
【今月のお悩み】
めっきり秋っぽくなって、同じように作業していても、繊維ごみやホコリが良く付着するようになった気が・・・。乾燥して来たせいかなぁ? 不良も増えてくるんだけど、何がいけないのかなぁ~。
ウエアも靴も静電気対策タイプに変えて、工程にイオナイザーを設置して、静電気対策はバッチリなはず。
う〜ん、困った。助けてぇ〜、3Cラボ〜!!
現場に到着したクリーン化オレンジが見たものとは・・・

クリーン化オレンジさん、良く来てくれました。
静電気を対策するためにいろいろな機材を導入しました。
でも、秋になると繊維ごみやホコリの付着が増えてくのですが、
何が原因なんでしょう?

オレンジ
あれぇ~
この床は導電床になっているんですか?

床は一般的な床ですが、
全員のウエアと靴を静電気対策タイプに変更しました。
イオナイザーもひとり1台設置して、
けっこう費用を掛けたんですが?

オレンジ
なるほどぉ〜。
でも、ウエアやシューズを静電気対策品にしても、
床が導電床になってないと、アースがとれないんですよ。

へぇ~、そうなんですね!
目的がわからずに機材の導入をしていました。
管理の方法をいろいろ教えてください。
そもそも静電気とは?
全ての物質は「+(プラス)」と「-(マイナス)」の等しい電荷を持っています。
ところが、物質同士をこすったり、剥がしたりすると、「-」の電荷を持つ電子が物質から物質へ移動する現象が起きます。
すると、物質内の電子に過不足が起こり、「ー」または「+」の電気を帯びた状態になります。
この状態を帯電といい、帯電した電気を静電気と呼びます。
身近な事例だと、冬場の乾燥した時期になると、ドアノブなどの金属を触って
”ビリビリッ”とした経験があると思います。
原因は、ドアノブから電気が流れるのではなく、皆さんの体に溜まった電気がドアノブに流れるためです。
皆さんが靴を履いて歩いたり、着ている服がこすれたりすることによって、体に静電気が溜まります。
下の図は帯電列と呼ばれるもので、材質によってプラス帯電し易いもの、マイナス帯電し易いものがあります。
寒い時期に衣服がまつわり付いたり、パチパチした体験は誰でもあるのではないでしょうか?
帯電列で、離れているもの同士を着合わせると、大きな帯電をします。
気になる時は生地を確認してみてください。
静電気対策の基本
静電気が物質に溜まる理由は、その物質から電気が流れないためです。
金属の場合は、アースが取れていないと静電気が溜まります。
人の体は、導電体になっています。では、なぜ人の体に帯電するのでしょう?
それは、履いている履物が、ゴム底のような電気を流さない絶縁体でできているためです。
また、導電靴のように電気を流す履物を履いても、床が電気を流さない場合も帯電します。
普段の作業でも、歩いたり、椅子から立ち上がることで静電気が起きて人体に帯電します。
どのくらい帯電しているかは、人体電位測定器を使って調べることができます。
帯電した電荷がどの程度残っているのかがわかれば、何を対策すれば良いのかが見えてきます。
人体電位測定器については『今月の必殺技』で詳しく説明しておりますので、そちらもご覧ください。
以下に静電気対策の基本ポイントをまとめました。参考にしてください。
対策の基本 その1
電気が流れるようにする。(同じ電位にする)
例)①アースに接続する。
②金属同士を結線する。
プラスチックなどの樹脂のような絶縁物の場合は、材料そのものが電気を流しません。その代りに分極と言う現象が起きて、表面がプラスになったりマイナスになったりします。
対策の基本 その2
電気的に中和する。
例)①イオナイザーを使う。
静電気対策!イオナイザーの選定におさえておきたい<2つのポイント>
対策の基本 その3
静電気を放電させる。
例)①アルコールなどで表面を拭き取りする。*1)
②湿度を高くする。
③水をまく。
*1)アルコール拭きは一時的な効果に限定されます。
『今月の必殺技』でセミナーのご案内をしておりますので、そちらもご覧ください。
イオナイザーを長く使うために
イオナイザーの性能は①除電時間(静電気減衰時間)と②イオンバランス(オフセット電圧)で決まります。
(日本の規格「RCJS-5-1」では、除電時間は1000V~100Vまでの減衰時間が20秒以下、イオンバランスは±50V以下と規定されています。)
イオナイザーはプラスとマイナスの電気を交互に出して静電気を中和させています。
しかし、メンテナンスをまったくしないと静電気が除電できなくなってしまいます。
その主な原因は針先の汚れです。
イオナイザーの針を見たことがありますか?
良く見ると、針先に結晶のようなものが付いているのが分かります。
このような状態になると、針先で起きるコロナ放電が不安定になってイオンの量が少なくなり、ひどくなるとイオンが出なくなってしまいます。
針先を定期的に清掃し、針も定期的に交換することで除電効果を維持した状態で長く使うことができます。針の清掃を行ってイオナイザーを長く使いましょう。