
今月のズバリ解決!3Cラボの「万能は存在しない?!工業用洗浄剤の種類と特徴を徹底解説」でもご紹介した通り、どんな汚れでも除去できる万能な洗浄剤はなく、製品や汚れにあわせて適切なものを選ぶ必要があります。
また、洗浄品質をより向上させるためには化学的要素である洗浄剤以外に、物理的要素の選定も重要になります。
今回は、様々な現場で用いられている「超音波洗浄」と「シャワー洗浄」に焦点を当てて、その活用方法についてご紹介します。
超音波洗浄とは?
超音波洗浄とは、洗浄槽に設置した超音波振動子から発生したキャビテーションの力で製品に付着した汚れを除去する方法です。
キャビテーションとは、液中で気泡の発生と消滅が圧力の差によって短い時間内で起きる空洞現象です。
超音波振動を与えると洗浄剤の中に真空の気泡が発生し、この気泡が破裂したときに発生する衝撃波により汚れを物理的に洗浄しています。
キャビテーションは周波数により、大きさやパワー、発生するキャビテーションの数が変化します。
そのため、洗浄したい製品の形状、素材、付着した汚れの種類、そして求められる洗浄品質にあわせて、最適な周波数を選択しましょう。
現在、工業洗浄の現場において、超音波は洗浄剤の種類にかかわらず幅広く活用されています。
特に、水系や溶剤系の洗浄剤を使用する現場では多くの導入があり、下記のような現場で使用されています。
- 金属加工で使用する切削油やプレス油などの脱脂
- 研磨剤・切粉の除去
- プリント基板の製造時に使用するフラックスの除去
- レンズやガラスの加工後のパーティクルの除去
- レジストや塗装皮膜、コーティング剤の剥離

超音波洗浄の詳細はこちらにも掲載しております。
シャワー洗浄とは?
シャワー洗浄とは、製品へ洗浄剤を直接噴射し汚れを落とす洗浄方法です。
私たちの身の回りでは、食洗器が同じ原理を利用し食器を洗っています。
シャワー洗浄では、低圧から高圧まで種類があり、圧力によって洗浄能力も異なります。
また、製品を浸漬させないため、除去した汚れが再付着する可能性が低いというメリットがあります。
このため、電子機器や半導体など細かい箇所の洗浄にも有効であり、実際に下記のような現場で使用されています。
- 金属加工後の切削油、プレス油の脱脂
- 金属加工後の切粉の除去
- 筒状製品の、内外面に付着した汚れの洗浄
シャワー洗浄する際に注意しなければならないのが、製品の並べ方です。
製品にシャワーが当たらなければ汚れを落とすことはできないため、製品を一度に大量洗浄したい場合は、洗浄カゴなどの中で全体にシャワーが当たるよう製品を配置する必要があります。

多くの現場で活用している2つの物理的要素についてご紹介しましたが、他にもスチーム洗浄、ベーパー洗浄、真空洗浄など洗浄方法は数多くあります。
使用する洗浄剤、製品の特徴、汚れの種類など条件に沿ったものを選定し、洗浄品質の向上を目指しましょう!

(ラボボス)
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