
製品の組み立てを行っている相談者さんは、納入先から製品に付着しているゴミ・異物のチェックが厳しくなっていることから、対策を検討しています。
現在は一般環境下で作業を行っているため、清浄性を確保したクリーン環境の構築を検討していますが、クリーン環境に関する近年の動向やトレンド分からず困っています。

今まで以上に小さいサイズのゴミ・異物を管理するよう求められ、現在のような一般環境下での作業に限界を感じています。
そこで、清浄性を確保したクリーン環境の構築を検討しているのですが、クリーンルームを設置するには予算と十分なスペースがなく困っています。

オレンジ
なるほど~!
クリーンルームは価格とスペースがネックになるよね!
でも最近は、局所クリーン化といって、現場を局所的にクリーン環境にできる商品もあるんだよ~!
それを活用すればスペースも価格も抑えられるんだ!

そうですよね、弊社も局所的なクリーン環境を構築する方向で話を進めているのですが、
それを実現できそうなクリーン化機器が多くどれがいいのか悩んでいます・・・
クリーン環境に関する近年の動向やトレンドも分からないので、教えてもらえませんか?

オレンジ
もちろんだよ~!
ここ最近では、“水平気流”を使用したものでクリーン環境を構築する機器が人気なんだよ~!
今までの機器とは考え方が違って驚くこと間違いなし!

水平気流?初めて聞きました!
ぜひ詳しく教えてください!
水平気流とは
水平気流とは、文字通り水平に流れる空気のことを指し、この気流がゴミ・異物をクリーン環境から追い出すことで清浄度の高い空間を構築しています。
クリーン環境を構築できるクリーン化機器も、技術の進歩とともに新しいものが次々と生まれており、その中でも近年人気なのが水平気流を用いたクリーン化機器です。
従来は下記のイラストのように、天井に設置されたファンフィルターユニットからクリーンエアーが給気され、床や壁で排気するような上から下方向への空気の流れによるクリーン環境が主流でした。
しかしここ最近では、従来のクリーンルームのように周囲を囲う必要がなく、清浄度の高い環境を容易に構築でき、設置スペースが確保できない現場でも導入しやすいことから、水平気流を用いて局所的にクリーン環境を構築できる機器(以下:クリーン化機器)が注目を集めています。
水平気流を用いたクリーン化機器によって作り出す囲われていない開放的な空間は、作業者のストレスを軽減し、作業効率の向上にもつながります。
さらに、新製品の試作実験や開発評価で一時的に清浄性を確保する必要がある場合や、ゴミや異物の付着によって検査精度や効率が低下している現場でも活躍が期待されています。

なるほど!水平気流は、ゴミや異物があってはいけない空間から追い出しているんですね。
でも、これは一般環境下でのみ有効な方法なのですか?

オレンジ
いい着眼点だね~!
それについては、次の水平気流の特徴で紹介するよ~!
水平気流の特徴
水平気流はダウンフロー(下方流)ではなくクロスフロー(水平流)のため、ゴミ・異物を製品に落下させないことが大きなメリットです。
例えば、作業台の奥側に機器を設置し作業員に向かって水平気流を送風すると、作業台に沈降してくるゴミ・異物を予防する効果や、人からの発塵を作業台の上に落とさせない効果が期待できます。
また、両側から送風を行うプッシュプッシュ方式の機器では、一般環境下でもクラス1のスーパークリーンの環境を手軽に構築することができます。
その一方で、水平気流は横方向にゴミ・異物を拡散させるリスクがあり、クリーンルーム内での使用には注意が必要です。
また、一般環境下の使用でも、気流が向かう先に商品の保管先などがあるとゴミなどの異物付着の原因となりますので、レイアウトを考えた上で導入しましょう。
水平気流の効果について
このように水平気流は局所的なクリーン環境を構築する際に大きな期待ができますが、どの程度の落下粒子に対し効果があるのでしょうか?
ゴミ・異物が水平気流によってどの程度飛散するのかは、「ストークスの法則」により算出することができます。
ストークスの法則とは、粘性流体中(今回の場合は気中)を異動する物体(球体)に働く抵抗に関する法則です。

(ラボボス)
この法則を公式で表すと「Vs=(r²(ρp-ρf)g)/18η」になるのじゃ!

なんですか、その呪文は?!
ゴミ・異物に対してどの程度の効果があるのかもっと簡単に教えてください~(涙)

オレンジ
もちろんだよ~!
分かりやすく異物のサイズを設定して解説するとこんな感じ!
ゴミ・異物を100μm球状物質かつ比重を2としたとき、水平風速が1m/sの場合の1分後の水平移動距離は約60m、水平風速が0.3m/sの場合の1分後の水平移動距離は約30m、と下記のグラフのように計算することができます。
実際には30m先、60m先で風速を維持し続けるようなことは不可能であり、ゴミ・異物の形状は球状だけでなく繊維状のものなど空気抵抗が大きいものもありますので、あくまで上記数値は理論値ではありますが、水平気流を用いたクリーン化機器は異物に対し大きな効果を期待できることが分かります。
さらにNCCの実験では、風速0.7m/sの水平気流機器を使用して一般環境下で卓上に落下してくる落下異物を2m先でも90%近く抑制する効果を確認しています。
※クリーンルームだけに頼らない本当のクリーン化技術/園田信夫著
「比重2の球状物質が自由落下と仮定したときの計算」参照

ゴミ・異物を100μm球状物質かつ比重を2としたとき、水平風速が1m/sの場合の1分後の水平移動距離は約60m、水平風速が0.3m/sの場合の1分後の水平移動距離は約30mとなります。
水平気流を用いたクリーン化機器は、クリーンルームのように周囲を囲わなくても非常に高い清浄性を確保した環境を構築することができ、クリーンルームの設置と比較すると、コストや設置スペースの問題を解決できるため、近年人気が高まっています。
ゴミ・異物不良のお悩みが、水平気流で解決へと繋がるかもしれません。

水平気流はこんな効果があるんですね!
弊社ではクリーンルームを設置するスペースがないので、局所的にレベルの高いクリーン環境を構築できる水平気流クリーン化機器はまさに弊社の理想です!

オレンジ
そうだね~水平気流はクリーン化機器では新しい考えのもので、実はまだまだ認知されていないから知ってもらえて嬉しいよ~!
NCCでも置くだけで簡単に水平気流を使った局所クリーン化を構築できる商品があるんだよ~!

えぇ、そうなんですか!?ぜひ教えてください!

オレンジ
もちろんだよ~!

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