防爆とは、可燃性のガスや蒸気、粉塵が空気中に存在している塗装現場や研磨作業場といった空間(爆発性雰囲気)で静電気火花や摩擦熱などの点火源が触れ爆発や火災が起こらないように、そして万が一起こっても周囲にその影響を広げない構造にする技術的な対策をとることを指します。
防爆対策が必要な場所
防爆対策は爆発性雰囲気で行われていますが、具体的にどんな場所が該当するのでしょうか。
ものづくりの現場に関わりがある2つの場所をご紹介します。
①ガス蒸気危険場所
「ガス蒸気危険場所」 は、可燃性ガスや蒸気により、爆発性雰囲気を形成する可能性のある場所を指します。
可燃性危険物を製造、使用、保管しているガソリンスタンドや塗料・溶剤を使用する工場などが該当します。
これらの危険場所は法律に基づき、火災や爆発が起こる危険度はゾーン0、ゾーン1、ゾーン2の3段階に分類され、ゾーン0が最も危険度が高い区域となります。
- 特別危険箇所(ゾーン0)
爆発性雰囲気が連続、または長時間継続して発生する特に危険度が高い場所です。可燃性のガスや液体が保存されている容器の液面上部の空間などが当てはまります。 - 第一類危険箇所(ゾーン1)
通常の状態で爆発性雰囲気が存在、または形成される可能性がある場所です。可燃性ガスや蒸気を放出する容器の開口部付近や換気が難しい空間で可燃性ガスや蒸気が滞留する場所が例として挙げられます。 - 第二類危険箇所(ゾーン2)
通常の状態では爆発性雰囲気が形成される可能性が低く、形成されたとしても短時間のみの存在となる場所です。劣化した容器や故障した換気装置などから可燃性ガスや蒸気が漏れた空間や、ゾーン1の周辺で爆発性雰囲気が形成される恐れがある部屋が該当します。
②粉じん危険場所
「粉じん危険場所」とは、爆発を引き起こすのに十分な粉塵が空気中に浮遊している、または蓄積された粉塵が空気中に浮遊する可能性がある場所を指します。
産業廃棄物処理業者の作業場所、粉体塗装や研磨作業を行っている工場などが該当します。
ガス蒸気危険場所と同じように、危険度によってゾーン20~22の3段階に分類されます。
防爆対策
上記のような危険箇所では防爆対策が必要となります。
着火源とならないような電気機器(防爆電気機器)なども販売されていますが、今日からできる簡単な防爆対策をご紹介します。
①帯電を防ぐ作業着の着用
下の図は帯電列と呼ばれ、材質によってプラス帯電しやすいもの、マイナス帯電しやすいものがあります。帯電列で離れているもの同士を着合わせると、大きな帯電をするので防爆エリアでは着用に気を付けましょう。
②電気を持ち込まない
爆発性雰囲気に防爆対策されていない電気機器を持ち込むと、着火源となりうる可能性があります。
スマートフォンなどを含む電気機器は持ち込まない、または作業のために持ち込む場合は必ず防爆電気機器を選択しましょう。
③アース
金属容器には必ずアースをとりましょう。
アースしていない金属容器に、アースされいている金属が近づくと帯電した静電気が一機にアースされた金属に放電する現象が起こります。この静電気放電と呼ばれる現象は爆発や火災の原因となることがあるので、アースは欠かせません。
静電気対策についての詳しい内容はこちらでも解説していますので、以下のページもご覧ください。
防爆対策は、可燃性ガスや粉塵といった目に見えない危険から私たちを守り、安心して作業できる環境を築くための第一歩です。
安全な職場づくりのためにも正しい防爆対策を徹底しましょう。