”前処理”の正しい知識で錆も剥がれも撲滅だ!でお伝えしたように、金属ワークの前処理は汚れの除去だけでなく、塗料の密着性UPや錆予防の目的があります。
このページでは、前処理の具体的な種類についてご説明します。
前処理の種類
金属塗装の前処理には大きく分けて2つあります。
- 機械的方法
- 化学的方法
機械的方法は、サンドブラスト、ワイヤーブラシ、蒸気脱脂などで表面の錆や油を取り除く方法です。
化学的方法は、主に脱脂洗浄をして綺麗にした金属表面をリン酸塩皮膜で覆うことで保護する方法です。
今回は化学的方法で用いられるリン酸塩皮膜の特徴と、メリット・デメリットをご説明します。
リン酸塩皮膜について
リン酸塩皮膜には、
- リン酸亜鉛
- リン酸鉄
- リン酸マンガン
- リン酸ジルコニウム ・・・・・・等
このように様々な種類がありますが、リン酸マンガンとリン酸ジルコニウムはメーカー各社毎に特長が異なりますので、今回は一般的によく使われる「リン酸亜鉛処理」と「リン酸鉄処理」について解説します。
リン酸亜鉛処理
この処理は鉄素材向けの前処理としては最も防錆力と付着性の良い処理方法になります。
ツルツルとした素材表面に細かな結晶ができる事により、塗料密着性が良くなります。
また、リン酸亜鉛が溶解し金属表面の防錆効果を発揮します。
処理された表面は灰暗色で艶が消えたような処理状態になります。
良い表面状態の場合、表面を爪でこすると爪が少し削れ白く跡が残りますが、これは均一な結晶がしっかりできている証拠です。
リン酸亜鉛処理は防錆力と付着性に優れることから、屋外使用される製品によく使用されます。
しかし、処理時にスラッジが出るためろ過や処分が必要であり、発生量を少なくするための工夫も進んでいますが、スラッジの発生自体を無くすことはできません。
リン酸鉄処理
こちらは金属イオンとリン酸が結合しリン酸鉄の皮膜を作りますが、リン酸亜鉛処理に比べ皮膜は薄くサラザラとはしていません。
きちんとした被膜ができていると干渉色と言われる虹色のような金属表面になりますが、処理液の状態や処理条件によって仕上がりが変わります。
リン酸鉄処理は脱脂と処理を同時に行えるタイプもありますので、工程を短く短縮することができます。
また高圧温水洗浄機を用いて処理をする事も可能ですので、大きくて処理槽に入らないものでも処理することが可能です。
防錆力に関しては、リン酸亜鉛に比べ劣りますので、室内使用の鋼製家具などの前処理として使用される事が多いです。
化学的方法で用いる処理液やすすぎ水については、きちんと排水処理を行い環境に配慮して使用してください!
わかりました!自社に合った前処理を再検討したいのですが相談に乗ってもらえますか?!
もちろん!
最高の塗膜にするため、用途や目的に合った前処理を選定いたしますよ!
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