いつもの必殺技は、ひとつの商品アイテムやサービスにスポットを当ててきましたが、
今回はちょっと趣向を変えて、「知識」という武器をチョイスしました。
不安というものは、知らない、わからないからところから来るものだと、誰かが言っておりました。
「マスク」がこんなにも注目を集めている今こそ、マスクについて正しい知識を身につけておきたい。
ついでにちょっと詳しくなって、「プチマスク博士」になってみてはいかがでしょう。
とはいえ、マスクにはいろんな種類や形があります。いっぱいあるのはわかるけど、「何がどう違うのか」まではなかなか調べませんよね。そこで3Cラボが、いつものように楽Cく、詳Cく、そして正Cく、まとめてみました。
マスクは3種類に分けられる
マスクは大きく「家庭用マスク」「医療用マスク」「産業用マスク」の3種類に分けられます。
家庭用マスク
風邪や花粉対策、防寒・保湿などの目的で日常に使われています。素材はガーゼと不織布がありますが、今は不織布の方が一般的です。豊富なサイズや形があり、長時間快適に使えるように、様々な工夫がされています。
医療用マスク
「サージカルマスク」とも言います。「サージカル(surgical)」とは「外科の 手術の」という意味で、主に医療現場もしくは医療用に使用される感染防止用のマスクを指します。菌やウイルスに強く、補集効果が高いのが特徴です。
産業用マスク
「工業用マスク」や「防塵マスク」とも呼ばれます。主に工場などで作業時の防塵対策として使用されるマスクを指すこととが多いのですが、今は使用目的も多様化し、クリーンルームで精密機器を扱うときに使う「不織布マスク」ものから、身体に影響を与えるミストやガス等から身を守るための「防護(保護)マスク」、さらには生物化学兵器を想定した超強力な防護マスクや防毒マスクなどもあります。
一応、便宜上3種類に分けましたが、正確な線引きがされているわけではありません。医療用のマスクを産業現場に使うことも、その逆もあります。その時の選択ポイントとして重要になるのが、「どのくらいの大きさの粒子をガードできるか」です。マスクの規格については、「3Cラボ的用語解説」で詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。
素材で分けると「不織布」と「ガーゼ」の2種類
マスクの素材は、大きく「不織布(ふしょくふ)」と「ガーゼ」に分けられます。
ガーゼ
ガーゼは主に綿や麻などの天然素材から作られる、独特な風合いの薄い布地です。マスクにする場合は、1枚のガーゼを12〜30枚に折り重ねて使います。肌触りもよく、通気性、保湿性に優れて、乾燥からのどを守ってくれます。
不織布は原則使い捨てですが、ガーゼは洗濯することで何度でも使えるので、地球にもお財布にも優しいマスクであるといえます。
繊維の密度は後述する「不織布」に比べると粗く防塵性も低いので、機能を強化するために高密度の不織布(フィルター)をマスクの間に挟んで使うことも多くなりました。お互いのメリットを活かして相乗効果を図ろうという動きですね。
「低発じん」の布製マスクなら、不織布マスクと同等の機能で
クリーニングも可能だよ。再利用も出来きて 環境に優しいマスク。
この機会に検討してみるのも良いんじゃないかな。
【低発塵布製マスク】
不織布
一方の不織布は、名前の通り「織っていない」特殊な布です。「布」は糸(繊維)を織ったり編んだりして作るものですが、不織布は織らずに繊維同士を絡ませたり、結合させたりしてシート状にしています。その製造方法は化学的、機械的、熱や圧力を利用する方法など、いくつかあります。
不織布には「ポーラス」と呼ばれるとても小さな孔(あな)があるため、通気性に優れ、吸水性と保湿性にも富んでいます。また、さまざまな素材(機能)と組み合わせることによって、柔軟性を高めたり、耐水性をあげたり、帯電性をもたせるなど、用途や目的に合わせて機能を付加、強化することが可能な、とっても「融通が効く」繊維なのです。
そのため多くの場面で使われるようになっていますが、不織布の一番の特徴は“キャッチしたい粒子の大きさによって繊維の密度を変えられる”ことです。
たとえば、花粉は約30μm程度、PM2.5は2.5μm以下、菌やウイルスは0.1~0.3μmと、微粒子の中でもサイズ感がだいぶ違います。不織布は「狙った獲物を逃さない」とばかりに、折り方や加工方法を工夫して、密度や機能をコントロールすることができるのです。
医療用マスクの多くは「不織布」で作られていますが、日本国内ではサージカルマスクの性能規格基準が特に定められていないので、ASTM(米国試験材料検定)医療用マスクの素材条件を基準としています。市販されているPM2.5用や花粉症用のマスクも、この規定を基に作られています。
【医療用マスクの素材条件(ASTM F2100-11)】
形状で分けると3タイプ
では、今度は「形」で見てみましょう。現在使われているマスクは、「平型」「プリーツ型」「立体型」の3タイプあります。
マスクの歴史を紐解くと、1919(大正8)年に大流行したスペイン風邪を期に、マスクの重要性が広く認識され生産が始まったようです。最初に出来たのは「平型」マスクです。昭和23年に家庭用のガーゼマスクが誕生したそうです。
今最もポピュラーになっている「不織布マスク」が登場したのは、それからだいぶ時が経った2003(平成15)年頃。プリーツ型に続き、立体型マスクが誕生しました。以下、メリット・デメリットを3Cラボ的にまとめました。
平型マスク
マスクの中で最も歴史のあるマスクです。文字通り「たいら」なシンプルな構造なので、誰もが手軽に装着できますが、ガーゼ部分が鼻や唇に接触してしまうところが弱点です。
プリーツ型
平型の弱点をカバーしているのが、後発組の「プリーツ型」と「立体型」です。プリーツ状に仕上げたことで、マスクの中に程よい空間が出来ました。口の動きにフィットし、喋ってもずれにくく、呼吸も楽に出来ます。
最大の弱点は「間違えて装着しやすい」こと。最近はノースピース(鼻の位置で形が変えられるワイヤーのようなもの)が入っているものが多くなったので、さすがに上下は間違えなくなりましたが、メーカーによってプリーツの向きや形状、紐の位置がまちまちなので、裏表を逆につけている人が意外と多いのです。また、新品は平型同様「たいら」なので、装着した後に、自分の顔の形に合わせてフィッテングする必要があります。そうしないと余計な空間が出来てしまい、防塵効果が薄れてしまうのです。
立体型マスク
マスクと口の間に程よい空間を作りながら、装着を楽に。そんなコンセンプトで生まれたのが「立体型」です。最初から顔の形にフィットするようにデザインされているため、上下、裏表を間違えることがありません。装着後のフィッテングも不要です。ただ、形が決まっているのでそのぶん融通がきかず、「自分にあったサイズ」を選ぶ必要があります。小さ過ぎると顔に跡がついてしまったり、大きすぎると目が隠れてしまったり・・・といったところが弱点だと言えるでしょう。
正しいマスクの装着方法
プリーツ型マスク
1)自分のサイズを把握する
実寸を図るのが一番ですが、指をL字型にしても大体のサイズは把握できます。
参考:「総合南東北福祉センター川俣」
2)ゴム部分を持ってマスクを広げます。その時マスクの「ひだ」が「下向き」になっていることを確認します。
3)マスクを顔に当てノースピースを自分の鼻にフィットさせます。ゴムを耳につけたら、あごが隠れるまでプリーツを伸ばし、頬のあたりも軽く押さえて、余計な空間がないかチェックします。
防塵マスク
立体型の極みとも言えるのが、産業用の「使い捨て防じんマスク」でしょう。「N95」または「DS2」(用語へリンク)規格に準拠した密度の高い不織布を使い、0.1μmクラスの超微生物をもガードします。ただ、正しく装着しないとせっかくのマスクの機能が発揮できませんので、装着方法をきちんと身につける必要があります。
参考:「全国マスク工業会」
間違った使用例【これダメ〜!!❌】
最後に「マスクあるある」を。クリーンな作業環境ではマスクは必須。「そんなこと常識さ!」という方も、もしかしたら、こんなことになっていませんか? マスクを「ただ着けている」のと「正しく着けている」のとの間には大きな差が生まるのです。
●鼻が出ている
結構多いですよね。自分の呼吸は楽かもしれませんが、マスクの役割をなしていません。ただ、自分のつばや咳などの飛沫防止にはなりますが、自分の身は守れていません。
●余計な空間ができてしまっている
ゴムがゆる過ぎて(長過ぎて)頬や鼻の接着面に余計な隙間が出来ている・・・意外と多いもので、そんな人も結構見かけます。そこからマスク内部に微粒子が入り込んでしまいます。
●マスクを顎の下にする
顎の部分に付着している微粒子が、マスクの中に入り込む危険性が!
たかがマスク、されどマスク。マスクについての正しい知識が、
自分自身と製品づくりも守るんだよ。