PFAS規制時代に活躍する洗浄剤とは?

『今知りたい「PFAS」対応!規制になる前にものづくり現場が知っておくべき基礎知識』でもご紹介した通り、PFASは自然界で分解されにくく蓄積されやすい物質で、人間や環境に悪影響を及ぼすため、約12,000種類もの全てのPFASについての規制が発令された場合、移行期間後、企業は製造、使用、輸入が制限されると予想されています。

これはものづくりの現場も関係がないことではなく、例えばPFASはフッ素系洗浄剤のほとんども含まれており、規制された場合にはフッ化物を含まない洗浄剤を選定する必要があります。

では、PFASが含まれない洗浄剤とは一体どんなものがあるのでしょうか?

 

PFASを含まない洗浄剤とは

その性能の高さから洗浄剤でも使用されているPFASですが、水系洗浄剤、準水系洗浄剤、炭化水素系洗浄剤などには含まれていません。

だからといって、前文で挙げた3種類の洗浄剤へすぐに切り替えるのは洗浄品質やコストの面から危険であり、フッ素系から切り替えるとなると洗浄設備の入れ替えが必要になるため決定してからすぐの導入は難しいです。

洗浄の目的と洗浄後の品質、洗浄設備の設置スペース、コスト、蒸留再生しながら使用できるものなど様々な観点から検討し、早期から選定を進めましょう。

 

水系洗浄剤

水系洗浄剤は、家庭で使う洗剤の工業用版と考えると分かりやすいでしょう。

中性やアルカリ性など、さまざまな種類があり、原液を水で希釈して使用し、洗浄装置で浸漬超音波洗浄やシャワー洗浄など、油汚れ、無機系の汚れ、タンパク質汚れなどに対し使用されています。

洗浄後は水でのすすぎが必要ですが、特に高い品質が要求される場合は、純水や超純水でのすすぎが必要になります。

汚れた洗浄液やすすぎ水は、産業廃棄物として処理するか、排水処理設備を設置して処理する必要があります。

 

高い品質が要求される場合、純水や超純水でのすすぎが必要です

準水系洗浄剤

準水系洗浄剤は、アルコールやグリコールエーテルといった水によく溶ける溶剤に、水を一定量配合することで作られた洗浄剤です。

消防法の危険物に該当せず、安全性が高いことが特徴です。

高い溶解力を持ち、油分の汚れだけでなく水溶性の汚れにも適しており、電子部品のフラックス除去やレンズのピッチ落としに使用されています。

洗浄後の品質によっては、すすぎなしで使用できる場合もありますが、すすぎが必要な場合は、水系洗浄剤と同様に汚れたすすぎ水を産業廃棄物処理するか排水処理設備を設け処理しなければなりません。

 

準水系洗浄剤は、電子部品のフラックス除去やレンズのピッチ落としに使用されています

 

炭化水素系洗浄剤

炭化水素洗浄剤は、一般的に金属部品の脱脂洗浄に適しており、塩素系溶剤に代わって広く使用されるようになってきました。

金属を腐食させにくく、毒性が低いことから、ほとんどのものは有機溶剤中毒予防規則やPRTR法に該当しません

また、真空技術を活用することで、蒸気洗浄や汚れた洗浄剤の蒸留再生もできるため、継続的にリサイクルしながら使うことができ、環境への負荷も低減できます。

水系洗浄剤や準水系洗浄剤のように大量の廃液を出す必要がなく、蒸留再生機から排出された濃縮廃油のみが産業廃棄物となります。

 

一般的に金属部品の脱脂洗浄に適しています

 

洗浄剤ごとのメリット・デメリット

  メリット デメリット

水系

・毒性が低い

・イオン性の汚れに優れた洗浄性

・洗浄剤のコストが低く抑えられる

・引火性がない非危険物

・金属洗浄の場合、錆が発生するリスク

・乾燥性がよくない

・排水処理施設が必要

・すすぎ工程に多槽を必要とする場合、洗浄装置が増大する可能性あり

準水系

・溶解力が高い

・毒性が低い

・引火性がなく、危険物倉庫での保管が不要

・界面活性剤を含まない場合、蒸留再生によるリサイクルでコストを抑えられる

・洗浄液単価が高価

・金属洗浄の場合、錆が発生するリスク

・乾燥性がよくない

・樹脂、プラスチック素材の洗浄は不可

炭化水素系

・毒性が低い

・各種加工油に対し優れた洗浄性

・金属に対し錆や腐食のリスクが低い

・蒸留再生可能なので、ランニングコストを抑えられる

・多くが有機溶剤中毒予防規則に該当せず扱いやすい

・樹脂やゴムの種類によっては、溶解や劣化の恐れがある

・引火性があり危険物である

・洗浄装置は防爆型使用が必須のため、比較的高価である

 

 

各洗浄剤とも毒性が低く、人体に対して優しいことが共通したメリットになります。

PFASを含まない洗浄剤への切り替えは、洗浄する製品の素材や形状、求める仕上がり品質によって適した洗浄剤は異なりますので、現場で何を最も重要視するのか、どんな製品を洗浄するのかを確実にし、検討を進めましょう。

 

水系、準水系、炭化水素系洗浄剤のいずれも人や環境に優しいことが特長です。

 

洗浄剤の切り替え方法とは?

PFASを含まない洗浄剤への切り替えを検討したい!と思っても、一体どのように新しい洗浄剤の情報を集め、自社に適したものを選定すればよいのでしょうか?

 

NCCでは、NCCでは、お客様が抱える課題、求める仕上がり品質、製品のサイズや形状などを踏まえ、多数の洗浄剤や洗浄機メーカー様とお取り引きがある商社の強みである幅広い選択肢の中からお客様ごとに適した洗浄剤や洗浄機をご案内します。

洗浄ラボを有しているため、お客様の実際の洗浄ワークを使い洗浄条件を設定しながらテストを繰り返すことで、適切な洗浄剤や洗浄機の設計方針、洗浄方法の選択も可能です。

 

洗浄ブルー

NCCではPFASを含まない洗浄剤での洗浄テストを実施しています。

PFASを含む洗浄剤の代替および洗浄システムへの切り替えをご検討の際は、ぜひご相談ください!

 

博士
(ラボボス)

ご相談・お問い合わせはこちらじゃ~!

 

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