状の場合は塗料が隅々まで届かない恐れがあったりとします。

また、塗料の乾燥性も影響を与えており、乾燥が遅い塗料ではワーク同士がくっつき団子状になってしまうことがあります。

カメラ部品や装飾ボタンを塗装する現場で活躍しており、NCCのNEO Easy Coaterタンブルがこの種類に該当します。

 

NEO Easy Coater タンブル

 

小型塗装機で期待できること

大型自動機では得られない利点も小型自動塗装機だからこそ得られることを解説してきましたが、小型自動塗装機を導入したからこそ得られた付加価値もあります。

導入することでどんな効果が期待できるのでしょうか。

 

①品質向上

小型自動塗装機を導入することで、自社の技術力が高まり、結果的に製品の品質向上が期待できます。

 

例えば、NEO Easy Coater フラットは平面上の製品の塗装に特化していますが、塗板を作成する現場で用いられています。
あるお客様は、塗料の色味を確認するために塗板を作成し仕上がりを確認していましたが、どうしても作業者により仕上がりが異なり、同一条件での比較ができないことがお悩みでした。そこで、塗板の作成をフラットで自動化したところ、品質が安定しより仕上がり確認の精度を向上させることができました。

 

このように、仕上がり確認の精度が向上すると色味が違うものを納品することが避けられるので、お客様からの信頼獲得や自社の高い塗板作成技術力の確立が見込めるでしょう。

 

②内製化

近年、大企業だけでなく中小企業でも品質や納期、他社との差別化、コスト削減のため、自社で製品を作る「内製化」に踏み切る企業が徐々に増えています。しかし、内製化には課題もあり、そのうちのひとつが必要な人員を確保し、技術を教えるのが難しいということです。

 

塗装を例にすると、溶剤塗料は高い塗装技術が必要であるため社内で新たに始めるには経験者がいることが望ましいですが、いない場合、塗装未経験者を教育する指導者が必要なうえ、一人前の塗装マンに育てるのには非常に時間がかかります。

そこで、注目されているのが「自動化」であり、人員確保や教育の課題を解決し、内製化スピードを早めることができます。

 

 

 

相談者

まさか本当に小型自動塗装機があって、こんなにも魅力的だなんて驚きました!

 

塗装グリーン

そうですね、大型にも小型にも良い点・悪い点がありますので、現場にあったものを見つけることが1番重要です。

 

相談者

小型自動塗装機を現場に導入したいと考えているので、NEO Easy Coater シリーズについてもっと知りたいです!

 

 

塗装グリーン

合点承知!

必殺技でその魅力をお伝えします!

 

シーファー

ご相談・お問い合わせはこちらなのだ~

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