導入前に知りたい!自動塗装機のメリット・デメリット

以前、人手不足解消のため塗装工程の自動化を検討していたお悩みさんは、塗装グリーンから学んだ自動化で難しい点や検討ポイントを踏まえ、ついに自動塗装機の選定までたどり着きました!

ですが、いざ塗装機を決めようとインターネットで検索してみると、様々な形の装置があり、何を基準に選定すればよいのか分からず、悩んでいます。

 

相談者B

う~ん、自動塗装機と一言で言っても、各メーカーから様々な装置が展開されていて、現場に合うものがわかりません・・・

 

 

博士
(ラボボス)

お客様のお悩みを解決するために高い技術が集結した装置がこれほどあると、たしかに悩んでしまうのじゃ。

塗装グリーン、塗装機選定のために知っておくべきことはあるじゃろうか?

 

塗装グリーン

実は、自動塗装機はある部分に着目すると、2種類に分類されるよ!

それぞれの特徴+前回の検討ポイントを抑えて、現場に適した装置の選定に繋げよう!

 

相談者

たった2種類!?驚きました!

事前に知っておくと選定する際に役立つと思うので、今回もぜひ教えてください!

 

塗装グリーン

承知しました!

自動塗装機だけでなく、塗装前後の搬送作業の自動化についても併せてご紹介します!

 

 

自動塗装機選定前に知っておきたいこと

前回の記事にて、塗装工程の自動化にはいくつかのハードルがあり、検討すべきポイントを知らないと生産性やコストに大きな影響を与える恐れがあることをご紹介しました。

今回は、その検討すべきポイントをクリアし、具体的にどのような自動塗装機を導入しようか考えるタイミングで知っておきたい、自動塗装機の種類や特徴について取り上げます。

 

自動塗装機の種類

自動塗装機は様々な種類があるように思われますが、動作に着目すると「多軸塗装ロボット」「レシプロ塗装機」2種類に分けることができます。

それぞれメリット・デメリットがあり、現場にあった塗装機を選択できればその利益は大きなものとなることは間違いないでしょう。

メーカー各社がそれぞれ工夫を凝らし製作しているため、一概には言えない部分もありますが、選択時のひとつの情報として事前に特徴を知っておきましょう。

 

①多軸塗装ロボット

「作業者をロボットに変える」というイメージが当てはまるような、塗装マンの塗装動作に最も近い動きをするロボットです。

複雑形状の塗りにくい箇所に対してロボット塗装は強く、塗るべき部分を確実に塗ることができるため、塗料の使用量を抑えることが可能となります。

最近では、モーショントレースやAIとの組み合わせにより、自動化が難しい要因としても挙げられる「ティーチング」が比較的用容易にできるようになっています。

ですが、塗装者のように製品を見ただけでどのように塗装するかを判断できる能力は、まだ備わっていないのが現状です。

 

メリット デメリット
  • 複雑な動きができ、塗りたい箇所を狙って塗装できる
  • 設定次第で無駄吹きをカットし、塗料使用量を削減できる
  • 複雑な動き故に、動作をティーチングするのが難しい
  • 最適な条件を出すための経験や知識が必要

 

②レシプロ塗装機

上下や左右の1方向を一定速度で往復しながらスプレー塗装をするシンプルな塗装機です。

一般的には上下に動作するレシプロ塗装機が多く、オーバーヘッドコンベアに吊るされているワークに対してスプレーを上下に動かし塗装します。

 

4ガン仕様のレシプロ塗装機

 

レシプロ塗装機は平面のワークであればほとんど塗装できますが、塗りたい箇所を狙ってピンポイントで塗装する装置ではないため、通常のエアスプレーで複雑形状のワークを塗装する場合には、塗れない箇所が生まれてしまいます

そこで、静電エアスプレーや静電ベル塗装機を取り入れ、塗料に負電荷(-)、ワークに正電荷(+)を帯びさせることで陰になっている部分へも塗装でき、ある程度の複雑形状でも対応が可能になります。

塗りこみが難しい程の複雑形状の場合、手補正や多軸塗装ロボットによる補足が必要となり、平面のワークより時間や手間がかかるでしょう。

 

塗装グリーン

塗料の霧の中にワークを通すようなイメージだね。

 

博士
(ラボボス)

じゃが、その分塗料の使用量も多くなるので注意じゃ!

 

また、塗料使用量を削減するためにセンサーと組み合わせ、ワークがない位置でスプレーをストップしたりワークへ近づき塗装したりと、次世代タイプのレシプロ塗装機も登場しており、デメリットも徐々に改善されています。

 

赤丸部分はセンサー、塗装機の直前に配置されている

 

メリット デメリット
  • 静電塗装機と組み合わせることで、複雑形状などの大部分も塗装が可能
  • ティーチングが不要で、範囲など簡単な設定のみでよい
  • 複雑形状のワークでは補正が必要
  • 塗料使用量が多くなる

 

製品の搬送方法の違い

自動塗装機の導入を検討される際は、塗装機本体だけでなく、ワークを搬送するシステムも重要な要素です。

自動化することで、塗装前後の洗浄や乾燥まで一連の工程を連続して行うことができ、効率的な生産が実現します。

ですが、多軸塗装機の場合、ワークの位置が固定できていても、その座標位置が確実に固定されていないと塗装機の性能が発揮できないばかりか、最悪の場合ワークと接触し装置が壊れてしまう恐れがあります。

そこで、どのような搬送方法があり、どのようなメリットや注意点があるのかご紹介します。

 

  特徴 メリット デメリット
ハンガー式 ワークをハンガーやフックで吊り下げ搬送。
  • 床面に装置が設置されていないので、運搬用台車等の出入りが容易
  • ある程度大きなワークでも搬送可能
  • 天井の高さが必要
  • ワークが揺れるため位置の固定が難しい

フロア

コンベア式

製品を下側から支えるタイプ。

コンベアチェーンから伸びたピンにワークを載せ搬送。

  • ワークが揺れにくく位置を固定しやすい
  • 重量のあるワークでも対応可能
  • 床面に装置を設置するため、出入りスペースを確保する必要がある
網吹式 コンベア上の塗装網にワークを置き、移動・塗装。
  • 小さなワークの塗装に向いている
  • 比較的省スペースで設置できる
  • 片面塗装

 

 

上記の表以外にもそれぞれ特徴があり、例えばハンガー式は大型ワークなどの搬送が可能なうえ、反転させることで表も裏も塗ることができるため、自動塗装に適していますが、ワークが揺れやすく、決まった位置に固定できないことから位置合わせが課題となっています。

その一方で、フロアコンベア式は位置決めがしやすく、回転させながら塗装できるため多軸塗装ロボットとの相性の良さがメリットですが、大きなワークは難しい場合があります。

また、網吹式は網の上に載せて搬送する方法で、小型ワークに適していますが、片面のみの塗装となります。

 

自動塗装機やワークの搬送方法は、生産性や製品の品質に大きく影響します。
自社に最適な塗装工程の自動化設備を選ぶためには、ワークの形状やサイズ、コスト、補正の有無などを考慮し、近くの専門家への相談も検討しましょう。

 

 

 

相談者

塗装工程を自動化する装置について全く知らなかったので、今後選定する際の役に立ちそうです!

 

塗装グリーン

今回ご紹介した内容は基本的な部分にすぎないので、より詳しく知りたい方や疑問点がある方は近くの専門家へご相談ください!

もちろん、NCCへのお問い合わせもお待ちしています!

 

相談者

自動塗装機もワーク搬送設備もメリット・デメリットがありましたが、デメリットを解消する方法はありませんか?

やはり使用するなら短所が少しでも少ないと嬉しいのですが・・・

 

 

塗装グリーン

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