【今月のお悩み】
電子機器の組立て作業を行っているのですが、このところ乾燥した日が続いているせいか、繊維ゴミの混入が増えて困っています。加湿器や空気清浄機も設置して、対策しているのに何故なんでしょうか。繊維ゴミがどこから来るのか調べる良い方法を教えて下さい。
お願いします、3Cラボ〜!!
その頃、3Cラボでは・・・
博士ぇ〜、「繊維ゴミ」の混入で困ってる人からのSOSをキャッチしたのだ!じゃ
おお、繊維ゴミか・・・。乾燥して来ると飛散し易くなるからのぅ。
こんな時こそお役に立つのが、我ら3Cラボの使命じゃ!!
よし、クリーン化オレンジ、早速現場に急行して、困ってる人を助けるのじゃ!!!
「繊維ゴミ」は塗装にとっても大きな悩み!!
解決できたら塗装不良もガツンと減らせて、みんなを幸せにできる!
オレンジ、頼んだぞ!!
「繊維ゴミ」は洗浄効果にも左右します。事前に繊維ゴミを
なくすことができたら、お客様がどんなに喜ぶか。
クリーン化オレンジさん、よろしく頼みます!
よっしゃ〜、ガッテン承知!!
グリーン、ブルー、ありがとう。思いはしっかり受け止めたよ!
オイラ、がんばる! オイラに任せて! 行ってきま〜す♪
その頃、現場では・・・
う〜ん、困った。現場から「繊維ゴミ」の混入が、どうしても無くならないと
報告が上がって来てしまった。
組み立て中に、手袋や製品に貼り付いてしまうというが・・・。
何か良い解決策はないものかなぁ〜・・・(困)
ございますともっ!! 私が来たからには、もう大丈夫。ご安心ください。
最先端技術を駆使した「スーパークリーンルーム」を使えば直ぐに解決します。
初期投資は少々掛かりますが、効果はバッチリです。
いつまでも悩んでないで、さぁ、ご決断を! さぁ、さあ!
えっ! スーパークリーンルームってそんな凄いんですか? それはありがたい!!
お値段は・・・うわっ、結構するなぁ・・・ 効果はわかるけど。
何を迷われているんですか~。
これさえあれば、原因など調べなくても、全て解決します。
これで現場の方々も安心して、作業続けられます。ほほ。
( うひひひひ〜。これで定期メンテナンスでも大もうけ!! )
ダメぇ〜っ!! まってぇ〜!!
スーパークリーンルームは過剰投資だよ!
原因を調べて対策すれば、そんなにお金掛けないで解決するよ〜。
えっ?! そうなの?
危くスーパークリーンルームを導入するところでした。
ええい、黙れ! クリーン化オレンジめ!
お客様、そんなことはございません。こんなヤツのたわ言になど耳を貸さずに
ささ、商談を進めましょう。ささ、お支払を・・・!
オイラが来たからには、そんなことはさせないぞ!
くらえっ!”見える化”ビーム!!!
ぐぬぬ・・・もうちょっとで究極のムダ遣いをさせられるところだったのに・・・
ちっ、覚えておれ、クリーン化オレンジめ。
ありがとう、クリーン化オレンジ。すんでのところで助かりました。
繊維ゴミの原因の調べ方、ぜひ、教えてください!
そもそも、繊維ゴミって?
身の回りを見渡してみると、衣類、寝具などをはじめ、至るところに繊維が使用されていますね。繊維から衣類などを加工する工程では、裁断などで脱落する繊維も多く、出来上がった物に最初から脱落繊維として付着しているものが有ります。
また、ある程度着用を続けたり、洗濯を何回も行うことで、繊維の劣化が進み、繊維が脱落しやすくなって行きます。
つまり、一般環境には繊維ゴミが多く存在するのが当たりまえ、なのです。
繊維ゴミの特徴
繊維には、植物などから作られる天然繊維と、主に石油などから作られる化学的な処理をした化学繊維があります。
自然界から得られる天然繊維は、ウールや麻のように短い(短繊維)ので、これをまとめてねじることにより長くつなげ、扱いやすい太さとしたものが糸です。複数を撚り(より)合わせることで強度も増します。
絹やポリエステルのように、もともと長い繊維(長繊維)も2本以上の繊維をねじることで強度が増すので、糸として使われます。
繊維ゴミは衣服などが摩耗や劣化することで、糸がほつれ短繊維状になって脱落したものです。
繊維ゴミの特徴
1.比較的軽量
2.吸湿しやすい
3.絶縁物のため静電気を帯びる1)
1)例外として金属やカーボンなどの導電繊維もあります。
そのため、気流にのって吹き溜まりに集まったり、静電気で壁に貼り付いたりしながら、綿ボコりのような「塊り」になって行きます。そして、衝撃や人の動作で起きる気流で、再飛散を繰り返します。
繊維ゴミをどうやって調べる?
繊維のほとんどは、漂白剤などの蛍光物質を含んだ薬品で処理されており、洗濯で使う洗剤にも蛍光剤が含まれているため、「UVライト」を照射すると光って見えます。
作業エリアや環境中の繊維ゴミの堆積状況などを調べる方法としては一番簡単な方法です。
繊維ゴミは数百μm~数mmと大きい物が多いのですが、軽量で形状が揚力を受けやすいため気流に乗って比較的広範囲に飛散します。
どの場所にどの程度堆積しているのかを調べる方法として、ダストサンプラーで採取した異物をカウントする自動計測システム「ダスカー」が活躍します。
ダストサンプラーを、更衣室、工程の入口、作業台の上、製品保管棚など、複数個所に設置し、作業中、作業終了後のような時間帯の違いを調査することで工程内の飛散の状況を把握することができます。
ダスカーで測定して数値化したデータと、作業動線(人の動き)や気流の流れをマッピングすることで、全体の飛散状況を把握できます。
繊維ゴミの対策
繊維ゴミは、一般環境にはあってあたり前。と言うことを認識することで対策の方向性が見えてきます。
繊維ゴミの対策には「クリーン化四原則」の中でも「持ち込まない」が特に重要!
繊維ゴミは衣類からの発生が特に多いため、クリーンエリアに入室する場合は低発塵で管理されたクリーンウエアに着替えましょう。
クリーンウエアは、求めるクリーンレベルに合わせて選定し、1回/週などの頻度を決め定期的にクリーンウエア専門のクリーニングを行いましょう。
入口の床や壁などに粘着マットを設置したり、コロコロローラーでクリーンウエアを除塵することも効果的です。
・クリーンな環境に浮遊する異物を吸着「アイビーキャッチャー 」
・靴底の塵埃をシャットアウト!粘着式除塵マット「CSSクリーンマット」
繊維ゴミは特徴として吸湿しやすいため、加湿することで飛散防止の効果があります。しかし、乾燥して来ると再び気流に乗って飛散を繰り返します。そのため、定期的な清掃で「除去(排除)する」ことがとても重要です。
クリーンルームとは
一般的な部屋は、窓やドアなどの開け閉めによって気流で外部から簡単に繊維ゴミなどが入ってしまいます。
そのため、クリーンルームは部屋の中を外部に対して陽圧に管理することでゴミなどの流入を防止しています。
エアーシャワーやパスボックスを設置することで、扉の開け閉めで起きる外気の流入を防止しています。
そして、HEPAフィルターを通したきれいな空気を循環することでゴミや異物を排除しているのです。
クリーンルームまでは必要ないけど、どうしても繊維ゴミを無くしたい。
”ゴミを無くす”ことから、”ゴミを付着させない”を実現する技術が「局所クリーン化」です。
生産工程は、作業動線から(1)加工点、(2)保管場所、(3)搬送系に大きく分類できます。
局所クリーン化は、この分類を行い各エリア毎にゾーニングをすることから始めます。
製品の加工や組み立てを行う加工点を中心にクリーン化対策を行うことで繊維ゴミの付着も防止できます。
加工を行う前後の製品の保管場所の管理や搬送方法にも、繊維ゴミを付着させない工夫をしましょう。