不良低減に繋がる!洗浄における最適な乾燥方法を選ぶ5つのポイントでもお話ししたように、現場に適した乾燥方法を選定するには様々な条件を考慮する必要があります。
今回の必殺技では具体的な乾燥方法を解説しますので、現場にあった方法を活用してください。
乾燥方法の種類
現在様々な現場で用いられている主な乾燥方法は5種類あります。
乾燥方法 | 乾燥の仕組み | |
① | 熱風(温風)乾燥 | 熱風(温風)を循環させ、主として熱を利用し乾燥させる方法 |
② | 熱風(温風)吸引乾燥 | 熱風(温風)を循環させ、主として熱と風量または風速を利用し乾燥させる方法 |
③ | べーパー(蒸気)乾燥 | 洗浄剤を加熱し、べーパー(蒸気)をワークに結露させ、揮発性の高い洗浄剤の利点を活かし乾燥させる方法 |
④ | 真空べーパー乾燥 | 洗浄剤を加熱し、べーパーをワークに結露させ、ワーク自体を加熱する。その後、洗浄槽を減圧するとワークに付着した洗浄剤の沸点が下がり、洗浄剤が突沸することで乾燥を促進させる方法 |
⑤ | その他の乾燥方法 | エアブローや遠心分離等 |
文字だけの説明では想像がつきませんよね。
下記でイラストと一緒にご説明します。
乾燥方法
1.熱風(温風)乾燥
最も広く用いられている方法で、熱風器やブローヒーターなどから槽内に熱風を送ることで被洗浄物を乾燥させます。
他の乾燥方法と比べると安価で導入に対する壁は低く、乾燥時間が短いことが利点です。
しかし、高度乾燥のため乾燥槽の耐熱対策とワークの熱が冷めきるまで後工程へ進むことができないので、熱を冷ます場所や時間の確保が必要不可欠です。
2. 熱風(温風)吸引乾燥
槽内の熱風(温風)をブロワーが吸い込み、循環させ、一部を排気させることで生まれる熱の風力または風速を利用して乾燥させます。
条件によっては熱風(温風)乾燥よりも短時間での乾燥が可能ですが、吸引ファンの選定や乾燥槽内の構造に注意が必要な上、音が大きいため作業環境に影響があります。
3. ベーパー(蒸気)乾燥
この方法は乾燥と仕上げ洗浄を同時におこなえる効率性に優れたシステムです。
有機溶剤やアルコール系溶剤、炭化水素系溶剤などの洗浄剤の蒸気中に洗浄物を置き、温度差による表面の凝縮作用にて汚れを流し落とします。
続いて表面が蒸気と同じ温度まで上昇することにより表面で溶剤が凝縮することはなくなり、乾燥した状態で取り出すことができます。
乾燥性が高く後工程に素早く移れますが冷却水など付帯設備のコストがかかる他、蒸気乾燥可能な洗浄剤が少ないことがデメリットとして挙げられます。
4. 真空ベーパー乾燥
べーパー洗浄と同様に仕上げ洗浄と同時に製品に蒸気で熱を与えます。
製品に熱が伝わった後、密閉した洗浄機を減圧することで洗浄剤の沸点が下がると、洗浄剤が突沸して表面を乾燥させます。
製品の細部に洗浄剤が浸透するため精密な洗浄と無貫通穴の内部除去が実現可能です。
しかし大型の真空ポンプ導入のコストが高く、水系の乾燥は困難です。
5. その他の乾燥方法
- エアブロー
風の力で付着した水分や溶剤分を拭きとばし、乾燥させます。
- 遠心分離
遠心力を利用して乾燥させます。メリットは大量に乾燥できることや乾燥時間の短縮ですが、バランスやカゴの形状を考慮する必要があります。
それぞれの乾燥方法にはメリット・デメリットがあります。
3Cマガジンでご紹介した5つの条件をもとに最適な乾燥方法を選びましょう!
洗浄・乾燥後にどのような品質を求めるのかにより、
設備や方法が変わります。
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