【今月のお悩み】
医療機器部品の出荷検査と梱包作業の現場管理をしているのですが、梱包袋の中に繊維ゴミが入り込み、顧客クレームで返品されるものが多く頭を抱えています。
作業者にも指導してしっかり異物を確認してもらっているはずなんですが、不良率が下がりません。
このままではお客様の信頼を失ってしまうよ~…助けてぇ~、3Cラボ~!!
クリーン化オレンジ〜!
繊維ゴミ不良で頭を抱えている人からのSOSをキャッチしたのだ!
とっても困っているみたいなのだ~。
繊維ゴミは後から取り除こうと思ってもきりがないからのぅ。
オレンジ、繊維ゴミ対策について教えて差し上げるのじゃ!
ガッテン承知!繊維ゴミ対策ならオイラに任せて。
さっそく現場に行ってきま~す!
そのころ、現場では・・・
気を付けて対策しているのに、また繊維ゴミ混入のクレームが・・・
どうして不良が減らないのだろう・・・。
オイラが来たからにはもう安心して大丈夫!
繊維ゴミ混入で困っているんだね。今はどのように繊維ゴミ対策をしているの?
今は、各作業台ごとに扇風機を回して、繊維ゴミが袋に入らないようにしています。
ワークも拡大鏡でチェックして、ゴミを見つけ次第拭き取り除去もしていますよ。
なるほど、原因はその扇風機を使っていることだよ!
えっ、扇風機に何か問題があるんですか?一定方向に繊維ゴミを押し流せると思ったんですが・・・
扇風機は気流をかき乱し、異物を拡散しているだけだから逆効果だよ!
キレイな空気を作るためには「どんな気流が正解か」
オイラと一緒にみてみよう!
対策と思ってやっていたことが逆効果だったなんて気が付きませんでした。
繊維ゴミの混入を無くすために、良い気流を作りキレイな空気を作るようにいたします!
繊維ゴミを対策するには?
以前、「組立作業中に繊維ゴミが混入!!その原因と対策とは!?」で繊維ゴミの特徴についてお話しましたが、繊維ゴミは比較的軽いため舞上がり拡散したり、絶縁物であることから静電気を帯び綿ボコリとなる特徴があります。また、衣服から脱落したりと一般環境に繊維ゴミが多く存在しているのは当たり前のことです。ですので繊維ゴミが多く存在する環境を綺麗にし、付着した繊維ゴミを除去することは無理に近いことです。
では「どうしたら良いのか?」というと、繊維ゴミがもつ特性を逆手にとり対策することが悪さをさせない最大のポイント!
具体的に言いますと、比較的軽い繊維ゴミは気流を上手く活用し、作業エリアにいれないことが一番のポイントです!
ただし、気流といっても正しく気流を活用できないと周囲に拡散し、困ったさんの様に繊維ゴミの混入が増えるなどのトラブルに見舞われてしまいます。
今回はどのように空気を動かせば良いのかを基本的な2つの考えからご紹介いたします。
1.キレイな空気の「方向を整えて流す」
繊維ゴミを扇風機やエアーガンで吹き飛ばそうとしている光景を見かけることがありますが、これはかえって繊維ゴミを拡散させてしまっています。
扇風機の場合ですと、羽根で空気をかき混ぜてしまうので渦巻き状の気流が発生したり、乱流となったりして拡散してしまうため繊維ゴミも様々な方向へ拡散されてしまい、手元に戻ってきて他製品に付着してしまいます。さらに、扇風機はキレイではない状態の空気をそのまま送るので、浮遊している繊維ゴミも一緒に運ばれ繊維ゴミ混入などに繋がります。
一方、エアブローガンのような威力の強い風だと繊維ゴミを吹き飛ばすことは出来ますが、周りの空気をかき乱すので別の場所から繊維ゴミを舞い上らせる原因となります。
そうならないために重要なのが、キレイな空気を一定の面で整えて、できるだけ乱流を作らないことです。
フィルターを通りゴミの無いキレイな空気を一定方向に供給することで、繊維ゴミを追い出し作業エリアの清浄度を上げることができます。
そこで活躍するのが、HEPAフィルターやHEPAフィルターとファンを組み合わせたFFU(ファンフィルタユニット)で、これらはキレイな空気を整流して供給するための装置です。
2.作業エリアをキレイな空気で「陽圧化」する
キレイな空気を使って、作業エリア全体を陽圧化することで外部から繊維ゴミの侵入を防ぐことができます。
陽圧化については用語解説にて分かりやすく解説いたしますので、そちらをご覧ください。
キレイな空気を最大限に活用するために
上記で説明したようなキレイな空気を正しい気流として使うには、局所クリーン環境が活躍します。
よくご質問を頂くのがクリーンブースですが、一般的には換気回数が何回でクラスがいくつで・・・といった点を気にされるかと思いますが、局所クリーン化の観点では作業エリアの気流が管理されており、外部からのゴミ・異物が侵入しないことが重要となります。
局所クリーン環境を構築する“局所クリーン化機器”を3つ紹介しますので、作業時の気流に注目してみましょう。
1.セーフティパーテーション(整流された気流を使う)
HEPAフィルターを通ったキレイな空気が面から吹き出ることで、機器正面 2m程度まで囲いを設けずにクリーン環境構築します。
風の力で疑似正圧(エアーバリア)を作ることで、繊維ゴミなどの直接異物不良となりうる10μm~100μm以上のゴミ・異物を寄せ付けなくします。
局所クリーンブースと違い、ビニールやパネルなどの囲いを設ける必要はないため作業性を落としません。また、キャスターが付いているので設置や移動が簡単なですので場所を選びません。
2.CSS簡易クリーンブース( 陽圧化 )
CSS簡易クリーンブースは、天板サイズに対し大型のHEPAフィルターユニットを採用することで、床面に向かって強力な吹き出し気流を発生させます。
この気流により、従来の簡易ブースで問題となっていた乱流域の発生や換気回数不足を解決し、常に高いクリーンレベルを保つ作業環境の構築を実現しました。
換気回数は最大1100回/hr以上でブース内に発塵した粗大粒子をすぐさま排出します。
作業中も、0.3~0.4m/secの排出気流で作業面をクリーンアップし続け、繊維ゴミなどが付着するリスクを最小にします。
3.オープンクリーンシステムKOACH( 整流された気流で陽圧化 )
対向した面全体からキレイに整流された空気を吹出し、両側からの気流をぶつけることで囲わないのに陽圧化を実現できる画期的な装置です。
テーブルの上など、設置環境に自由度があり、100Vコンセントに繋ぐだけで繊維ゴミなどの粗大粒子をあっという間に清浄空間から排出し、キレイな空間を手に入れることができます。
クリーンルームとは違い、管理に専門知識が無くても問題がない点や、必要な時だけ設置する管理のしやすさが魅力です。
局所クリーン化の注意点
なるほど、コストやスペースの問題でクリーンルームは諦めていましたが、これなら導入できそうです!
それは良かった!今回の必殺技では繊維ゴミなどの粗大粒子に効果を発揮する
セーフティーパーテーションについて詳しく紹介するからぜひ見てね!
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